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歌詞は大事か - 押韻の魅力

  • 歌詞について、スキャットの魅力と限界、そして湯煙の立つや夏原狩の犬 - 歌詞は大事かの続きです、、、「オッサン、あんたもしつこいなぁ。」
    押韻
  • 湯煙の、、、では、歌詞の例に「The Very Thought of You」という名歌を採り上げました。そこで、もう一つ触れておくべきことがあります。この曲の、例えば一番の歌詞は、こんな具合です。
    • The Very Thought of You
    • And I Forget to Do
    • The Little Ordinary Things
    • That Everyone ought to Do
    • ---(以下、省略)
      (http://www.natalie-cole.de/Discographie/Lyrics/から引用)
    ゴチックの部分に注目して、発音してみてください。響きが良いことに気付かれる筈です。このような作詩手法を、押韻あるいは、韻を踏むといいます。西洋語での押韻は、詩に使う言葉の母音の共通性を響かせるものが、多いようです。この歌詞の場合、フレーズの最後が「ウー」(You, Do, Do)という形で終わっており、脚韻が踏んであります。学校で英語での作詩の授業がある時に、一番最初に習うことが押韻の作法です。日本語の詩では、字数による韻が大半で、五七五といった奇数の字数でフレーズを作ることが多いようです。西洋語では、母音による押韻が同じように普通に使われる手法です。
    Four Women
  • 「これ好っきゃねん」で、Four Women/ Nina Simoneを採り上げていますが、その歌詞なども、その例です。先ず、最初の連は次のようになっています。
    • My skin is black (私の肌は黒い)
    • My arms are long (私の腕は長い)
    • My hair is wooly (私の髪は縮れている)
    • My back is strong (私の力は強い)
    • Strong enough to take the pain (強くて、痛みに耐える)
    • It's been inflicted again and again (何度も、何度も、痛めつけられたさ)
    • What do they call me (そんな私を人はなんと呼ぶかって)
    • My name is Aunt Sarah (私の名は、Aunt Sarah)
    • My name is Aunt Sara 
      (http://www.boscarol.com/nina/html/where/fourwomen.htmlから引用)
    このように、この連では、「long」と「strong」、そして「pain」と「again」で韻を踏んでいます。声を出して読むと直ぐ判りますが、韻を踏んであると、気持ち良く響きます。韻の踏み方には色々あり、フレーズ冒頭の「My,,,」の繰り返し、末尾の「My name is Aunt Sarah」行の繰り返しも、韻の一種です。この曲をじっくり聴くとわかりますが、曲の旋律、コード進行のほかに、このような押韻も興趣を盛り上げ、印象を深くさせるのに大きく役立っています。そして最後の連も見てみましょう
    • My skin is brown (私の肌は茶色)
    • And my manner is tough (そして私の行儀は悪いよ)
    • I'll kill the first mother I see (かぁさんを見つけたら打ち殺してしまいそう)
    • 'Cause my life has been too rough (だって、私の人生は酷すぎた)
    • I'm awfully bitter these days (毎日が辛いのさ)
    • Because my parents are slaves (だって、私の親は奴隷だった)
    • What do they call me (そんな私を人はなんと呼ぶかって)
    • My name is Peaches (私の名は、Peaches)
    ここで判るように、韻を踏む母音はその連によって「long」と「strong」、「tough」と「rough」というように、それぞれ違っています。歌詞の展開と共に、踏まれる韻の響は変わりますが、でも、韻を踏むことはしっかりと守る、これが作詩の作法のようです。
    殆どの歌で、、、
  • 「なんや、ジャズの歌は難しいンやな」とおっしゃいますな。ウェスタン、ロックそしてポップスでも、全部と言って良い程、この押韻があります。繰り返しますが、これは西洋で作詩する時の基本なので、殆どの歌で形態こそ変われ、何らかの押韻がされています。御自分のお好きな歌の歌詞を、時間がある時にチェックしてみてください。あのやんちゃそうに見えるロック歌手が、色々と呻吟しながら、押韻していることに新しい驚きがあるかも知れませんし、また、その歌詞の凄さ、素晴らしさがさらに迫ってくるかもしれません。
    ラップでは
  • 今様のラップもなかなか人気があります。Nelsonが知る限りでは、ラップは韻文ではなく、散文に近いようです。ただし、強烈なリズム感が支配的です。押韻はそれほど目立たず、あらかじめ用意された歌詞なんでしょうが、しかし、ウリは即時性、当意即妙性でしょう。感じたことをそのまま口に出しているという臨場感、率直性は、変に韻を踏んだ歌詞を作るよりも、頭に浮かんだままを口に出す感のある口語表現の方が適しています。この辺は、今様ポップスの字余りを気にしない歌詞や、日本語のイントネーションをまったく無視するフレーズ作りと、ラップの口調とで通じるものがあります。作法を破ることにより生まれる現代性というか、無頼の匂いは、いつの時代にも新鮮味があります。

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