シンコペーション (Syncopation)
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シンコペーション (Syncopation)とは、リズムにアクセントを付けて、ジャズらしいスィング感や、新鮮な感じを出すことを言います。
アクセント
- シンコペーションは、広義にはリズムにアクセントが付くことをいいます。例えばワルツでは、下世話に「ブン、チャッ、チャッ」というようにアクセントが付きますが、これがシンコペーションです。ジャズの4拍子では2拍目と4拍目に強勢を置きますが、これもシンコペーションです。そして、もう一つ、狭義な方は、特定の曲で作曲者が採用するアクセントです。下記で採り上げている「Dat Dere」の例が、これに当たります。さらに、ジャズの場合には、作曲者の作曲時の意図とは関係なく、ジャズメンがギグで採り上げる、その時限りのアドリブやアレンジで、自分好みのアクセントを付けることも多くあります。下記で採り上げている「柳よ、泣いておくれ」の例は、これに当たります。
「Dat Dere」
- シンコペーションの例に挙げた、Them Dirty Blues/ Julian Cannonball Addeleyの中の「Dat Dere」について、もう少し。この、なんか舌足らずで、愛嬌のある「Dat Dere」というタイトルは、「That there」の子供表現です。現に、このヒット曲をカヴァーしたComin' Home,Baby/ Mel Tormeでは、子供がお父さんに「あそこのアレは、何ぁに(What is 'Dat Dere' ?、つまりWhat is that there ?)」と問う歌詞を付けて唄っており、このヴァージョンもヒットしました。そして既にお気付きのように、これは作曲者のBobby Timmonsがその前に作曲し、既に大ヒットとなっていた「This here」と対のタイトルになっています。飛び跳ねるようなリズムの、この親しみやすいテーマを聴いて、しかめっ面をしているわけには行かないですよねぇ。
新鮮さ
- 曲本来のシンコペーションでは無く、その時、その曲をやるとき限りの、アレンジとしてのシンコペーションも楽しいものです。例えば、聴き慣れた「柳よ、泣いておくれ」という曲でも、Blue Head/ David Fathead Newmanでやっているヴァージョンは、独特のシンコペーションを付加してジャズ・ワルツに仕立てているため、ちょっと聴きには「柳、、、」とは気付きません。しかし、聴き続けているうちに「これは、柳に相違ない」気付き、大いに楽しめます。このように、元来は4拍子の曲を、「そのままやるんじゃァ芸が無いし、やり飽きちゃってるから」とワルツでやることは、良くあります。いつもと違った感じがして、その佳曲の新しい面を見せ付けられる感があり、その新鮮さにハッとします。
- このように、シンコペーションはジャズの大きな特徴になっていますから、その好例は枚挙の暇がありませんが、長くなりそうなので、別にメモしました。
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