Tsutayaのジャズ版: 久米宏の「ニッポン百年物語 〜流行歌の100年〜」での秋元さんの話から
- BS民放5局が平成25/26年の年末年始向けに共同制作した、久米宏の「ニッポン百年物語」はなかなか面白い企画でしたが、1月19日にやった「流行歌の100年〜 未来に残すべきニッポンの歌」は、ジャズ・ファンも含めて、音楽好きな方にとって中々面白かったと思います。久米さんの司会で、放送作家といえば良いのか、ヒットメーカーといえば良いのか困る、秋元康さんが、「これだけは次世代に残したい流行歌100曲」を語り、ロッカーながら歌謡曲にも詳しい近田春夫さんも交えて、これまでにない個性的かつ独創的な流行歌論が展開されました。その内容について語るのは本稿の目的ではなく、その中で秋元氏が触れたことをジャズに引き寄せてみて、「Tsutayaのジャズ版」というようなことに思いが行ったわけです。元の発言は、歌謡曲の将来についてどう考えるか、近田さんと秋元さんが考えを述べる中で出て来たものですが、以下は歌謡曲には無関係な、ジャズのお話です。
好きな演奏を「所有する」
- 秋元さんはその時に、大略、以下のようなことを語られました。
「少し前に良く話題になった、これからはCD等は売れなくなって行き、代わりにネット配信でのDL販売が増えると言う希望的な観測は外れつつある。それは、ここ数年の販売統計データに現れている。そういう状況を見ていると、好きな演奏を「所有する」ということに関する購買層の考え方が、少しづつ変わって来ている、と言う気がする。特にこの頃、若い人からよく聞くのが、わざわざ自分の身辺に所有していなくても、(違法にタダで入手したり、それが無理なら合法的に対価を払ったりして)「ネットで拾う」から良い、と言う言い方だ。これは、制作側から言うと大変困る話で、CDの売り上げが下がっても、その分だけDL売り上げが増えるわけではない、と言う現実と符合している。今の若い人の多くは、クラウドのような考えに馴染んでいて、好きな演奏が聴きたい時に聴けるのであれば、何も録音媒体を手元に持たなくても良いと考えているようだ。自分は、映画が好きで、好きな映画のLDやビデオを多量に持っていた。ある時、倉庫代わりに借りていたマンションの一室が満杯になったので、事務所の若い人に「これこれの要領で、整理整頓して呉れ」と依頼して、アルバイト料を払ったことがある。しかしやってみて判ったことだが、それは若い人にTsutaya役をやってもらおうとしているに等しいことに気付いた。」 秋元さんのような、映画が趣味の方でなくとも、音楽が好きな人なら、この手の話は身に沁みて共感できる話です。
音楽のDL購入
- Nelson自体は、音楽のDL購入はあまりしたことがありません。MP3では我がオーディオで聴くには物足らないし、ケチだからどうせ買うならしっかりした音質でないと損をした気がします。CDと同程度の音質であるWAVで落せれば良いんだけど、それでもCDPで聞けるフォーマットに変換するのも面倒だし、、、というところです。DLで入手したものは、ほとんどの場合、PCで聴くか、散歩中にDAPで聴きます。その程度の、雑音が多く、再生の質が元来良くない環境では、気楽に聞けるのです。スピーカーをにらみつけて聴いてやれという程に入れ込んだ音源は、やはりCDかLPで入手するということになります。だから、秋元さんが指摘した若い人の最近の風潮とは一線を画していることになります。納得良く音を自室で聞くためには、かさばるCDやLPの棚は、不可欠なのです。
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それが、どのようにして、Tsutayaのジャズ版につながるのかは、次回回しにします。
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