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宍戸式送信管8012シングルアンプでAltec 6041を鳴らしてみるの記
  • 自作の宍戸式送信管8012シングルアンプは、自宅の聴き部屋がマルチ・アンプですので、なかなか出番がありません。たまたま山梨に行った時に、これを持って行ったので、これをALTEC 6041に繋いでやろうとしました。
  • ところが、このアンプは音量調節が出来ないスパルタンなパワー・アンプだったのです。このままでは、CD出力を入れると過大入力になる筈です。色々考えた末に、現在6041を駆動しているNECのA10Xを利用するしかないけど、テープ録音出力はレベルが固定ですので、スピーカー出力を使うことを考えました。これなら当然ながら音量調節が効くので、これを何とか8012の入力端子に繋げないかと思案しました。しかし、スピーカー出力は+−がバラで、8012の入力端子は同軸のRCAです。そんなケーブルが世の中にあるわけがなく、手作りするしかありません。取敢えず音出しだけはしたいんで、既製のRCAケーブルの片方を落としてバラバラにし、これをA10Xのスピーカー端子に何とか接続しました。さて、、、
  • これが、「親分、大当たり!」です。さすがに今様のブン、ブンというベースはダンピングが足りませんが、ヴォーカルの再生は最高です。Johnny Hartmanの柔らかい声、Carol Sloaneのスモーキィな声、そして40年代のBilly Holidayの張りのある声、全てが眼前に迫る感じです。ワン・ホーン、2管編成、ピアノ・トリオもOKです。音量を上げると、送信管のクセで、中高音が少し硬めになりますが、元来この手のアンプは大音量再生をするものでは無く、普通の音で聴くものですから、問題無しです。不思議なことに、残留ノイズも何故か全く聞き取れません。こんなやっつけの接続方法ですからノイズが付きまとって当たり前の筈で、これはたまたま運が良かっただけでしょう。結局、これで2日ほど聴き狂った次第です。これが、たった7Wのパワーしか持たないアンプの音とは信じられません。このフィラメントを煌々と輝かせながら美音を聴かせてくれている8012という送信管は、不肖Nelsonが産声をあげた40年代前半に生産されたものなんですから、、、
  • それにしても、もう1台の300Bシングル・アンプでは、こんなに力のある、浸透力のある音が出ないことが不思議です。300Bアンプは、ヴォリューム付きですので、CDPからの入力をそのまま繋いでみました。ですから、この違いが8012と300Bという球の違いなのか、それともA10Xを挟むか、挟まないかの違いなのか、それが判りません。今回は時間切れで、その違いは解明できませんでしたが、もしA10Xを挟むことによるものだとしたら、これはちょっと面白い現象で、また遊べそうですが、、、
  • 「いずれにしてもなぁ、、、」と考え込みました。「何でも来いだなぁ。」とまでは言いませんが、殆どのソースで、8012と6041の組み合わせは、魅力的な音を聴かせてくれました。音量調節のためにA10Xをプリ・アンプ代わりに挿入するという余計なステップが入っているし、その接続は余り物のチンケなRCAケーブルを分解した間に合わせだし、6041自体のユニットの原形が数十年昔に遡る旧式なものだし、、、オーディオ・メーカーが広告で主張している文句から見ると、どれを取ってみても良い音など出そうにない要素が揃っているのに、結構聴かせるのです。SACDだとか、ルビジウム・ワード・クロックだとか、コブ付きのケーブルだとか、80dB程度の低能率のスピーカーに500W出力のアンプだとか、現代のオーディオ・メーカーさんは何をトチ狂って居るのでしょうか。「何か、好んで袋小路に入ろうとしているんじゃないのォ。」と、皮肉の一つも言いたくなります。良い音を出す基本的な仕組みは、数十年も前にしっかりと出来上がっているのになぁ、、、

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