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日本編集のCollector's Item -- ボックスもの
  • Jazzに入れ込み始めの頃に、日本編集によるCollector's Itemというボックスものを見て涎が出た、と言うお話です。
    Jazzに入れ込み始めの頃
  • Nelsonは、学生時代にJazzに入れ込み始めたわけですが、当然ながら小遣いは乏しく、確か家庭教師が月4−5千円の頃でしたから、当時でも2千円を超えるLPを月に一枚買えるかどうか、という状況でした。麻雀やコンパで幾ばくかの金は出て行きますから、ジャズ喫茶に通った上で現物も買うというのは相当の覚悟を要したのです。今ならバイトで数万円というのが当たり前でしょうから、昔は無かった色んな付き合いや携帯の電話代がかかるといっても、その気になればCDを相当に買い込める筈、という状態が羨ましいものです。
    四苦八苦の中で、、、
  • それでも欲しい盤はあるわけで、雑誌の交換欄などはよく見ていました。ある時、Moving out/ Sonny Rollinsが700円位で売りに出ていました。いわゆるMJシリーズで、勿論モノ録音盤です。当時はロリンズに入れ込んでおり、モンクとの共演盤ですから手に入れたいところです。その方は豊中の方だったので夕方に阪急の駅で会って売買ということになりました。その受け渡し中に色々話したところ、当時のNelsonが「とても買えないや」とあきらめていた日本編集のCollector's Itemのボックスものを、その方はどうやら持っているらしいと分かりました。Nelsonにとっては垂涎ものの盤なので、どんなセットなのか、内容などに話が弾んで、「下宿まで来たら聞かせてあげる」ということになりました。
    日本編集のCollector's Itemのボックスもの
  • このボックスものの話をする前に、昭和40年前後の国内盤発売状況を説明して置きますと、結構このような編集ものが出ていました。恐らくは、当時としては高価であったLPを売り出すのに、オリジナルのままでは無く、その中の名演のみを選りすぐって出したほうが売れるなぁ、ということだったのかもしれません。無論Bags GrooveやWalkin'のように原盤のまま発売、というのもありましたが周辺ものになると、油○、久保○、植○さんなどに選曲をさせた物が出ていました。また、今も持っていますが「Thelonious Monkの芸術」等と題して、ベストものも一杯出ました。たしか「モダンジャズ名盤収集会」とかいうシリーズ名で長期間にわたって色んな盤が出され、評論家連中が監修料か何かを貰っていたんでしょう。まだModern Jazzがそれ程の認識を得ておらなかったし、識者らしき人の鑑識眼に頼った発売というのがまかり通っていたわけです。従って解説も堅く、「オラオラ、教えてやるから有り難く聞けョ」という感じが馴染めませんでした。そしてCollector's Itemのボックスものもその一環として出されたもので、Prestigeのハードバップ萌芽期の録音を4枚ものに編集したものです。その選曲は、Miles DavisならマイルスのコンピのPrestige部分に出ているような演奏を集め、その他Rollins、Coltrane、Monk等の曲もどっちゃり入って居ました。今でも、中古屋さんでたまーに見かけますが、今更買う必要もないかもしれません。
    例えばOpus de Funk
  • その時その方の下宿で、Collector's Itemのボックスものの中から聞かせてもらったのが、例えばOpus de Funkで、Milt Jackson Quartet/ Milt Jackson Quintet (Prestige, PRLP7059/ OJCCD125)でHorace Silverとやっている演奏でした。Savoy録音ではなくPrestigeのこの演奏は、54年の録音で、いかにもと思わせるMilt JacksonとHorace Silverのファンク一杯のアドリブには降参しました。このボックスものは当時は一万円近い定価であり、「やっぱり金が要るなぁ。」と思ったものでした。とは言え無いものは無いわけで、欲しいと言う気持ちは後に5百円位で手に入ったこの演奏入りのEP(^^;)を買って誤魔化しました。更には、後年になって社会人となってから、この盤自体を手に入れることによって最終的に満たすに至った、というNelson的には涙、涙の蒐集秘話となるのです。入門時でジャズに熱くなっている渇望期に「これ」と思った演奏は、どうも脳底深くトラウマとなって残るようで、実際に自分の装置で好きなときに、何度でも繰り返して聴ける状態になるまでは、「渇き」が癒されないようです。というか、結構Nelsonもしつこいのかも知れませんネ。
    ともあれ
  • そのボックスは、Miles DavisがCharlie Parker(契約の関係でCharlie Chanと表記)とやった名盤Collector's Itemの名前ばかりか、ジャケットもそのまま箱の意匠にパクッたものであり、これは内容ともぴったりで納得しました。確か4枚位のLPが入って居た他、20ページ位の解説書が付いており、その頃のジャズの流れと各曲の解説がなされていたと思います。「Collector's Item」とは、御存知のように、収集家が(と言うからには)基本的に揃えるべきもの、という程度の意味で、意匠はワインの瓶を並べたものとなっています。当時からNelsonは深読みが好きであり、制作がBob Weinstock(同社の社長)とあるのを見つけて、ナルホドWineのStockか等とニヤついた記憶があります。
    (追記)先頃、このボックスものをお持ちの方のサイトを見つけました。結構詳しい紹介をなさっておられ、限定数が5千部だったことも、初めて知りました。
    今の方だって
  • それで肝心のMoving out/ Sonny Rollinsは、当時の薄手のジャケットが痛んでいて、音は大丈夫なものの、名盤とは言え、見掛けは良くありません。友達が「エェーッ、こんなもん買うたんかいや」というような、まぁ外見は劣悪な状態でした。もう一人の友達は、「そやけど、この盤が欲しかったんやから、外見は関係あらへんやろが」とフォロウしてくれました。やはりそれ程収集癖の無い方は、そんな汚いものに手を出したことに「呆れたやっちゃなぁ。」と反応し、それなりに蒐集の苦労をされている人は音さえ良ければ風体は関係ないと考えて「そうか、よくやった」と同感して呉れます。今は相当に色んな盤が街中に出回っていますから、蒐集の苦労は無いように見えますが、実はそうでもありません。このサイトに出ているIn the World/ Clifford Jordan等が欲しいんだけど手に入らない、とボヤキのメールが時々来ます。「いや、まぁ気長に探しましょうよ」と激励の返信をしますが、入手の困難性は知っています、その辺の盤は、長く聴いているだけあって手に入れているので、正直言って「頑張った甲斐があったなぁ」と感じます。今も昔も、足で稼ぐというか、手間暇を惜しんではいけません。そういう意味では、上記の話を「そんな手間かけて、アホちゃうか。」と思うか、「巧いこと手に入って、良かったな。」と思うかが、収集癖の度合いを測る尺度かも知れませんね。

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