2014年某月某日:リスボンで猟盤三昧(4)
- 先日、リスボンでジャズ専門のCD屋に出かけて保護したCDです。その店を捜し歩いた時のことは、ここに、そして店内の様子はここにあります。
「Record Shop Bar」
- 「Trem Azul」(「青い電車」)は、前記したようにフリー気味の盤が多いんですが、Nelsonはいつものものしか買いません。日本で買えない盤とも思いませんが、旅先で記念に買うこと自体に意味がある気がします。荷物のパッキング時に繰り返し触るので、何んとなく旅情を掻き立ててくれますし、帰国後に聴く時には買った時の情景が脳裏をよぎったりすることもあります・・・ということで半時間ほどエサ箱を捜し歩いて保護した盤は、下記の通りでした。全部、2,300円くらいの値付けですね。
- Charles Mingus/ Eric Dolphy Quintet/ Sextet: The Salle Wagram Concert, Complete Edition (Jazz Collectors JC-428, 2CD's, 15.90 Eu)
店頭買いなんで、ちょっとあやふやな所もあると意識しつつも、保護しました。この標題自体だと、すでに手持ちで、娘さんが出したThe Legendary Paris Concerts Featuring Eric Dolphy(Revenge! 32002)とダブるのは承知の上です。しかし良く見ると、CD2枚を一杯、一杯に使うと空きスペースが出来るようで、2枚目の殆どに当る6トラックが、「The Chico Hamilton Quintet with Eric Dolphy」(Recorded Live at the Newport Jazz Festival, 1958)とクレジットされているので、食指が動きました。このライブは、例の映画、「真夏の夜のジャズ」に収録された「Blue Sands」しか手持ちは無い筈だと思って、保護したのです。帰国後に聴いてみると、この6トラックの揃いは貴重なようで、一部が同じジャズフェスでの「Gerry Mulligan/ Art Farmerのライブ盤」に付録として入っていますが、6曲揃ったCDは、このCDだけらしいのです。ジャズフェスに付き物の前説なんかも収録されていて、これはこれで保護の価値はありました。
- Charles Mingus/ Eric Dolphy Sextet: The Complete Bremen Concert (Jazz Lips JL-774, 2CD's, 15.90 Eu)
これは上記ギグの前日のブレーメンでのギグで、つまりパリのギグの途中で体調不良になるJohnny Colesが、その前夜の全トラックで元気だと判るCDです。
- Sonny Rollins Trio/ Quartet: Paris 1965/ Copenhagen 1968 (Gambit 69282, 2CD's, 15.90Eu)
65年のはパリで地元ジャズメンとのギグ。そして、68年のはカフェ・モンマルトルでKenny Drewのハウス・トリオとのギグ。無論、後者の聴き応えは充分ですけど、前者だって御立派。明らかにトレーン流を消化しつつ、しかし自分のスタイルで音吐朗々と吹いていて、溜飲が下がります。
- Jackie McLean/ Mal Waldron Original Quartet: Complete Recordings (Lonehill Jazz, LHJ 10272, 2CD's, 15.90Eu)
標題通りの内容なら良い買い物だな、と思いきや、「Left Alone」や、「4,5,6」、それに何枚かのPrestigeのジャムセッション盤等から、カルテット・トラックを抜粋して集めてみた・・・という仕上がりで、羊頭狗肉です。その上にボーナス・トラックとして「4,5,6」の残りの5と6の編成によるトラックを収録しているという中途半端さです。でも、この二人が大好きなNelson等は、このまま聴けば2時間以上も彼らの演奏に浸っておれるので、それはそれで意味があります。
- 同好の猟盤趣味の方は既にご存知でしょうが、近年、ラジオやテレビで放映された音源の発掘が多く、「へぇっ・・・こんなのがあるのねぇ。」と驚きます。これらは、関係する局から流出したものと思われますが、最近の、それもポップスやロックならいざ知らず、ジャズ音源等は管理が緩いのでしょう。放送されたほどのものなんで、一応は音のレベルもしっかりしていて、しかも放送するくらいなんで、話題のジャズメンの、人気が出ている時の演奏であることが多く、大昔の、隠れて手持ちテレコを回してという音源よりは、当たり外れが無い気がして、つい手が出てしまいます。
- これ以外にも、Dave LiebmanのCDにも手が出そうになりましたが、上記にとどめました。EUではこの頃どこでもそうなように、この店でも「カードで」というと、スッと卓上端末を差し出されます。こっちに向けた、目隠しがついた端末での打鍵内容を店員に覗かれることなく、自分一人でPINをキー・インする認証方法であり、スキミングなどの可能性が低そうで好感が持てます。大昔はよく漢字で署名しましたが、ある時「僕の名前は日本語の漢字なんで、真似できないでしょう。」と言ったら、骨董屋の店主がニヤッとして、「もう一枚、何か買った伝票を作ってしまうのは、簡単なんだから、気を許しちゃいけないよ。一枚見本があれば、えぇっと漢字だったっけ・・・その署名を書き損じた形に見せかけて真似るくらい、僕にだって出来るんだぜ。」と冗談なのか、本気なのか言われてしまったことを思い出します。まだカードの保険が万全でなかった頃のお話ですが・・・
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