Miles DavisのPrestigeからCBSへの移籍とBob Weinstock社長(4)
- コレを聴きつつ読むと、きっと和める筈です。
Bob Weinstock社長とジャズメンとの関係について再び・・・
- Miles DavisのPrestigeからCBSへの移籍当時の1956年、Bob Weinstock社長は弱冠28だったのは、起業が容易い米国でも珍しかったという点について、再びメモしてみます。彼が「Bags Groove」盤を制作したのが偶然の出来事だったことについての本人の弁です。その当時この盤の制作に何らかの関係があった人の年齢、というか上下関係について触れてみます。
もう一つの当時の名盤「Somethin' Else」盤を制作したBNのAlfred Lionは、関係者中でも一番の年長で48歳した。 ずっと下ってThelonious Monk、それにCBS社のGeorge Avakianが37歳、 Milt Jacksonが33歳、 Miles DavisとJohn Coltraneが30歳、 といった感じで、肝心のBob Weinstock社長がは、8歳と一番の若手だったのでした。
- それを念頭に置いて、名盤「Bags Groove」を制作した1954年頃を回想したBobのインタビュー記事を以下に抄訳してみます。Bobは皆に「My kid」呼ばわりされていて、長幼の順序が滲み出ています。
- 「Bags Groove」と「Miles Davis and the Modern Jazz Giants」の2枚を録音したのはクリスマスだったな。
(It was Chiristmas when we recorded 'Bags Groove' and 'Miles Davis and the Modern Jazz Giants'.)
- 皆、景気が悪かったんだ。
(Everybody was down.)
- Milesが、「なぁ、金が要るんだよ。クリスマスなんだぜ、若ぇのよぉ・・・」って言った。
(Miles said,'Man, I need money. It's Christmas. My kid...')
- Monkも電話をかけて来て言ったんだ。「金が要るんだ。お若ぇの・・・」
(Monk call me on the phone: 'I need money. My kid...')
- それからBags(Milt Jackson)も電話してきた。奴は普段から金には困って無かったのに、こう言ったんだ。「パンを買わなきゃならないんだよ。」
(Then I got a call from Bags, who always had money, and he said,'I need some bread.')
- 僕は、「何か考えてみるよ。」って言った。それでMilesに電話をしたんだ。「あのなぁ。オールスターでセッションをやらないかい? あなた、Monk、それにBagsでやりたい。」 BagsとMonkは一緒にやると気が合うことは知っていた。
('We'll work something out,' I said. So I called Miles: 'Listen, why doon't we have an all-star session? I want to use you, Monk and Bags.' Bags and Monk played good together.)
- Milesのソロの裏でMonkが伴奏しなかった時のことだけど、もしMonkが弾いたらMilesが彼を引っ叩くって言った、なんてのたまった奴がいたな。いや、そんなことは無かったさ。
(When Monk laid out during Miles's solos, people claimed that Miles had said, he was going to beat Monk up if he played. No, he didn't.')
- Milesは、ピアノが入らないサウンドの効果を狙ったんだ。Monkは別に気を悪くしなかった。皆、仲は良かったよ。野球のオールスターみたいだった。夫々の力量を認め合っていたから、仲は良かった。
(He wanted that effect, without the piano. Monk had no hard feelings.They love d each other. It's like baseball all-stars. They love each othet because of their abilities.)
- Bobは、録音経緯は上記のようだったと記憶していたのでした。Milesはこのセッション案を提示された時、アドリブの裏でMonkにいつもの弾き方をされるとやり難いと危惧して、「どうなんだろうなぁ・・・」と留保している。しかし若僧のBob社長がその気になってしつこいので、そんじゃまぁとやってみたのでした。すると「案ずるより産むが易し」で、そこから天下の大名盤が2枚も生まれちゃったわけです。Miles流に言えば、「シロの若僧なんだけど、商売の眼は確かだったよ。」と言う良い結果が出てしまったって感じでしょうか。
- ・・・とメモした所で疲れちゃったんで、後は次に回します。
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