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コレクターにはなれないNelson
  • Nelsonは、ただ単にジャズを聴くのが好きなだけのオヤジであって、恐らくコレクターにはならない(なれない?)んじゃぁ無いか。「置く場所が無いもン」なんて言ってるようじゃなぁ、、、というお話です。
  • 松浦正剛さんの「千夜千冊」があるかと、我が村の図書館(^^;に行ったんですが、まだ入っていないようなので、書棚の間を経巡っていたら、「ブックハンターの冒険」(牧 真司、学陽書房、2000年)という本が目に付きました。。
  • 牧さんは、SF書の筋金入りのコレクターさんのようで、その猟書のこもごもを語っておられます。一夜、これを読み進んでいくと、「SFもの猟書の世界も、まぁ、ジャズの猟盤の世界と似てるなぁ、、、」と気付きました。
    その収集の徹底ぶり
  • 以前に書痴と盤鬼 -- 「エラリィ・クイーン談話室」からにもメモしましたが、本狂いの方達の徹底ぶりには瞠目というか、あきれるしかありません。以下、牧さんが語る猟書の世界の片鱗を少し、、、
    1. ある作家のファン・クラブ会員ならば、「単行本は全部揃っていて、全集は愛蔵家版の著者サイン入り」程度では、「マダマダだねぇ、、、」の段階だそうです。更に、限定版や私家版にまで手を伸ばしたり、もう少しで全作品が初版・帯付きで揃うくらいが、最低限のレベルだとか
    2. 古書店のハシゴをして、手に余るほどに収穫があったら、適当なスーパーで段ボール箱を貰い、ザック中に常備している(^o^)ガムテープで梱包して、宅急便で出してしまう
    3. 友人がメールで「○○がXX書店にあった」と知らせてきたので、早速駆け付けて保護。その友人から直ぐにまたメールがあって、「気になったんで、買っておいてあげようとまた行ってみたら、もう売れていました。」と済まながっていた。持つべきは、親友なり、、、とか
    4. もう置き場所が無いと嘆く友人が、「死んでしまえば、もう買わなくって済むなぁ、、、」と遠い眼をする。「そうだ、遺書を書いて、君とAとBとを引き取り先にしておこう」というが、冊単位じゃなく、トン単位の話なんで、返事に窮した、、、とか
    5. ある作家のファンは、新刊は3冊買って一冊を読み、2冊目は控え、三冊目は保管用にするとか。「言うは易し、行うは難し」でしょうねぇ
    6. 地方の古書店の方が、都会の店よりも安いとは限らない。今は、ネット時代なんで、情報の格差は少ない。中古に出盛りのものは、都会では回転を速くするために捨て値を付けることがあるし、人気のピークを過ぎた古書を、地方では一昔前の高値のままで、売値を下げずに漫然と売っていることが多い
    7. 「新刊で買えなかった本を古書店で買う」というのが基本だろうが、猟書を始めてしばらく経つと、古書店の棚から学ぶという面が無視できないことに気づいた
    8. (牧さんは)蔵書は、文庫、新書、大型本、資料本(洋和)、戦前の本、日本の作家もの、翻訳書、児童書、雑誌、同人誌等と分類して並べている
    9. 調べ物があって友人に電話を入れると、「それなら、今、書棚の前にあるから待って、、、」と頼もしい返事。しかし、電話の向こうから雪崩のような音がした後、いくら呼んでも応答がない。以来、その友人の消息は杳として知れない、、、とか

