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Green Dolphin Street/ Eric Dolphy/ Quartet Featuring Lalo Schifrin?/ (3)


  • この「Green Dolphin Street/ Eric Dolphy」に関するメモは前回の(1)、と(2)の続きですので、先にそっちをお読みくださると幸いです。
    帰宅して手持ちを調べたら・・・
  • 散歩中に聴いていた「Green Dolphin Street」に面白い引用があったので、そのMP3のID3タグを表示したら「Eric Dolphy Quartet Featuring Lalo Schifrin: Complete Recordings」(Lone Hill Jazz)とあったのだけど、我が家に帰ってから棚を調べたら、その盤の傍に国内盤で「On Green Dolphin Street/ Eric Dolphy」(Venus TKCZ79043)があり、ほぼ同一内容らしいと判りました。それで、良く両盤を比べてみると、前者のLone Hill Jazz盤ではDolphy(bcl)、Schifrin(p)の他はBob Cunningham(b)とMel Lewis(ds)で、Philadelphia録音のラジオ音源としてあるのに対して、Venus盤ではDolphyの他はMcCoy Tyner(p)、Reggie Workman(b)、Mel Lewis(ds)で、西独でのスタジオ録音だ、とされています。
    どっちが間違っているのか・・・どうしてそんなことになったのか
  • Nelsonもそれなりに色んな盤を聴いて来ましたが、ある盤のカルテットの面子と録音場所がここまで違う例は、あまりありません。Lone Hill Jazzに記載されているように、Dizzy Gillespieのビッグバンドの当時のサイドメンがDolphyと米国で録音した、ということが有り得たのかどうかについて、手近のGilliespieバンドの録音リストを見ました。この時期のバンドの面子には、確かにLalo Schifrin、Bob CunninghamそしてMel Lewisの名前が、各々の出入りはあるにしても何度か載っていますから有りえない組み合わせとは言えません。しかしこれは皆さんも当然だと思いでしょうが、このビッグバンドにDolphyは一度も参加しておらず、録音も残っていません。
  • 一方のVenus盤では、上不さんがその時期のトレーン・バンドの詳細な日程を藤岡さんの名を引きつつも掲出されており、前日のアムステルダムでのギグに続いて、肝心の1961年12月2日にはNorman Granz主催のJATPツアーの一環で、デジガレ楽団などと一緒にベルリン自由大学でトレーン・バンドとして公演した後、Studio 15に行ってこれらを録音したことの克明な調査結果を示しておられます。この公演が捌けてからのオフ・タイムでの演奏では、トレーン御大はホテルに帰ってしまって参加しておらず、それまでずっと一緒だったTynerとWorkmanがまだやる気があったので、Dolphyに付き合ったとのことです。Elvinもいたんですが、忘れ物探しで参加出来なかったので、JATPで一緒に活躍していたLewisが彼の代りに太鼓をやったんだと言います。旅先のことでもあり、しかもちゃんとジャーマネが仕切った録音でも無かったので、音も最善とは言えませんし、面子も間に合わせ気味だった訳です。しかしDolphyと合いそうもないデジガレ楽団の面子なのに、Mel Lewisの出来は抜群に良く、上不さんもベタ褒めです。
    ・・・てなことですが・・・
  • Dolphy盤に「Lalo Schifrin」の名があったのはマチガイでしたが、同じツアーにいたMel Lewisとの微かなつながりから、Laloの名前が出て来てしまったのでしょうか。全体として見てみると上不さん、及び「Jazz Discography Project」の方々の仰ることの方に、軍配が上がりそうです。それでもこの「Lalo Schifrin」の名が独り歩きをして、色んな所で面白いことが起きた話は、これまた次回回しとします。(orz)

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