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バプティスト教会の礼拝堂で聴くCarl Allenクインテット(2015):その2


  • (ステージ上のジャズメン。緑の文字はNelsonが付記)

    あのCarl Allenのクインテットが、ハーレムでも屈指の信者数を誇るAbyssinian Baptist Churchでギグをやるってんで、平素は厳かな教会内の礼拝堂に何とかカミさんと二人で席を確保出来た所までが、前回のお話です。
    面子は?
  • さて、その礼拝堂に座ることが出来たものの、前掲の開催予告には演奏者の顔触れが掲載されておらず、御大以外に誰が来ているのかは判りません。眼前で音出し中のCarl Allenグループの面子を見てみると、見知った顔はあるものの、双頭バンドを組んでいるRodney Whitackerが居ないので、この催事のために臨時に集まった面子のようです。まぁ、ジャズのギグで「日曜の午後4時から」というのは異例の時間帯設定ですから、万障繰り合わせても都合が付かない人がいて当然です。演奏を聴きながら、自分なりに面子とセット・リストをメモしましたが・・・まぁ、当然ですが半端なメモになったので、もっと正確な記録が無いかと探しました。そこは「IT社会」の賜物で、ご本人のFacebookの6月7日の記事に、このギグの報告がありました。
  • 面子の方は、御大のドラムスは当然として、テナーサックスがKeith Loftisで、曲によってはソプラノも吹いていました。 いつもの顔ぶれでは、ピアノの名手、Cyrus ChestnutとギターのRodney Jonesが居ますが、この二人はAllenとの付き合いが長い人達です。そして、相方なのに顔を出していないベースのRodney Whitackerの場所を、Yasushi Nakamura、つまり中村恭士が占めていました。このベーシストは今現在、「競争が激しいNYCでもFirst Callの呼び声高い」と評判の日本人です。会場では、御大Allenが「My teacher!」と紹介して持ち上げていたのには、驚きました。中村さんの父上は水産関係にお勤めらしくって、小学生の時から米国住んでいたという逸材です。Ray Brownが好きだというのが頷ける、じっくりと落ち着いたピチカートを聴かせる人で、ソロ・スペースを多く貰って、会場を唸らせていました。
    セットリスト
  • Facebookには下記の通りの曲が演奏されたとあります。Nelsonのメモと少し違いますが、現場の流れで変えたのでしょうか。
    1. Cavalry
    2. Tuesday Night Prayer Meeting
    3. Holy Land
    4. Come Sunday
    5. Amazing Grace
    6. Speak To My Heart
    7. We Fall Down
    8. Road Life
    2,4,5曲目などは日曜の教会でのギグらしさが出た選曲です。そして何よりもNelson的には、Cedar Waltonの名曲「Holy Land」が一番の出来だと聴こえました。「この曲はCarl Allenのお気に入りだ。」というようなアナウンスもありましたので、このギグは違う面子ですが、Youtubeでの音源(Carl Allen- Holy Land, feat. Nicholas Payton, Vincent Herring et al) をリンクしておきます。
    独特の雰囲気
  • 初めて足を踏み入れた一階の礼拝堂の、いつもは説教が行われる場で、本線モダンジャズを聴きながら辺りに目をやると、これ迄の2回の来訪で座っていた、観光客も立ち入れる2階席が見えます。前方には教会らしく大型のパイプオルガンやステンドグラスがあり、クラブなどで定番の黒ペンキ塗りに剥き出しの配管・・・といった味気なさは皆無です。聴いている方も、いつものバー・カウンターで飲み物を作っているスタッフの代わりに教会の神父さんなどがいますし、ほぼ満席の信者席には善男善女がジャズに聴き耳を傍だてています。
    棚から牡丹餅の出会いだったけど・・・
  • ふと目に付いたギグの開催予告に始まった一連の顛末は、如何にもここはハーレムだなぁ・・・更にはIT社会になってきているなぁ、と感じさせる展開でした。そんなことに思いを馳せながら、エチオピア正教のNYCでの本山とも言えるアビシニアン福音教会を後にしました。

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