油井さんの「モードの研究」
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油井さんは日本におけるモダン・ジャズ・ファンにとって結構大事な人ですが、Nelson的にも「Mode Study」という2枚組みでお世話になったというお話です。
「モードの研究」、Mode Studyとは
- このモードの研究は、昭和37年に日本コロンビアが既発売のMilestonesとKind of Blueとを2枚組み盤として再発売したものです。コレを買ったのは学生時代で、いずれ買いたいとは思っていたものの手元不如意で、まだ持っていなかった時期です。それが、2枚組みで2千円で出たので、手が出たわけです。そしてコレは正に擦り切れる程に聴きました。確かこの時期にはSJ誌も例によって(失礼)、提灯記事を掲載して他聞に洩れず囃していたはずです。
入門の頃
- まだ大学生になってまもなく、ジャズ喫茶に出入りし始めたばかりのことであり、ましてモードなんてものが何かなんて全く知らなかった頃ですから、このアルバムは干天の慈雨のごとく、体に沁み込みました。ナルホド、こんな風にジャズの新しいスタイルが生まれてきたんだ、と判った気になったのです。
Discography
- このアルバムには、油井さんがコロンビア期の当時までの発売盤13枚を整理されており、「いつかはこれらを全部聞いてやらなきゃぁナ」と感じたものでした。今見直しても、やはりそうだったのか、とまだ不思議ですが、「マイルスとJ.J.ジャズトラック」という盤が掲載されています。コレが欲しくて相当に探したのですが、とうとう現物を目にする事はありませんでした。今では「1958 Miles」として出ている盤がそうだと思います。当時既に日本でも、モダンジャズの人気は定着しつつあり、この盤を入手できなかった事で、「そうか、俺は遅れてきた青年なのか」と悔しく思ったのを思い出します。
と言うことで
- この2枚組みに限らず、聞き始めの頃はジャズ喫茶で何度も聴いて、コレは買うしかないという盤しか買えませんでした。絶対的に、金が無かったのです。選定に選定を重ねて良い物から順に買うのですから、それこそ「聞くもの全てが名盤」状態です。30年も前でも一枚2千円はしていたのですから、今や初任給が十倍弱にはなっているのですから、相対的に「昔はソフトが今よりも高かった」事は間違いありません。
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