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Sonny Meets Hawkですけど、それが何か?
  • 久方ぶりに聴いたSonny Meets Hawkが結構良かった、という当たり前のお話です。
    京都ハードバップで
  • いつもの通り、京都での猟盤では「ハードバップ」に寄ります。ここは寺町通りにあり、4条辺りから古本屋を何軒か冷やかしつつ「上がって行きます」。カニがあって、「三島亭でおふくろにオイル焼き食わしてもらったなぁ」なんて思い出しつつ、お茶の一保堂があって、御池通を渡って市役所を過ぎて、とコースは決まっています。店に入るとおやじさん以外に人は居らず、「時間もあるし今日はじっくり探すか」。前のお客さんの時からかかっていたのが、どうもAbbey Lincolnらしいので、一寸振り向いてジャケットを確認すると、That's Him (Riverside)でしたが、何とも良いサックスのオブリガードに聴き惚れてしまいました。「これ、Hawkinsですか。」と聞いたら、「いえ、Rollinsです。」とのこと。「ふーん」と言って、そのまま探索を続け、お勘定の時にその盤を見ると、ピカ盤で結構なお値段かと思いきや、OJCでした。そこで、おやじさんと二人がよく似ているという話を一しきりして、店を出ました。NelsonがHawkinsですかと聞いたのは、Abbey LincolnもHawkinsも共に、確かCandidやRiversideに録音があった事をかすかに憶えていたからです。
    久方ぶりに
  • これも、東京での猟盤帰りのことです。「この頃やけにRollinsのRCA盤の再発が目立つなぁ」と思って帰りながら、「そういやぁDesmondものも見かけるから、RCA/ Novusが何か企画してるんだなぁ」と気付きました。そして帰ってから、アナログしかないSonny Meets Hawkを取り出して聞きました。久しぶりです。やっぱ良いわ。これは63年の録音で、その夏にNew Port Jazz Festivalで二人の共演が、熱狂的に支持された事を受けて、やり手の制作者George Avakianが早速その組み合わせのセッションを仕組んだというわけです。サイドメンは、Paul Bley、Henry Grimes、Bob Cranshaw、Roy McCurdyといったところで、Yesterdays、All the Things You Are、Summertime、Just Friends、Lover Man、McGheeといった普段一緒にやっていなくてもやれる曲ばかりです。Hawkinsのオハコ、Body and SoulはRollinsが遠慮したんでしょうか、やってません。
    先ずPaul Freemanのカバー絵
  • この二人のテナーの巨人のアルバムの表を飾るのが、Paul Freemanのカバー絵です。Nelsonは一般的に言って、ルドンや萬鉄五郎のように輪郭を太目の、コントラストのハッキリした黒で描く絵は好きではありません。しかし、この名盤の表絵をPaul Freemanは、二人の巨人を姿を正にそういう筆法で描いており、非常に迫力があります。題材のデフォルメの仕方も、通り一遍の美音ジャズではない、少し苦味も帯びた当時のジャズにピッタリです。
    Sonny Meets Hawk
  • Sonny RollinsとColeman Hawkinsは25歳も年が違い、Hawkinsが巨人として君臨していた頃、Rollinsはまだ十代でした。家が近所だったので、RollinsはHawkinsの家の門のところに座り込んで、その帰りを待ち、一目姿を見るだけで満足したものだ、と後に語っています。従って、この盤は30代になってやっと共演の機会をRollinsが作ったという感激盤なのです。録音当時、Rollinsが34歳、Hawkinsは59歳でした。
    Hawkinsは居心地悪かったか
  • RollinsとHawkinsの、Rollins側から見れば感激の共演ですが、Hawkinsは必ずしもそうではなかったのでは、という話がありました。世は既にColtrane時代の63年です。RollinsもColtraneの出現もあっての雲隠れから復帰したばかりです。リズム陣も若い衆とくると、どう考えてもそこはHawkinsが仕切れるショバではありません。しかし、しかしです。そのHawkinsの吹奏が実に立派なんです。容易に想像できる「悠揚迫らず」といった具合だけでなく、時に「オッ、おじさん、結構熱くなってるじゃン」という迫力も十分です。つまり、凄い人は、老いてもやっぱり凄い、ということです。従って、Nelsonの結論は、「Hawkinsは居心地悪くなんかなかった。寛いでいる。」ということです。

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