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Charles Lloyd--今日このごろ

  • Charles Lloydは、Forrest Flowers等の大ヒット(というのも妙なものですが)の時代からしばらく音沙汰がなかったが、ここ最近の作品も良いので聞いてみませんか、というお話です。
    Forest Flowersの頃
  • これが録音が66年といいますから、今から30年以上も前の作品ですが、発表当時に絶賛され、未だに不滅の名盤としての地位に揺るぎがありません。Montereyジャズ祭のライヴですので、聴衆が熱狂しているさまが良く分かります。スタイル的には、ロックとフリーの申し子ということになるのでしょう。この作品で想起する別の盤、John HandyのLive at Montereyが65年録音ですから、60年代半ばの世の中を象徴する動きの一つなのでしょう。両作品ともに、同じMontereyでのライヴであり、カリフォルニアという土地柄からか、開放的で、フラワーな世代の聴衆がStanding Ovation状態です。「めくるめく」という幻惑的な、たゆたうような浮揚感が、その時は新鮮に思えました。そして今となっても、このように演奏する人は結局他には出なかったな、スゴイな、と得心する独特のジャズです。Keith Jarrettや、Jack Dejohnetteがこのバンドから育ったことも忘れてはなりません。そのLloydが、いっとき、ロシアに行って歓迎される等の活躍をしましたが、その後69年頃から、トンとうわさを聞かなくなっりました。ジャズをやらずに、何か瞑想の導師のようなことをしていたようで、70年代の作品は実際には聞いていませんが、相当に精神的な、ニューエイジものといわれるような作品だということです。
    Fish Out Of Waterの発表
  • A Night in Copenhagen(83年)の作品紹介でも触れましたが、ジャズの演奏にあまり気が乗らなくなったこのひとを、再び創造の世界に引き戻したといわれるのがピアノのMichel Petruccianiです。再起後の欧州公演のライヴであるA NIGHT lN COPENHAGENは、乱暴にいえばForrest Flowersから展望し得る範囲の発展でしょう。Petruccianiの才気溢れるピアノの参入はあるにせよ、そこここに、昔のなごりが聞き取れます。しかし、創造的な活動を再開するほどに元気さが戻ったことは、何にせよ結構なことです。このように、再び演奏活動を始めた Lloydは、89年にFish Out Of Waterという風変わりながら、すばらしい作品を発表し、ファンを喜ばせます。そして、その志向を更に深めて、着実に新しい作品の発表がなされます。すなわち、Notes from Big Sur(91)、The Call、 All My Relations(93)、Canto(96)、Voices in the Night(99)という作品群です。
    合点がいく新境地
  • 一連の作品で、まず特徴的な点が遅目のテンポです。ゆったりと、あるいはじっくりと演奏が展開されます。更にその演奏はどちらかと言えばノーリズムです。時にオン・リズムとなりますが、それも重いスィング感であり、軽目の「乗り」と呼ばれる種類のものには決してなりません。これは、Forrest Flowersの乗りのある演奏とは、志向がまったく異なります。そのせいか、北欧のECM系のジャズメン、Bobo Stenson(p), Palle Danielsson (b),Jon Christensen (ds)等のメンバーが付き合っています。専属もECMになったらしく、特有の透明感ある音作りもあいまって、何かピュアな精神的探求が深まっていく様子がよく分かります。そして、肝心の演奏におけるテーマの展開スタイルですが、単音の簡潔ながら重厚な旋律が選び取られています。あまり、昔のような重音交じりの、苦い音群は出てきません。オペラでいうレシタチーヴォあるいはアリア、詠唱でしょうか。切々と心のたけが美しいメロディとなって歌い上げられるので、この人なりの人間讃歌かとも思わせます。このスタイルには、Bobo Stensonはうって付けと感じます。そして、重ねて思い知るのが、他の誰もこういうジャズを今までやってないという、Forrest Flowersのときと同じ独自性です。きっと、これからも誰も真似し得ないのでしょう。エライ。この一言に尽きます。宜しければ、 Charles Lloydもどうぞご覧ください。

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