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「What's My Name/ Sonny Rollins」

  1. 1958年本線モダンジャズの当たり年だと言うのは良く知られていますが、その年に当時のジャズ界で頭角を表して、人気大絶頂のSonny RollinsがMetro Jazz(Verve)から出した「Sonny Rollins: Brass and Trio」盤(右掲)を大昔に入手した時に、この盤の中の「What's My Name」と言うトラックで出食わしたスパイスに気付きました。ピアノレスなんで、一寸音が乾きすぎた感があるからでしょうか、あまり話題になるトラックではありませんが、Nelsonは結構好きな方です。
    この時期はレーベルの渡り鳥をしていて・・・
  2. Sonny Rollinsが世に知られるようになったのは、Prestigeから数多くの名盤を出した頃からです。テナーでは跡継ぎとなるJohn Coltraneはまだまだ駆け出し時分で一本立ちしておらず、Miles Davisのリズムセクションとの共演録音の時に遊びに来たのでゲストに呼んでやった「Tenor Madness」盤でも、双方の力量の差は歴然としていました。大物となったRollinsは引く手数多で、Prestigeとの専属契約から抜け出し、Blue Note、Contemporary、Riverside、Metro Jazzとレーベルを渡り歩いていていました。この「Brass and Trio」盤自体は余り話題にはなりませんが、中々の良盤です。その盤では、後にその近くの橋上でほぼ毎日練習に励んだと言う「Grand Street」というトラックも良いんですが、それなりのスパイスが使われている「What's My Name」も、耳を傾けるに値します。
  3. この短めのトラックは、イントロからほぼ無伴奏でテーマ提示になり、約10秒くらいの簡単なリフに想を得て、1分余りにまで敷衍してテーマらしくしていますが、まぁ、簡単なリフ曲ということになるんでしょうか。ピアノレスである上に、リーダーのテナーソロ以外では、ドラムスだけがフイーチュアされた、4分足らずの短い演奏です。ココで10秒過ぎから、この演奏でのフィーチュアとなるドラムスが、気持ち良さそうに少し手の込んだリズム・パターンを入れると、演奏が俄然勢いを増してきます。ジャズのどんな演奏を聴いても、リズム・セクションを担当するピアノ、ベース、ドラムス(、時折はギターも)がどう言う風にリズムをキープするかで、演奏の色彩がガラッと変わります。本線の場合だと殆どが4ビートなんですが、時々この演奏のように変わったリズムが持ち込まれていて、演奏全体の色彩が決まります。このドラムスのリズム・パターンは、リム・ショットも交えた乾いたパターンです。(この演奏では、もう一つのスパイスの話も、後日致します。)
    入りで直ぐに小技が・・・
  4. ここでは、Charles "Specs" Wrightが持ち込んだリズム・パターン、


    が耳を惹きます。楽しそうに叩いている顔が目に浮かぶようなリム・ショットをうまく取り混ぜていて、テナーのブローに対する心地良いカウンター・フレーズにして、Rollinsの墨痕淋漓たる豪快なテナーの音を更に引き立てています。
  5. そしてテナーのアドリブの後には、ドラムスをフィーチュアしたスペースを貰っています。そこでも、ドラムソロに有り勝ちな、色んな打楽器を叩きまくることを敢えて避けて、テナーによるテーマ提示のバックでやっていたフレーズをベースに小気味良く変化を付けることに止めながら、爽快なアドリブに仕上げてもいます。聴き終わってみると、確かにテナーが引っ張っていくピアノ・レスのトラックであることに間違いありませんが、ドラムスのカウンター・フレーズが結構耳に残る所が、このスパイスの妙でしょう。
  6. 「オジサンよぉ、どうもこの所、ちょっと話がくどいんじゃないの・・・」と言うメールを貰ったので、今回は短くしました。すると、仰る通りに余計な雑味が無くて、これも良いなぁと気付きました。今後は、こんな感じでやろうかな。
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