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JBL M553 Channel Divider (2)
  • JBL M553についての、もう少し詳しいお話です。もっと大雑把な話は、ここにメモしましたので、最初にそこを御覧下さい
    遮断周波数の選択
  • JBL M553 Channel Devider 右図は、低域・中域のクロスを決めるヴォリュームです。この程度のもんですから、ヴォリューム相互間の摺動誤差以上に、周波数設定自体が実に大雑把です。「試聴により気に入ったところに合わせれば良い」てなもんです。裏蓋に「10分の1」スイッチがあり、それをオンにすると右図ヴォリューム上の「÷10」ランプが点いて、可変範囲が10−200Hzになります。更に、低域を合成して、3D出力を出す機能がありますから、数十Hzに設定して合成するという方には便利です。買った当初に、オシロ入力で減衰特性をチェックしましたが、特に変わった所は無く、キレイに24dB/octと思えるカーブで下がっていくようです。ある程度減衰したところで跳ね上がるという、負帰還に伴う現象がある筈ですが観測できませんでした。この辺は大雑把でよく、デバイダーで問題なのは、むしろ雑音と音色でしょうから、遮断機能はこんなものと認識しています。現在の設定は、Altec 515とJBL 2123の間は250Hz前後、2123とJBL 376の間は800Hz前後です。JBL 2405は376と一緒にしてあり、コンデンサー切りです。
    分割フィルター
  • 上記したように、M553ではLinkwitz-Riley式の分割フィルターを採用しています。フィルターには、バターワース、チェヴィシェフ、山中等々山ほど種類があります。かの「金田先生」は理論に忠実に、6dB/octの分割を推奨されていますが、Nelsonの勉強した限りでは、それぞれに一長一短がある気がしています。6dB/octの良さは自明ですが、音源の前後位置が合わせられない環境での遅延特性の乱れは小さくはありません。アナログ・フィルターでは必ず位相の回転が付随し、ユニット位置のことも考えると唯一の解はありえません。デジタルでは工夫次第で位相の問題が解消でき、しかも音源位置の補償が出来る機能もありますが、仕上がりは必ずしもニコニコでは済まないことは、Digital Channel Dividerへの期待と不安にメモしました。取敢えずは、24dB/octという遮断特性のよさを買って、M553を手なづけようというアプローチを採っています。
    出力レベル
  • JBL M553 Channel Devider 左図は、中域出力レベル調整ヴォリュームです。中央がスルーで、上下に12dBの増強・減衰が可能です。Nelsonの場合、スピーカーの各ユニットに逆起電力吸収用の素子(電気ブレーキというとか)として、適宜の容量のデール無誘導抵抗を付けています。ですから、ユニットの出力音圧レベル、デールによる減衰等々を換算して、概略のヴォリューム位置をとりあえず想定しておいて、それからは色んな盤を聴いてみて、気に入った所に合わせています。このレベル調整は、正直言って「泥沼」の世界です。色んな所で識者も書かれているように、いじりだすとキリがありません。ある程度の枚数の盤を聴いて「この辺で良かろう」とした後は、レベル調整のことは忘れてしまうのが、吉です。また、システムの調整の際には、左図ヴォリューム右に、ミュートスィッチがあるので、これを活用します。先ず最初は、全チャンネルをミュートして置き、テストCDでもかけながら、順番に個別のチャンネルをチェックしていくのが良いでしょう。なお、この機器は2番ホットのXLR平衡ですから、それを考えた前後の接続が必要です。
    バイラジアル・ホーン向けの中高域補償
  • Nelsonの場合、2380というバイラジアル・ホーンを使っており、これは旧来のホーンに比して、拡散性が改善されたタイプです。CD(Constant Directivity)ホーンとか、定指向性ホーンとか呼ばれています。誇張して言えば「突き刺す」感じがありませんが、力が無い気もします。現代のホーンは、かなりのものがこのタイプです。但し、これは良し悪しで、拡散性と生き生きした感じのどちらを採るかという趣味の問題です。バイ・ラジアルが従来のホーンよりも全ての面で良いとは言えないというのが、使ってみた実感です。そしてこのホーンは中高域がなだらかにですが、少し減衰しています。既製品では、必ずこれを補償する回路が、ネットワークに入っています。デバイダーでも、この補償は必要で、多くの既製品でも配慮されています。本機では内部のディップ・スィッチでこれをオンに出来ます。JBLの60シリーズ・ホーンと、80シリーズでは微妙に特性が違うようで、2380では「-4dB at 2kHz and +6dB at 20kHz」という補正を推奨しています。躯体を開けて、マニュアルを見ながら3か所いじれば、この補償がオンになります。
    4ウェイ、時に3ウェイ
  • Nelsonの場合、この機器を、4ユニット・3チャンネル・マルチ構成で使っています。正直言って「壊すのがコワイ」ので、高音の2405Hには、単独のチャンネルを与えていません。2405Hは、376ドライバーと並列に高音チャンネルに、コンデンサー切りで接続していますから、マルチのチャンネル数としては3チャンネルになっています。2405Hの場合は、7kHz以上の使用ですから、かますコンデンサーも低容量でよく、音色の心配はありません。更にここにはトランス式のアッテネーターを入れてあり、かすかに「チィー、チィー」と言うか言わないか辺りの、適当な減衰の所を探して使っています。中低域は、2123コーン・ユニットを250−800Hz位で使っています。先達の出原さんによれば、中音の376ドライバーは350Hz位から使えるそうで、そういう使い方もしてみたい気になります。まして本機は24dB/octの減衰でスッパリと切れますから、出原式のギリギリの使い方でも余裕があります。つまり、出原式に考えるならば、「中低域の2123は不要」とも言えるわけです。それもあって、中低域をミュートしてしまって、2チャンネル・マルチで、実質3ウェイという使い方をすることもあります。こちらの方が、音は強いて言えば「ジャズ喫茶風に荒れて」おり、それはそれで魅力があリます。2123も入れると、全体が滑らかになって音も大人しく感じます。こういうお遊びも、なかなか面白いもんです。本機のチャンネルのヴォリュームは、一応、一番低く設定するチャンネルをスルーにして、他のチャンネルを増強して使っており、減衰・増強を混在させていませんが、これもどうするのが良いのか、よくわかりません。兎に角、ジャズを聴くことが大事なんで、ある程度の所でホコを納めて、「正確な音を出すことに過度に気を取られ過ぎてはイカン」と思っています。
    ウーファーの制御
  • Nelsonの場合、ウーファの上はラインレベル(Channel Divider)で、250Hz、24dB/octで切っています。ネットワークの場合、この分割をパワーアンプとスピーカーの間でやるので、数十mHという超大型のコイルが要ります。2φの銅線でやったりした日には化け物で、直流抵抗も無視できません。スピーカーを等価回路で書くと、相当にL、C、Rが入り乱れた複雑なものでやっと近似できます。これとネットワークが直列に繋がって音が出るんですから、パワーアンプはウーファーを制御するどころか、ウーファーに良いように振り回されているのに近いのです。まさに、想像を絶する世界です。マルチは、この分割の部分はライン・レベルで済ませておいて、挙動が複雑なユニットの制御のみをパワーアンプにやらせようという割り切りなわけです。

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