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Blue Noteのtrivia(1) -- LPの内袋

  • 内袋とは、ジャケットの中のLPを保護(?)するためにある袋です。米国では、LPは日用品感覚で取り扱われており、結構裸でジャケットに入っている場合があります。Blue Noteの場合は、基本的に内袋が付いており、12インチ時代になってからかなりの期間、左のような袋を使っていました。ご覧のように、その時点で発行されているアルバムのジャケットを6列6段に並べ、裏表で都合72枚が載っています。無論、時々改訂されて、掲載されるアルバムはどんどん新しくなります。
  • Nelsonは、real timeで最盛期の新譜LPを買えたおそらく最後の世代で、お金が溜まると、新宿マルミ、原宿サン、ヤマハ等で購入していたのです。今のように新譜紹介が充実していなかった当時は、この内袋は貴重な情報源で、「へぇ、こんなのがあるんだ。」と発見したアルバムもあります。
  • ご存じのように、Blue Noteのジャケットは後に本が出る位に独自の、しかも優れたデザインでしたから、縮小サイズとはいえ、眺めているだけで楽しかったのです。
  • 眺めていて、「こりゃあ良いな」と思ってメモし、それなりに頭の片隅に置いていても、中々店頭で出食わさない盤があることに、そのうちに気がつきました。ジャケットが載っており、番号やタイトルもそれらしき事が載っているのですが、どうも実際には発売されていないんだ、ということを物知りの方から聞きました。それが有名な「マボロシ盤」だと、後に知りました。そういうのが70年代でしたか、Blue Noteが「自己のプレスのみで、海外プレスを許さない」という方針を変え、日本でも国内プレスができるようになった頃から少しづつ出始めました。ライブもまだそれ程多くなく、レコードだけが頼りだった日本のジャズ界にとって、未発表テイクの発掘という事が、性に合っていたのでしょう。今でこそ、Cascuna等同様のことをもっと徹底的にやっていますが、その頃はそれが結構話題になる時代だったのです。
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Blue Noteのtrivia(2)--LPの内袋−続

  • この内袋は、Blue Noteに限らず、Atlantic, CBS(Sonyではない頃!)等でも、カラー版にしたりして、同様の趣向をこらしていました。Prestige,Riverside等は只の白紙でしたので、Blue Noteを買って内袋を見るのは、Nelsonに取っては結構な楽しみであったわけです。当時は、LPしかなく、これは再生に儀式を要するものですから、鑑賞自体がゆったりしたペースで進行するものであり、内袋を1時間もポケェっと眺めていることは別に不自然ではなかった時代なのでした。
  • 今取り出して眺め直してみても、Blue Note特有の「指さしポーズ」や、その当時の日本では、あるいは米国においてさえ社会的な露出度が少なかった「Afro-american」の顔大写し等のジャケットが多数並んでいると、言わば壮観であり、「これがjazzなんだぁ」と感じさせたのでした。
  • 現在でも、CDのプラケの感触が音楽を聴くという感覚的な営為にそぐわないためか、紙ケースを使う等種々の工夫をしている場合があるので、「やはり送り出す側は、人間的にファンに手渡したい気持ちを相変わらず持っているんだ。」と一人納得しています。
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Blue Noteのtrivia(3)LPジャケット-表上端及びシール

  • Blue Noteのジャケットデザインについては、既に本が出ており、多くの方が触れているので、ここでは別な点に触れます。
  • ステレオ初期には、モノとステレオが並売され、それらはBLPとBSTの記号の元に同一番号が与えられていました。そして、恐らく経費節約のためでしょうが、ジャケットも同じ製版の物が使われており、ただステレオ盤は版を少し下にずらして、正面真ん中にSTEREOの文字が出て区別される、という仕掛けになっていました。日本では、レコード会社といえば大企業ですが、米国では事務机一つで、後は外注というのが普通なので、このようなやり繰りは当たり前、ということだと後になって知りました。Blue Noteも、ご多聞に洩れず、レコード店員をしながら、内職で開業したらしいから、当然のことであったのでしょう。
  • また、ステレオ盤が珍しい頃に限ってのことでしょうが、1500及び4000番台のある時期には、左のようなシールが張られており、これも何故か「嬉しかった」記憶があります。
  • それもこれも、根底に入れ込んでいる気分があった訳で、また異国文化の珍しさ故に、妙に感心したのでしょう。そう言えば、Nelsonも、買ったばかりの輸入盤を取り出してからジャケットに鼻を突っ込んで、「オー、オー、アメリカの匂いがするやんか」等と言っておったのでした。これは大学入学時にやった自分なりの合格儀礼に端を発しています。自分で心に決めていたRaymond Bradbury作のSF奇書、「Martian Chronicle (火星年代記、Double Day社刊)の原書を、丸善で取り寄せて買い込み、初夏の大学図書館の片隅でおもむろにそれを開封し、読み進んで以来のクセです。恐らく接着用の糊の種類の問題なんでしょうが、米国のその手のものは独特の、日本のものとは違う匂いがしていたのです。


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Blue Noteのtrivia(4)LPのジャケットー裏

  • 1500番台の初期の頃には、2巻モノなどで、ライナーノートを共通にしているのがあり、これは他のレーベルではあまり見かけないことかもしれません。まだ物を知らない頃は、記載してあるのにそのトラックは無く、何なんだろうなぁと不思議に思っていたのですが、単に2巻物の第1巻を手にしていただけのことでした。
  • リーダーに関して、そのレーベルで出している他のLPを紹介するのは、Riversideや、最近でもConcord等がやっています。情報の少なかった当時は、やはりこれも貴重な情報であったが、情報は得ても入手は簡単ではなく、フラストレーションになりました。個人的にも、その頃は、「これは」と思っても、財布との相談が結構厳しい年齢でした。
  • 全体のレイアウトでは、下部に演奏者のスタジオ写真があるのが多く、「おぉ、こんな奴か」とか演奏振りを想像して、悦に入ったものです。

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