Marvin 'Hannibal' Peterson --勘違いと言うか、認識不足を反省
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トランペッターのMarvin 'Hannibal' Petersonのことを、バリバリ専門の人と勘違いしていた、と言うお話です。
取っ付きが尾を引いてか
- 何かの用事で十数年も前にミュンヘンに出張となったことがあり、当然、暇を見つけてジャズクラブを物色したわけです。Mal Waldronが根城に居るかな、とDomicileの入り口の掲示板を覗きましたが、滞在中には出演は無いようです。いわゆるタウン誌のドイツ語を苦労して読み解くと、どうもその晩ジャズが聴けそうなのは一軒だけで、兎に角そこに潜り込んだわけです。ところがその出演者が、アノMarvin 'Hannibal' Petersonのグループで、いやまぁ、それが「親分、てぇへんだぁ」という演奏でした。ワンホーンだったのですが、吹きまくり、狂いまくり、汗ダラダラ、眼はトロンとして、という具合で、はっきり「コイツ、狂ってるわ」と思いました。その前に、デビュー時の例の「象」のジャケットのLPは聴いて居て、「元気いいなぁ、良いジャズだなぁ」位に思っていたのですが、それやこれやで、この人はド迫力のラッパ、と思い込んでいました。大体、ハンニバルと言う渾名も、異境からの征服者のような演奏振りだから、あの征服者のハンニバルと呼ぼう、という由来だとも聞いています。しかし実際のライブはとてもその程度の形容では済むようなものではなく、心置きなく(^o^)狂っていました。「いっそ、気持ち良いなぁ」と言う感じです。
中村達也の「灯り」
- 中村達也のNew York Unitは良いジャズをやるし、大体、日本人が向こうに根付いて、地元バンドをやり続ける、という点で拍手を贈っても居ました。少なくとも2,3枚は持っています。そういうところに、この盤、「灯り」(Apollon APCZ8020) が目に付き、冒頭曲が黒いオルフェとあったので、とりあえずゲット、というわけです。1994年の東京録音で、メンバーが、Marvin 'Hannibal' Peterson (tp),John Hicks (p),Richard Davis (b)そして中村達也 (ds)というカルテット。その他にTenderly、Willow, Weep for Me、Lover Man、Moonlight in Vermont等と、バラードばかりをやっています。
ゆったりのハンニバルもなかなかのもの
- Marvin 'Hannibal' Petersonが唯一のフロントで、残りの3人の奏でるリズムに乗って、余りビャーッという音は出さず、膨らみのある、柔らかめの音で、正に思いのたけを綴る感があります。無論、Nelsonの他愛無い認識不足であるわけですが、こういう演奏をする人とは思っておらず、といって甘ったるいところは当然微塵も無く、実に素晴らしい演奏です。
未だ知らないことが一杯あるなぁ
- Marvin 'Hannibal' Petersonの盤は数枚持っていますが、しっかり聴いていなかったせいでしょうか、この盤でこの人を見直した、というか認識不足を解消できたのがとてもよかった気がします。
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