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好きなジャズの間口と、奥行き

ジャズを長く聴いていると間口は広がっていますが、果たして奥行きの方はどうか、というお話です。

    間口
  • 学生時代からモダンジャズをそれなりに聴いてきて、カミサンから文句が出てもおかしくない量の盤を買い込み、聴いてきました。また、「ジャズと言っても色々御座んす」ですから、デキシーからチャカポコまで、それなりに聴いています。これはつまりジャズに関して、それなりの間口を持っているということでしょう
    奥行き
  • ジャズの奥行きといえば、「ある種のジャズを徹底的に聴いている」とか、「ある人のものなら任しといて」とか、色々とあります。Nelsonは、ごひいきジャズメンについてかなり突っ込んでいる方かも知れませんが、世の中には個別のジャズメンについて生き字引みたいな方が居られますから、そういう方々の足元にも及ばないのは明らかです。だから、奥行きは無くないけど、それ程深くはない、というところでしょう。
    面積
  • 間口と奥行きをかければ面積になりますが、ジャズメン、ジャズ評論家、ジャズ喫茶店主さん等は、やはりこの面積が大きい筈です。Nelsonと同様に別の生業を持っている人は、夜とか週末にジャズを聴くのが精一杯で、当然その分面積には限界があります。しかし、御商売でジャズに関わるのと、Nelson等のように好きなジャズだけを聴くのとでは、ちょっと違うのかも知れません。
    ジャズは数じゃないョ
  • 何万枚かのコレクションを持つ先輩のマンションで寛いでいる時に、Nelsonが未だ持っていない盤をかけてもらったことがありました。ヨダレが出るほど美麗なオリジナル盤を当然お持ちの先輩は、その盤を聴き終わって、こんなことを言われました。「僕は確かに数は持っているけど、この盤を聴くのは久しぶりだョ。これは、良いよね。ウン、座右にいつも置いているべき盤だよ。こうして聴いてみると、個々のジャズメンや盤に抱く熱意は、僕よりもアナタの方が強いのかも知れんなぁ」と言われました。ほめられたようですが、無論、これはお世辞、というか励ましです。カウント・ベィシーのことを数時間はしゃべれ、何日もかけないと手持ちのエリントン盤をあらかた聴くには至らないほどのコレクターが、Nelsonよりも情熱が無いわけがありません。
    、、、でも、やっぱり
  • それでも、「こういうことは有るなぁ」という気がします。たまにあることですが、滅多に聴かない盤を取り出して聴いた時に、以前から持っていたその盤の評価と異なる印象を受けることがあります。大抵はそんなことは無く、「やっぱ、この盤はこういう感じだな」で終わるんですが、たまぁに「ちょっと待てョ」となります。近頃は年に百枚以上の盤を買っており、聴き飛ばしてこそ居ませんが、学生時代にひと月に1,2枚をやっとのことで手に入れ、最内側の最後の溝まで聞き漏らすまいとしていた時と、やはり聴く熱さが違うかも知れません。モダンジャズにまつわる色んなことを知ったので、広い目でジャズを聴くということは出来るようになったとは思います。今の方が、「もっと良いジャズを一杯聴きたい」という欲求も強い気がします。でも、あの時に先輩が年下のNelsonに言われた言葉の、その意味が、少し判ります。先輩も、Nelsonがリクェストした盤を付き合いで一緒に聴いてみて、「これも結構イケル盤だったんだなぁ」と見直すことがおありだったのか、と気付いたのです。
    深さ
  • ある盤に神経を集中して聴く機会に恵まれたとして、それを買った時には気が付かなかったことに気付けた、としたら、そういう経緯は兎も角として、やはり良いことに違いありません。「何か心に引っかかる」ことが、ジャズを聴いていての楽しみです。間口や奥行きが人色々であるとして、それを広げるのか、深めるのかは問わず、意識に生き残る盤が増えれば、それだけジャズがまた楽しくなるに違いありません。
    守備範囲と密度
  • 、、、というようなことで、Nelsonも色々な盤を聴くわけで、余り得意じゃないJazz Beyond関係も、努めて貪欲に、味見だけは欠かしません。そのように味見をした上で、やはりNelsonの心にひっかるのは、本線のモダンジャズのようです。好きな盤が多いほうが幸せに決まっていますから、Jazz Beyond関係のものが今よりも好きになれば、もっと楽しいだろうなぁとは思うのですが、、、ということで、間口、奥行き、深さにはそれぞれの方で違いがあり、同じ訳ではありません。そして市井のジャズファンならば、間口、奥行きを広くすると、どうしても「密度」の方がお留守になりがちです。別の言い方をすると、「これが好きだから、もっと突っ込みたいナ」と密度にこだわると、それほど間口を広くは取れないものです。植草オジさんのように広く、深く、しかも密度も、というのは、なかなか達し得ない境地です。Nelsonなどは、本線モダンジャズに限っても、まだまだその奥深さを把握するには遠いという気がします。

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