サブとロジ (Substance/ Logistics)
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こころと技ージャズに進歩は不要と同様の視点から、サブ(内容、 Substance)とロジ(手段、Logistics)の両方とも大事で、勿論どちらかといえば重点はサブにあり、ロジ にはないんですが、肝心なのは両者のバランスかも知れないョ、というお話です。
ロジ (Logistics)
- サブとロジと言うのは、霞ヶ関用語(^^;)なんでしょうかねぇ。サブは、サブスタンス、即ち、中身で、何をやるのかということです。ロジは、ロジスティックス、即ち兵站、言ってみれば物資等の補給のことです。色んな企画をやるとして、その時の「アゴ、足」等についての手配を、ロジといいます。会議、催事等をやるときに、何を議論し、誰にどういうことをしゃべってもらって、というサブが、ことの成否を左右することは言うまでもありません。しかし、兵站も軽視してはいけないのであって、「移動の車がサッと用意できたので、幹部間の連携がうまく行って、不測の事態が生じたけど、上手く切り抜けられてよかった」とか、「アウェイの敵地で、宿泊・会食に余計な気を使わずに楽しめたので、心身万全の状態で交渉に臨み、一歩も引かずに粘り勝った」とか、補給が上手く行ったことを褒められた経験が、新人時代には誰しもあるものです。午前様になってしまった銀座のクラブでの接待でも、送りの車の確保はバッチリ、となって一人前なんです。誰でも、若いときは配車、食事、宿泊の担当などをやらされて、「オレも早く一人前になって、企画資料を作って実行する側に立ちたいもんだ」と肝に銘じたことがあるはずです。兵站は、先ず新人の担当で、しかもそれは基本動作として身につけて置かないと、次のステップには行けません。人間はカスミを食って生きているわけではないので、こういう「アゴ、足」等の側面からの支援は馬鹿にならないものであり、結構有り難さが身に沁みるものです。木下藤吉郎の例を持ち出すまでも無く、幹部の目に止まるには、秘書室勤務が一番手っ取り早いものです。とはいえ、大事さから言えば、サブ(実質の中身)が一番大事に違いありません。何を顧客に訴えるか、ウリをどう目立たせるか、あるいは何を主張して勝ち取るのか、その理屈をどうするかが、しっかりしていなければ、ロジばっかり出来ても、何にもなりません。つまり、「ロジ担」の役割には限界があるということでしょう。
ジャズにおけるサブとロジ、その1: 「演奏の中身と演奏技術」
- ジャズにおけるサブとロジ、といわれて直ぐに思いつくのが、演奏の中身と演奏技術の問題です。この場合、サブは演奏の中身であり、ジャズメンが言いたいことです。ロジの方は、ここでは演奏技術や、楽理などでしょう。こういうことは、普通は芸術関係の学校で習う、というか磨きをかけるもののようです。こういうことは、基本として身に付けておかねばなりません。時に、Roland Kirkと棟方志功の例で触れたように、自己流が功を奏することもありますが、先ずは基本を押さえておくのが普通です。先だってさる所で「バークレィ音楽院を焼き討ちにしてしまえ」という記事を見かけました。同院が、今の「薄味のジャズ」跋扈の元凶であるから、無くしてしまえ、ということのようです。極論ではありますが、でもNelson等も合点が行く主張ではあります。ややっこしい「バークレィ・メソッド」とか、色々と聞いていることを総合すれば、今様のジャズに対する不満がそこに向くのも、致し方ありません。そんなお勉強は適当にして、という気持ちは判ります。
ジャズにおけるサブとロジ、その2: 「ソフトとオーディオ」
- もう一つのジャズにおけるサブとロジ、がソフトとオーディオの関係ではないかと思います。何よりも、良い演奏が録音されているソフト、これが大切なサブです。そしてその次に、それを良い音で聴かせてくれるオーディオ、これがロジです。上記したサブとロジの関係でもお分かりのように、いくら良いオーディオを持っていても、良いジャズを聴かねば何にもなりません。一千万円のオーディオ・システムで、ソフトが百枚位なんてのは、「馬鹿丸出しィ」です。良いジャズは、ラジカセなどの悪い音で聴いても、良いジャズです。これは間違いありません。だから、せっせと良いソフトを買い込む努力をするのが、一番大事です。でも、良いジャズを良い音で聴くと、正に「ジャズを聴いていて良かったなぁ」という気分を味わえます。良くないジャズ、というのがあるとして、これをいくら良い音で聴いても、所詮は良くないジャズでしかありません。熱心なジャズ・ファンの中には、良い音で聴くことを追及する努力を軽蔑する向きもありますが、それも片手落ちではないかと思います。仕事で言えば、「醤油メシや、即席ラーメンで頑張ったんだゾ」なんていう精神論をぶつ人がまだ居ますが、どうなんでしょうねぇ。「会議は会議、メシは飯」で、うまい飯を食えば良い知恵も浮かぼうというものです。ロジを馬鹿にしてはいけません。
、、、ということで
- どっちかに振り子を振り過ぎずに、
- 小むつかしい手法や理屈はホドホドにして、その人の言いたいことが大事にしたい
- ジャズの良いソフトをドンドン聴き込むとともに、そのヒマを見つけて良いオーディオも整備しておくこと
というように、両者のバランスをうまくとることが、Nelsonとしては大事なんではないかと思っております。
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