2004年3月某日 ミンガス盤で、ヒョウタンから駒 (発端)
- ミンガスのアムステルダム・ライブ盤(右掲盤)を見かけたんで買ったところから、色々と面白いことが立て続けに起こった、というお話です。
アムステルダム・ライブ
- ミンガスの64年訪欧楽旅には、正規録音の他に海賊盤が一杯あります。それ程にこの時期の彼のワークショップは、一つのピークを迎えており、記録に残しておこうという気にさせるものがあります。辛口に言えば、同じ曲を繰り返して録音しているだけなんですが、それぞれに盛り上がりがある上に、一癖も二癖もある人達の集団が持つ強烈な匂いに惹かれる方が少なくないようです。それほどのファンでなくとも、、熱いジャズに目がない人ならば、このグループの盤は何枚かはお持ちの筈です。
中古店で見つけて
- この盤を、ある時、中古店で見かけたので買い込みました。64年の4月10日のギグなんで、Eric Dolphyは勿論のこと、数日後に体調を崩すJohnny Colesもまだ元気ですし、Clifford Jordanが入っている、というのが「買い」の動機です。この時点では、ピアノがJaki Byardで、ドラムスはいつものDannie Richmondです。兎に角一度聴いてみれば判りますが、まぁ、聴けば元気が出ちゃうジャズです。この4月の初めには、有名なタウン・ホール・コンサートがあり、これはアナログで持っています。それから直ぐに訪欧楽旅に出発して、その最初のギグが、このアムステルダムで行われたという、皮切りの演奏だったようです。Dolphyフリークの愚息にこの盤のことを聞いたら、「Alan Saulのサイトに行ってみれば、更に何か情報がある筈だ。」と教えてくれました。
Alan Saulのサイト
- 斯界ではDolphy情報の濃さで有名なこのサイトは、何度かのぞいたことがあります。どうも神経学か何かの研究者さんでありながら、ここまで調べるのかというほど詳細な情報が詰まった専門サイトを運営されています。まぁ、Cotrane研究における藤岡さんに当たる方です。今回再訪してみると、これまで気付かなかったんですが、このコンサートの当夜にDolphyにインタビューした人がいたと書いてあります。更に、そのインタビューと、「Last Date」盤の「音楽は宙に消えてしまって、二度と捕まえられない」発言とが不思議な関係にあるらしいのです。
Dolphyインタビュー
- つまり、あの「Last Date」盤の最終トラックに入っているDolphyの肉声は、このインタビューのテープから、そこだけ抜き出したものだった、というのです。実は、このインタビューの存在は、ボンヤリと既に知っていました。しかし、あの肉声の元インタビューの筆記録がネットにアップされているとは知りませんでした。そして、同じようにご存知ない方も多い筈だと気付いて、翻訳する気が起こりました。早速、この筆記録の権利を持っているオランダ人にメールをして、「商業利用でなければ、訳して良いよ。」と許可を得て、ここに全訳を載せておきました。あの「虚空に消える」発言は、こういう文脈の中で出てきたんだと、Nelsonと同じく意義深く再認識される方が増えれば、望外の幸せです。実は、そのメールのやり取りの途中で、こんなこともありましたので、それも別にメモしておきます。
ということで、、、
- ミンガスのアムステルダム・ライブ盤と、あの「Last Date」盤が意外な所で繋がっているので、驚いてしまったというお話でした。
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