(5):「Impulseレーベル」の仕立て John Coltraneの「The Complete 1961 Village Vanguard Recordings」
- John Coltraneによる「The Complete 1961 Village Vanguard Recordings」の4枚組ボックスに関するメモの(5)です。メモの(1)はここを、(2)はここ、(3)はここ、(4)はここをご覧ください。
- ここでは、John Coltraneが根城としたImpulseレーベルの仕立てについて、メモしました。
ついでに少し細部も
- この「Coltrane」盤は演奏、音、ジャケットと3拍子揃っての傑作ですが、久しぶりに出して見ると、細部にも少し触れたくなります。
Impulse!盤に限らず、米国の盤のビニール・コートは厚く、上掲のように端っこなどは良く擦れるので、ビニールが浮かんできていますが、そこでまたビニールの厚さがまた良く判るわけです。
この盤は大事にしていますから、まだまだ美麗なままで、音も余りブツブツ音が気になりません。
レーベル部分を拡大しましたが、BNなどと違って、この盤自体のプレス時期の見分け方は知りません。
米国盤で嬉しいのが内袋で、そのレーベルの他の盤の宣伝をしています。
「The Complete 1961 Village Vanguard Recordings」の4枚組ボックスものの記事なんですが、それ自体はCDなのでこういう楽しみがありませんが、発売後しばらくは「Coltrane Live At The Village Vanguardも、「Impressions」もLPしか無かったわけで、冒頭で針先をうまくLPの外溝に落とし込んでから、プリのボリュームをいつもの位置まで上げてから、椅子に座る・・・という楽しみがまだあった時期だったので、ちょっと寄り道をしました。
Coltraneの参加
- Coltraneは61年春にImpulseレーベルの専属となり、第1作が「アフリカ・ブラス」 (Impulse A 6)です。そしてその後に来るのが、このV.V.ライブテープに基づく盤で、当初は「Coltrane Live At The Village Vanguard」(A 10)と「Impressions」(A 42)の2枚だけしか出なかったのです。その後の作品は新しい録音になりそのまま、Classic Quartetの作品が 、「Ballads」(A 32)、そして「Coltrane」(A 21)などと続きました。その後、このV.V.ライブものが新時代のジャズにとっての金字塔であるとの認識が高まり、「Trane's Modes」(IZ 9361/2)、「The Other Village Vanguard Tapes (AS 9325)」そして「From The Original Master Tapes (MCAD 5541) 」などの盤の一部または全部に残りテープ分が収録されて出ました。これで、一応、全部出たなと思っていた頃に、それら全部のトラックをリマスターし、大部の冊子を付属させ、箱に収めた決定版の「The Complete 1961 Village Vanguard Reordings」(IMPD 4-232)が出たのです。
- 「あそこにもあるし、これにも入っている。」と残りテープで出る度に、少しづつ熱心に買い集めていた友人は、このファン心を持て遊ぶ所業に一時は怒り狂っていましたが、後に「まぁ、決定版だから仕方ないか。」と矛を収めて、今ではこれも持っています。いわゆる「すべての知識人が座右に置くべき作品」の出来でした。
- まぁ、長々と書きすぎたかもしれませんが、事ほど左様にこの完全ビレバン箱物は様々な意味で重要な作品です。まだ書き落としている面もありますが、非才ゆえとご寛恕ください。
- その後も、PabloがV.V.直後の欧州楽旅のライブ録音を7枚にまとめた「Live Trane: The European Tours」という箱物も出ますが、それについては別の機会に触れます。
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