    ジャズの猟盤においても
  • 上記のような狂いぶりには、色々と思い当るところが、皆々様にもおありでしょう。Nelson自身に引き付けて言えば、、、
    1. 市販ものに限っても、完コレしたジャズメンは一人もいません。おっと、田村翼さんは、数が無いんで行ってるかな。まして、マニア間で動いている私家録音のカセット・CDRなどは僅かしか持ってません。サイン入りLP全セットなんて板橋文夫さんだけ、、、どうも何とも、お寒い所蔵棚です。オークションで入札したこともありませんし、外国人のジャズファンでメル友と言える人も、数人に留まります。
    2. 愛用のサブザックに入らないほど、1日で買った記憶はありません。先年のニューヨーク1か月滞在でぐゎんばった時でも、大型トランク満杯くらいでした。買付けのプロなら、飛行機代がかかってますから、段ボール2、30箱なんかは当たり前なんでしょうけど、、、でも、通関が大変らしい。
    3. 友人から珍品陳列の報があり、おっとり刀でそれを押さえに駆け付け、首尾良く保護したことが、一度だけあります。茨城在住ですんで都内までは結構な距離があり、フットワークが良くないのです
    4. Nelsonは、聴き部屋の容量が満杯になると、一夜呻吟の上、然るべく処分して棚に余裕を作ります。珍品はキープして、再入手可能な出回り品を切ります。先輩は、風呂場にまでブツがハミ出しているそうです。昔住んでおられた商店街の旧宅の2階は、たしかに根太がイカレ始めていましたねぇ。Nelsonは、足で買って集めるのが好きなんで、他人様の遺品の面倒まで、見る気はありません
    5. LPとCDならイザ知らず、オリちゃんと再発もの、それに欧州発売のジャケ違い等と、コレクターで集められる方がいらっしゃいますが、そんな置き場所もないし、Nelsonは、基本的に音源はデジ and/or アナ、各一枚っきりです
    6. これは、確かに同感です。地方の店の魅力は、値付けよりも、長年動かなかった品物が売れ残っていることにあるのでしょうか
    7. これも、皆さん、共感されるでしょう。「こんな盤があるんだぁ、、、」とエサ箱に教えられることが、何年かに一度はありました。まぁ、B級盤ですけどね
    8. Nelsonは、リーダーの姓のABC順で、デジ・アナ別、VAものと未決箱を別置くらいですし、まぁ、4千枚足らずの、一部屋ですから、話は簡単です。先輩は入荷順で、マンション中に汗牛充棟(^^;、数万枚あるのに、どんな盤でもスッと出てきます。ただし、寄る年並みでこの頃は、しばらく聴いていない盤は考え込むようになったそうです。まぁ、それが当たり前でしょうが、、、万余の盤があるんですから
    9. これって、ネタでしょうがぁ

    コレクターの域
  • Nelsonは、この本を読む前から、自分がコレクターの域には到達しないと気付いていましたから、まぁ、この本を読んでそれを再確認したというところです。盤は最善と思える状態の盤が一枚あれば、ジャケ違いなんかをNelsonはあまり気にしません。そういうことに時間を割くよりも、愛蔵盤をもっと深く聴き込んだり、それらを良い音で聴けるようにと、装置を最善の状態にキープする方が大事です。物欲と、ジャズの耽溺欲とは、少し違う気がします。
  • 恐らく千枚を超える、心底惚れた厳選愛蔵盤を日夜取り出して聴き狂う、、、それがNelsonの性に合っています。そんな愛蔵盤が新たに見付からないかと、足で稼ぐ猟盤(新旧)を欠かしたことはありませんが、そうそう転がっているわけもありません。
  • 言い過ぎていたらご勘弁願いますが、モノ集め、とりわけ意匠の変幻に無上の喜びを感じるコレクターは、スィング感のあるブルージーな演奏さえあれば満足なジャズ・ファンあるいは、ジャズきちとは、似て非なるものです。人、それぞれ、、、ですから。ジャズ・コレクターではないジャズ親父は、この世に一杯居ます。
    (とは言え、「この5TB HDDだけど、あんたの所蔵全部がWAVになっていて、ジャケットとライナー・ノートのイメージまで付けて、RAIDでバッチリ入ってる。視聴ソフトも良いのが付いてっから、聴き部屋のCD・LPと全取っ換えしませんか」と言われても、今は乗らないでしょうネ。)

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