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JBL M553 Channel Divider (1)
  • JBL M553 Channel DividerJBL M553 Channel Dividerは、プロ用で実用本位のデバイダーです。うるさいことを言えば、色々と注文が無くはありませんが、取敢えずはこれで充分に用は足りているので、常用しております。 左図で見て判るとおり、いわゆる1-Uサイズの平べったいユニットで、左右2チャンネル、各チャンネルに2コのフィルターがあるので、ステレオで3チャンネルに分割できます。
    Channel Dividerって、、、
  • そもそもChannel Dividerは、パワーアンプとスピーカーとの密結合を望んで、「マルチ・チャンネル駆動」と呼ばれる手法を採る時に使います。特に、500以下でクロスするウーファーの場合に、それより上の帯域を切るためのコイルが百メートルにも及ぶ電線になってしまって大変であったり、ユニットを含めて挙動不審な素子が相当にあったりすることに違和感を持つ場合には、この方法が効きます。ネットワークを少し突っ込んで設計すると判ってきますが、インピーダンスが徐々に増減するのを平坦化するための補正や、極端なピークを消してしまうノッチ等の補助回路は、理論的には効きますが、「音が死ぬ」ケースが多いのです。だからと言って、理論どおりのネットワークでは使い物にならず、既製品に内蔵されている物も、かなり凝った回路になっています。Channel Dividerは、プリアンプとパワーアンプの間に挿入して、スピーカーの各ユニットに最適の帯域に、パワーアンプへの入力をラインのレベルで分割するもので、場合に応じて2,3,4チャンネルと使い分けます。Channel Dividerの出力は、帯域毎のパワー・アンプに個別に入力され、パワー・アンプは介在物無しに、しかもごく低いインピーダンスで強力にユニットを直接に駆動します。ネットワークは大電力の信号を処理するので、部品が大ぶりになるほか、どうしても癖が出易いのに比して、Channel Dividerが処理する信号電力は僅かなもので、精密素子が使えます。パワー・アンプが余計に必要になるし、調整箇所も多くなりますが、一般的に清澄感を持った、見通しのよい音に仕上がるのが魅力で、これを採用するマニアが僅かながらいらっしゃいます。
    市場には、、、
  • 昔は市場に沢山あったデバイダーも、今が品数がありません。確かに話がメンドウになりますから、あえて使う人が少なくなったのでしょう。音の帯域を分割するにはフィルターと呼ばれる回路を用いますが、それがデジタル式の場合で数十万から数百万円しています。アナログ式の場合は、それより少し安い感じであり、殆どの製品がクロス周波数選択を指定のボードでやっています。でもフィルター回路自体をデスクリートでやっているものは少なく、殆どがM553と同様にオペ・アンプを利用しています。オペ・アンプは、まぁ、ICのような部品で、今は、CDP、DAC等多くの機器で使っていますから、拒否反応を示す必要は無いでしょう。M553は、遮断周波数及び音量は連続可変になっており、好きな所にセット出来ます。裏を返せば、その設定は精密なものではなく、ヴォリュームで調整する実用本位の簡易型デバイダーという位置付けでしょう。その分、価格は数十万円はせず、数万円と十分の一です。手持ち機器の繋ぎ替えで聴く限りですが、それぞれの機器の音色を反映していますから、それなりのレベルではあるのでしょう。Nelsonの高能率なホーン・ユニットでも、残留雑音は殆ど気になりませんから、SN比等もある程度気を付けているのでしょう。
    主な特徴
  • 機能は一応揃っていますから、うるさいことを言わなければ、実用上は文句ありません。その特徴をまとめると、以下のとおりです。
    • 分割チャンネル数
      ステレオで3チャンネル、モノで4チャンネルのデバイダーとして使えます。
    • フィルター形式
      Linkwitz-Riley式の24dB/octの分割フィルターを採用しており、急峻な分離のために隣接チャンネルの干渉が少なくなっています。うろ覚えですが、この形式は通過後の合成した信号レベルがかなりフラットに近いのがウリだったはずです。それでもメリットばかりの回路なんてありませんから、手放しで良い訳ではありません。
    • 入出力
      プロ用ですから、入出力はXLR平衡ですが、出入り口に工夫がしてあり、不平衡の入出力も一寸いじれば可能ですし、不平衡と平衡で生じる倍半分(6dB)の利得差を解消する仕掛けがしてあります。
    • 分割周波数帯域
      低・中域間の遮断周波数は100−2kHzが可変で選べ、しかも更にそれを10分の1にすることが可能で、100Hz以下のクロスをしたい人でも使えます。
    • ホーンへの対応
      Nelsonのようにバイラジアル・ホーンを使っている人のために、ディップ・スィッチで中高域のなだらかな低下を補償する機能がありますが、筐体の中を開けていじる気がある人向けです。
    • ミューティング無し
      米国製品であり、国産品ではありませんから、電源の投入・遮断に伴うバズ音のミュートなんてお上品なことはしてありません。中音及び高音にホーンを使う人は、パワー・アンプより先にこれの電源を切ると、ドライバーを飛ばしてしまいます。電源投入・切断の順序を厳格に守ることが要求されるので、家族との共用は無理と覚悟すべきでしょう。あるいは、ドライバーに大容量のコンデンサーを直列に入れて保護する手がありますが、上質のオイル・コンなどをおごらないと音色に癖が出てしまい、アブハチ捕らずになります。

    詳しい話は、、、
  • もう少し詳しい話も必要ですが、それは場所を変えて、ここにメモしましたので、御興味のある方はどうぞ御覧下さい。
    、、、ということで
  • これから、デバイダーを買ってマルチ・チャンネルに行く方もいらっしゃるでしょうから、少しはお役に立つようにとメモしました。そのままでも使えますし、ちょっといじる気があれば小技も使えます。しかし、上記したようにNelsonの使い方は、気軽に使えるというこの機器の特徴そのままに結構大雑把で、まぁ、こんなところでしょうと割り切っています(^^;)。デバイダー関係では、既製品を使ったことがありますし、またSEコン、スケルトン抵抗、Vishay抵抗等で組んだ6あるいは12dB/octのものを自作しました。でもあまり肩肘を張らないで気楽に使うという意味で、このM553の機能には、まぁまぁ満足しています。

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