ALTEC 6041 (2)
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ALTEC 6041についての、もう少し詳しいお話です。概要については、ALTEC 6041 (1)で、どうぞ御覧下さい。
604-8H
- 604-8Hについては、別途詳しいメモをしましたので、ここでは特に触れません。これはフレームには8つの穴があり、バッフルには4穴によるフロントからの取り付けです。
6041T
- 6041Tなんて型番は、相当のマニアの方でも聞いたことが無いと思います。無論、コレは、既存ユニットを若干モディファイしたものでしょう。左図でも判るように、ツイターとしては独立したドライバーとホーンを組み合わせた外観が超立派です。ホーンも、どうもくり貫きと思える仕上げですから、JBLの075や2405を蹴散らかすほどの貫禄があります。これは、かなりのマニアしかやらない「1インチドライバーをツイター専用に使う」時の使い方です。右図は、後ろからドライバーを見たものですが、2405なんかよりもLE175や、LE85に感じが似た本格的なドライバーが使われています。手にとって見るとズッシリと重さも十分あり、安手な感じがなく、8キロ・ヘルツでのクロスなんて勿体ないくらいで、もっと低い3キロヘルツ位からでも使える筈です。但しJBLの4343対応という由来からすると、4343は2405を9キロ以上で使っているので、単純には6041Tもスーパーツイターという位置付けで、8キロ以上で使っているのでしょう。かなりの重さを支えるために、太いネジによる4穴取り付けです。
416-8BSW
- 416-8BSWは、ここでは350Hz以下を受け持つサブ・ウーファーで、既存の416-8ウーファーを流用したものです。元来、416-8ウーファーは、プロ用の515ウーファーと同じ40センチ口径ですが、515が余りにもダンピングが効き過ぎて、音の歯切れは良いものの、中音辺りからダラダラと低音に向かってレスポンスが早く下がり始めるので、ホーン・ロードでないと使いにくいこと緩和しようとして開発された、と聞いています。50年代頃から民生用に普及し始めたバスレフでも使い易いように、磁気回路を弱めてあります。例えば、有名なA-7、「Voice of the Theater」は416や803系ですが、最強力なA-5の方は515系です。マグネットの形から見ると、やはりアルニコかと思われます。余りこの型番は聞きませんから、このシステム専用にモディファイしたものかも知れません。右図でエッジが光っていますが、コルゲートされたエッジをダンプするビスコロイドという粘着剤がたっぷりと塗布してあります。センター部の中心に穴が空いてるのは息抜きで、ALTECウーファーに特有のトレードマークです。これもフレームには8つの穴があり、バッフルには4穴によるフロントからの取り付けです。
ネットワーク
- このシステムのネットワークは、なかなか興味深いものです。左図はネットワークの全体を示しています。キャビネットの気密性保持のために、取り付け部周囲に発泡テープが貼ってあり、若干情けない外観です。パネルの下部の「ALTEC」というロゴの真上にあるのが、全体域用入力端子です。赤がプラス、黒がマイナスという普通の表示です。シングル・アンプで普通に使う時は、ここにパワー・アンプからの出力ケーブルを繋ぎます。昔のこととて、端子穴は細い線しか入らないタイプで、スプリングが入って抜け止めになっています。そして、その上部が非常に面白いのです。白線で囲まれたエリアに、LF、MF、HF、SHFと4組の端子があります。中古品で取り説が無く、正確なことは判りませんが、4チャンネル分用意されたマルチ・アンプ駆動用入力端子のようです。下図は、そのスーパー・ツイター(SHF)端子を拡大してみたものです。内側の端子はパワー・アンプからの入力を受けるためのものと思われます。そしてネットワーク・ボックスの中では、そのまま何も介さずにユニットに繋がっている筈です。全体域入力端子と同じくスプリング入りであり、ケーブルの接触を確保し、抜けを防止していることからも、この推測は正しそうです。一方、外側の端子はネットワークを経由後の、ユニットに行く途中に設けた端子だと思います。この図でも判るように内外の端子はジャンパー板で連結してあります。この状態で全体域入力端子にケーブルを繋ぐと、全ユニットがフィルターを経た帯域の入力に応じて音を出すのでしょう。実際に全体域入力端子にケーブルを繋ぐとシステムがフルレンジで鳴りますから、こう考えて良いのでしょう。、、、ということは、ここのジャンパー板はフルレンジ駆動では常時、信号が流れていることになります。銀とは言いませんが、せめて無酸素銅くらいに交換したい気が起きます。その後、このネットワークを分解してみましたので、その辺についてご興味がおありの方は、追記のメモをご覧下さい
マルチ・アンプ
- マルチ・アンプで使う時は、この連結板を全て外して使うことになるようです。そして、内側端子に個別帯域のパワー・アンプからの出力を繋ぐと、ネットワークの介在無しに、直接にユニットが駆動できそうです。でも、このやり方ではどうしてもアッテネータは経由します。厳密なマニアさんなら、むしろユニットに直接にアンプの出力を繋ぐかも知れません。しかし、そうしたいと思っても裏板は外せませんから、2基の40センチ・ユニットの取り外しという力仕事が必要です。「何ごとも、厳密にやるのは手間がかかる」ということの見本ですナ。更に考えられることは、たとえばスーパーツイターを外して調整中に、音は出したい場合、SHF端子の所だけ連結板を外せばいいのです。あるいは、このシステムを4チャンネルでは無く、高音と超高音と一括して、一緒のチャンネルで鳴らすことも出来そうです。こういう3チャンネルのマルチ駆動をしたい時は、スーパー・ウーファー及びウーファーの連結板を外して、この2チャンネル分は直接駆動とします。その上で、ツイターとスーパー・ツイターの連結板はそのまま生かしておきます。そして、全体域入力端子に残りのチャンネルの出力を入れると、ツイターとスーパー・ツイターはネットワークを介した駆動になります。こうすれば、4つのユニットからなるこのシステムを、3チャンネル・マルチ・アンプで駆動できるという仕掛けです。今は全体の音を聴いている段階ですが、いずれそういうことも試したいものです。
各帯域のレベル調整
- ネットワーク・ボックスからユニットに繋がる前に、レベル調整が挿入されています。これをネットワーク内でやる手がありますが、そうするとレベル調整は、箱の裏側に手を突っ込んでしかやれません。右図に示すようにレベル調整のし易さを考えて、この製品ではそれをバッフル前面に持ってきています。これだけのサイズがあると、聴きながら裏板に手を伸ばすことは不可能です。前面のこの位置ならば、聴きながらレベルを調整できます。また、左上図でもわかるように、金属製のボックスからユニットに行くケーブルは、ひと絡げにしてあります。そして纏まった形のままで、スーパーウーファー行き以外は左図のアッテネーターに行って、レベル調整を受けます。アッテネーターは特段変わった所は見受けられず、普通の部品のようです。アッテネーターから出たケーブルは、そのままユニットに繋がっています。
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