Real Gone Jazz社のアンソロジー(3)
- 英国のReal Gone Jazz社が300種以上も出しているパブリック・ドメイン音源を使ったボックス物に関するメモの続きです。同社やこのアンソロジーの全体的な話は、すでに(1)と(2)にメモしました。今回は、いくつかのアンソロジーの内容について触れます。

「The Three Sounds」
 - 「The Three Sounds」の盤はこういうアンソロジーで試し聴きするのに一番適している・・・と言うと、恐らく彼らの熱心なファンの方に怒られるかも知れません。でも、「The Three Sounds」のように肩が凝らないのが売り物のジャズは、このRGJのシリーズならではの聴きものです。このシリーズらしく、LP8枚分、CDで4枚が見開きボックスに入っていて、それが980円なんですから、文句を言う人はいないでしょう。その8枚の中身は以下の通りです。
- Introducing the Three Sounds (1958)
- Branching out, with Nat Adderley (1958)
- Introducing the Three Sounds Vol. 2 (1958)
- Bottoms up (1959)
- Moods (1960、レーベルの創始者であるAlfred Lionの奥さんがジャケ写になっているのが面白いというか、おかしいのです)
- Hey there (1961)
- Here We Come (1960)
- Blue Hour, with Stanley Turrentine (1960)
- この8枚で、60曲近くが収録されていて、Blue Noteに彼らが入れたアルバムの殆どがこれで聴くことが出来ます。「The Three Sounds」というグループは、Gene Harrisがリーダー格で、ドラムスは時々変わりますが、ベースは一貫してAndrew Simpkinsで、この二人が揃っていると、「The Three Sounds」というグループ名を使っています。例えば、同じくGene Harrisがピアノ・トリオをやっていても、Andrew Simpkinsが居なければ、単にGene Harrisトリオと呼ぶのが普通です。このグループは、Blue Noteに12,3枚の作品が残っており、Alfred Lionにしては珍しい、俗にいう「シャリコマ路線」ものです。そのうち、Public Domain領域にある8枚が、ここにあるものです。その彼らは、一時期、多分1962年頃以降には、Limelight等に録音していました。その後、またもう一度Blue Noteに戻ってきた後、Concordに完全に移籍してからは「「The Three Sounds」とは呼ばずに、Gene Harrisトリオやカルテットなどとして多くの作品を出しています。我がサイトでは、上記の中では、最後の「Blue Hour」のみをデータベースに採用しています。今、棚を見た所では、「Introducing the Three Sounds (1958)」と「Bottoms up (1959)」が手持ちにあり、その他のBN盤は、「Live at the Lighthouse」、「Live at the 'IT' Club」、「Variation」等です。後年のConcord盤は音が良いので、10数枚持っています。Andrew Simpkinsの盤では、珍しいリーダー作の「Comin' at Ya/ Thhe Andy Simpkins Quintet 」(Mama MMF1002)を持っていますが、良く聞くのはむしろ、ごひいきの田村翼さんの盤、「Jazz Prestige」盤です。
「Ramsey Lewis」
- 「Ramsey Lewis」の盤も、「The Three Sounds」盤と同様に肩が凝らないのが売り物で、不肖Nelsonが在学中に通ったジャズ喫茶では、彼の盤がかかるとお客さんの殆どが手拍子を打って楽しむという光景が見られました。「The Ramsey Lewis Trio」の面子は、ベースがEl Dee(おそらくLD)Young、ドラムスがIsaac Red Holtでずっと変わらず、安定したサウンドで、結構人気がありました。ここでも、LP8枚分、CDで4枚が見開きボックスに入っていて、それが980円です。その8枚の中身は以下の通りです。
- Lem Winchester and the Ramsey Lewis Trio (1958)
- Down to Earth (1959)
- Stretching out (1960)
- In Chicago (1960)
- More Music from the Soul (1961)
- Never on Sunday (1961)
- The Sound of Spring (1962)
- Country Meets the Blues (1962)
- この8枚で、76曲が収録されているのですが、これはBlue Noteレーベルと違って、原盤のArgoレーベルでは、殆どの盤が片面が15分程度で、長くても20分までは行かないからです。上記を見て直ぐに判る通りに、彼らの畢生のヒット作、「The 'In' Crowd」盤が入っていませんから、このボックスはあまり捌けないかも知れません。その盤が入っていないのは、何も選定眼の問題ではなく、単に録音時期の問題です。録音が1965年となると、まだ「パブリック・ドメイン」とは見做せませんから、収録不可なわけです。
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