(Home - Audio Gears / BACK)

ALTEC 6041 (4)
さて、今度はいよいよ、ALTEC 6041のネットワーク内部です。米国のプロ・オーディオ界の雄であったAltecの「もの作り」の要諦が垣間見られれないかという狙いです。本体及びネットワークの概要については、ALTEC 6041 (1)や、ALTEC 6041 (2)で、ALTEC 6041 (3)で、どうぞ御覧下さい。
ALTEC 6041
左の写真は、ケースの外観ですが、それなりの電力が通過するので、発熱を逃がすためにケースは穴あきになっていることが見て取れます。黒く見えているハーネスは、一つはアッテネーターとの往復のワイアー群ですし、もう一つはユニットに行くワイアー群です。それぞれに黒の絶縁テープでしっかりと結束してあります。アッテネーターとの往復は、痛しかゆしな部分です。往復一米の行き来は、信号の劣化が気にならないでもありません。一方で、各帯域のレベル調整は、前面から音を聴きながらやりたいものです。ネットワークは裏面に置くのが良いが、調整は前面でやりたい、その結果がこのハーネスの往復になるわけです。アッテネーターの調整なんか、最初にしかやらないから、裏面でも良いんじゃないかという声もありそうです。
ALTEC 6041
ネットワーク内部の配線は、昔のスピーカーでは当たり前の太さのワイアーが使ってあります。露出している部分から判断すると、プロ用でよく見られるスズめっき線です。左の写真は、一番上の写真のパネルの裏側です。パネルは金属製であり、当然導電性なので、絶縁ポストが使ってあります。ワイアーとポストの接続部分は、メガネ端子が使ってあり、半田はするは、素材はそこら辺にある普通のものだは、、 と、今の電線音頭世代(^^;の方には信じられないことですが、素材の純度、太さなどには無頓着です。この辺は、日本のスピーカーの吟味した素材の使用に範を取って、この頃は洋物でもしかるべきものを使い始めていますが、少なくとも本機の時代にはそうではなかったのです。言い分が無いわけではありません。一般に高能率スピーカーでは、今様の低能率のものと違って、それほどの駆動電力が必要ありませんから、流れる電流は小さいので、音頭を踊るほどに気を使う必要がなかったのです。正負の極性に応じて、ワイアーの外皮の色を、無地とストライプとに使い分けているようです。
ALTEC 6041
今回の解体の一つの目的が、どんなネットワーク定数になっているのか、調べてやろうということでした。しかし、この写真でもお分かりのように、素子のほとんどに、ディップ掛けがしてあり、種類、数値共に皆目判りませんでした。ジャラン、、、残念ーーー、というところですか。外形から見ると、コンデンサーはフィルムと電解とが使い分けられているようです。ディップ掛けは、恐らくは素子の固定が狙いで、輸送その他の振動などによって、接続が劣化したりすることを嫌ってのことでしょう。ノウハウの露出を嫌って隠したという気もしますが、他方で後日のメンテが困難になるというデメリットもあります。
ALTEC 6041
この写真で見るように、内部はハーネスのツッパリが邪魔をして、蓋が全開できません。ですから、たとえば、コイルが鉄心入りなのか、空芯なのかも、判りません。全体を見回した感じでは、コイルはCRとは離して、しかも軸の向きを適宜変えてあり、電磁結合を回避しようという狙いと思えました。ワイアーまでバラす気になれば、もう少し詳細に立ち入れるのですが、今回はここまで取り合えず手打ちとしました。


(Home - Audio Gears / BACK)