ブラウニーがドルフィーと競演?
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少し前に、例によってえさ箱を漁っていると、アレッ、こんなの、というのにぶち当たりました。それが下に示したCDです。
"Brownie's Eyes Vol. 2", Philology W 1001.2, Made in Italy
- ブラウニーは御贔屓なので、先ず最初にレーベル名がPhilologyとあるのを見て、ヒョットしてブートレグの出物かと思いました。曲目によっては買っておくかなぁ、と裏返してみると、ロリンズ入りの「ジョードゥー」が17分と書いてあるので、コリャ買いだな、と決めました。しかし、コトはそれで終わらなかったのです。5曲目に「ワフー」があり、ナント、そこに"Jamming with H. Land and E. Dolphy, in Wilmington, date unknown"(太字はNelson)とあったので、目を剥いたわけです。この手の物は録音が悪いに決まっているとしても、この二人の組み合わせは見逃すわけには行きません。
- 知る限りで、この二人の共演はありませんから、もし本当ならNelson的には一大事に入ります。帰途、知り合いのドルフィーファンに電話を入れると、心当たりには無いので調べると言う。「コリャ、面白いものが手に入ったなぁ、だからコマメに足を動かさなきゃいけない、ということだなぁ」と一人納得しました。
- その後、帰宅して聴いて、更にインターネットで(例えば、http://farcry.neurobio.pitt.edu/Discographies/Ericdiscog.HTMLなど)調べたり、友人のファンに聞いたりした結果は、総合すると以下のとおりです。
- ドルフィーは当初は西海岸におり、自宅にスタジオらしきものを持っていた。彼は人柄の良い人だったので、楽旅で西海岸に来た人が彼のところに身を寄せることが時々あった。ブラウン・ローチクインテットもその例に洩れず、ドルフィーのところに寄ったことがある。記録によれば、Clifford Brown, Harold Land, Richie Powell, George Morrow, Max Roachというメンバーの時期だった。夜のギグ迄の間、色んなことをしたが、練習もした。特にブラウニーは練習好きで、その練習の一部を素人録音したものがこれらしい、ということです。
- さて、肝心の演奏ですが、これが他のメンバーは何となく居ることが分るし、ブラウニーが居るのは明らかですが、ドルフィーはナント「確認できない」のです。アルトが聞こえる気もするのですが、ドルフィー独特の音とは聞こえず、したがって発行元のPhilologyがそう主張している、に止まっている、というところです。まぁ、素人録音で、楽器のバランスが悪いのは当たり前、ドルフィーは確かにその場に居たんだ、という逃げ手もありますから、、、
- ご興味のおありの方に、参考までに録音データを写し取りました。
1 BLUES (14:12)(most probably early 56) date and club unknown
2 JORDU (17:29)(CB, S Rollins, R Powell, G Morrow, M Roach)
3 PRACTICE TAPES(4 sections)(17:29) CB's Home (on Dizzy Atmosphere)(probably '54)
4 STRIKE UP THE BAND (3:36) Rehearsing at Home
5 WAHOO (14:03) jamming with H Land, E.Dolphy in Wilmington, date unknown
6 (flashes of Brownie)SOMEBODY LOVES ME (2:02)--INDIANA (1:50)--
NIGHT IN TUNISIA(3:28)--UNKNOWN TUNE (1:49)
7 AU PRIVAVE (3:17) Brownie on piano
- とはいえ、面白いものがあるもので、結構その過程は楽しみました。この項の「レコードか、ライブか」でも触れましたが、レコードとして公表されているのは、本人の演奏活動のごく一部なので、こんな組み合わせもある筈なのです。残念ながら、今回はブラウニーの流麗なトランペットに、ドルフィーの飛び跳ねるアルトが絡む演奏は聞けませんでしたが、とはいえ、Nelsonのレコード漁りは、懲りること無く、さらにつづくに違いありません。
最近の情報に基づく補遺
- 先頃、Clifford Brown and Max Roach (Mercury/ Verve 314-543-306)というMaster Editionでの再発盤を買った所、この辺に関するDon Cherryの思い出話を見つけました。西海岸でのブラウン・ローチ・クインテットの旗揚げの時に、この二人は同じアパートで同室していたそうです。そして、上記のように南セントラル西36番街のE. Dolphy家の裏にある練習場で、よくジャムセッションをしていました。Don Cherryの記憶によれば、ある時Walter BentonとHarold Landという二人のテナーが、ジャムセッションにやって来ました。ローチは、ブラウニーに「この二人のどっちかをバンドに入れたいから、ジャムっている間に考えて置いてくれ」と頼みました。ブラウニーは困った末、ジャムセッションでの様子を見て、Harold Landに参加を請うことにしたんだそうです。、、、こういう補強情報もありますから、上記の録音データは、あながち間違いではないようです。
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