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「音の書斎 -- あなたのレコード棚見せてください」

  • 「音の書斎 -- あなたのレコード棚見せてください」は、音楽の友社が刊行するOntomo Booksの中のヒット商品で、1996年に刊行されたもので、程なく続編も出ました。副題が更に付いていて、「26人の部屋とコレクション」となっています。中々巧い所に目をつけた企画だと感心しましたが、そう思った方も多かったらしく、やはり評判が良かったのでしょう、直ぐに続編も出ました。企画した人自体がある程度の収集家でもあり、同じ視点からみて痒いところに手が届く取材は好感が持てました。数年前の刊行であり、店頭にはもう無いので、古本を手に入れるか、図書館で借りると良いかも知れません
    編集意図
  • 音の書斎 「26人の部屋とコレクション」という副題で判るとおりに、今までの本と違って、コレクションのウンチクを語らせるとともに、その収納の様子も取材して、収集の苦労の一端を垣間見ようというものです。音楽媒体のコレクション自体は、誰もがやっていることです。従って、万余の盤を集めて、夜な夜な頬ずりをしている人も結構居るに違いない、と誰でも想像がつきます。しかし、「万余の盤」と一口に言ってしまうと簡単ですが、アナログで一万枚ともなれば、それを収納するには大雑把に5立米の容積をもつ空間が必要になります。出し入れで若干の余裕が必要となりますから、2米高さにして5平米にも上る面積の床にギッシリということになります。部屋の壁際に棚を張り巡らすにしても、20米近い長さを必要とすることとなります。言いたい事は、「結構集めてもうたけど、もう置くとこ有らへんやんか。引越しなんか出来(でけ)んなぁ。」ということになってしまう、ということです。そこで、他人には言えない収納の苦労があるわけで、トンでもない工夫を皆さんがしているのです。その苦労に耐えかねずに泣き言を言うと、「アホか、お前、そんなもん、エエ加減に買うのん止めて、要らん盤を捨てたら済むことやろが」と馬鹿にされるのが、オチです。この趣味の無い人にとっては、それが自明のことです。「それがでける位なら、苦労はせんワイ。」という堂々巡りの世界です。その苦労の実態、正直のところ、他人には余り知られたくない「恥部」を、出版物上で晒し者にしよう、という非道い企画なのですが、読者にしてみれば「そこがオモロイ」と言うことになったのです。
    皆さんの御様子
  • 本体記事の他にコラムもあるので、実際には40人近い方の収納事情が公開されています。ジャズ関係と言える人が、まぁ8人と数えるのでしょうか。ジャズ以外のポップス、ロック、歌謡曲、クラシック等々の方が多い構成です。所蔵量的には少ない方で一万枚弱で、多い方は音楽評論家などがいらっしゃって10万枚は行かないが、それに近いという感じです。コレクション対象は、アナログはEP、10インチ(老婆心ながら、トインチと発音ください)、LPそしてCD主体の方もいらっしゃいます。棚は作り付けの大層なものから、スチール棚、ケース、段ボール箱、裸のママ積み上げ等々、多種多様です。文庫本用多重スライド棚が便利そうだと、この本で知りました。置き場所はリスニングルーム内、廊下・階段の壁、納戸、別室、別マンション(^^;)、郷里の実家、家中くまなく全部(^^;)と、それぞれの事情に応じて適宜置いておられます。個別の事情に触れることはしませんが、どなたも蒐集及びその成果の収納には、浪波ならぬ苦労をされています。
    個別記事の構成
  • 多くの記事には、収納の様子がカラーで実写されており、その羨ましいというか、おぞましい様子がマザマザと読者に迫ってきます。「スッゲェー」と唸るばかりです。「正直言って、目を背けたい光景もあります」と言うのは言い過ぎですが、真実だけが有する迫力がそこにはあります。写真には当然キャプションが付けてあり、その編集者によるコメントが、「極力客観的になろうと努めつつも、羨望、当惑、驚嘆、同情、憐憫と言った複雑な感情が入り込んで」いるようで、買って読んだ時に抱腹絶倒の目に合いました。編集者(実は収集家でもある)のこの複雑かつ微妙な感情の揺れは、当の本人とのインタビューにも仄見えており、感心しているかと思えば、からかって居るようでもあり、そのバランスが実に面白く読めました。
    CD収納の苦労
  • これについては、別項がありますから詳細はそれを御覧頂きたいと思います。増加の一途を辿る(オイオイ、他人事みたいやな)CDの、そのプラスティック・ケースの空間効率の悪さに業を煮やした色んな合理化は、皆さんも試みられていると思います。この本では、各人による原初的な試みの過程が紹介されており、涙無しでは読み終えることが出来ません。このCDの自己増殖に対して、断固戦いを挑む男達の対決物語が各所で紹介されています。そして、それが続編への布石となり、続編では決定的な収納用具の数々が紹介されます。しかし、しかし、、、その用具を利用しても、新たなる苦難が又々襲い来たるのです。このCD収納をめぐる面白くも、哀しき悲喜劇の数々が、続編のお楽しみとなっています。
    「あぁ、良かった」
  • まだ、5千枚には程遠いNelsonでも、それなりの苦労がありますが、この書に出てくる程の苦境にはありません。まぁ、こう言うのも何ですが、このような段階にまで入り込んでいない我が身の現況、それを幸せと言うのか、不幸と言うのか知りませんが、を「あぁ、良かった」と感じた次第です。

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