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神保町「響」のこと

  • 東京のジャズ喫茶は、有楽町ママを皮切りに色んな所にいきましたが、よく通ったと言う意味ではやはり「響」です。
    足場が良い
  • 響に通ったのは、東京単身赴任時代の数年間で、身軽にするために、オーディオもソフトも持って行っていませんから、直ぐにジャズ欠乏症に陥りました。そんなわけで、これは何とかしなければ堪らん、ということで色々巡り歩き、最終的に落ち着いたのが、神保町の響です。アパートと職場を結ぶ路線が都営三田線であり、神保町はその正に中間の駅です。この町には本屋、レコード屋、オーディオショップ等々があり、「いもや」、「さぶちゃん」等々、メシやにも事欠きません。最初の頃は、その道では有名な餃子の「おけい」もまだありましたねぇ。無論、岩波のシネマもありますし。駅を降りて直ぐに響に行かなくても、8時頃までは結構用事がこなせましたから、9時前から閉店まで響で、という体制が取れました。書泉などがある大通りから一本水道橋方向に入ったところにあり、地下鉄の神保町駅から歩いて数分と近く、響が閉店時間になって追い出されても、終電には十分の余裕があるという足場の良さが絶好でした。
    店が良い
  • 十数年前の響は、音、コレクション、メニューの3拍子が揃った名店でした。プリはレヴィンソンで、スピーカーがJBL4350というカッチリした音のするシステムで、プレィヤーはタンデムで交代に盤を置いて、途切れなく演奏するシステムだったと記憶します。店の配置などの記憶が定かではありませんが、十分に音の良いジャズ喫茶で通るレベルでした。後には、CDもかけていました。よく知りませんが、喫茶店のような水仕事のある場所でのオーディオの維持は、それなりに苦労がある筈だと思います。相当の音量のスピーカーが、入り口右の道路際にあるのも、大丈夫かいな、と思わせましたが、店に入ろうとして近づくとやっと何をかけているか分る程度でしたから、結構遮音はしていたのでしょう。今日は聴くぞ、と入れ込んでいる時は入り口近辺、まぁスィングジャーナルでも読むか、と言う時は奥で、となりますが結構込んでいますからそうも行かないものでした。
    コレクションも良い
  • コレクションも相当なもので、枚数を誇る方ではないのでしょうが、古くからやっているだけあって、それなりの幻しの名盤が結構ありました。行くたびに、レコードリストをチェックして今度はこれをリクェストするか、など結構楽しめました。店主の大○さんの書いていることから見ても、商売だから色んな盤がありましたが、好きなのはやはり本線ものではなかったか、と思います。家を離れていると、いつも自分が聴く好みの盤がすぐに聴けないのが困りものなのですが、このようなコレクションから選べる環境があったので、仕事のストレスも簡単に解消できました。Cliff Jordan in the World等の「知る人ぞ知る」盤がちゃんとあるので、良くかけてもらった憶えがあります。
    雰囲気も良い
  • メニューは、いわゆる飲みもの類にアルコールも加わったもので、いつもビールか、ボトルの水割りをやっていました。場所柄、学生さんと、若目の勤め人が主で、Nelsonは恐らく年配者の部類に入っていた筈です。
    閉店、そして再開
  • ご存知のとおり、響は数年前に閉店されました。商売の転機かも知れませんし、あるいは借家契約とかその関連かも知れません。大○さんがコレクションを手放されるそうだ、とも聞きました。神保町にもジャズ喫茶が少なくなって、あのあたりでは「ナル」が残っていますが、、、水道橋のスィングはどうなのでしょうか。と思っていたら、最近湘南の方で響が再開している、との便りも聞きます。なるほど、元気なんだ、と大○さんのあの温厚そうな顔を思い出しています。

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