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Ray Brownの凄さ

  • 大好きなRay Brownさんが、残念ながら先年他界されました。どんなクラブであっても、グルーヴィーなジャズの坩堝に変えてしまうRay Brownは、単に強烈なビートで演奏を下支えするだけではなく、実は演奏全体の方向を決める役割もしていたのでは、、、というお話です。
    名演「Slippery」
  • ここに、「Something for Lester」というアルバム(右掲)があります。この標題の「Lester」は、直ぐに想像できる「Lester Young」ではなく、Contemporaryの社主である「Lester Koenig」に捧げたことを示しています。この時、Lester Koenigはもう既に病重く、この録音の数週間後に他界するのです。それはさて置き、この名盤は先ず快調な「Ojos de Rojo」が皮切りで、その直ぐ後に極めつけの名演である「Slippery」が続きます。この「Slippery」は、Nelsonのお気に入りの演奏で、元気の無い時でもこれを聴くと直ぐにニコニコしてしまいます。演奏は、Ray Brownの素晴らしい、特徴的なビートで始まります。そのままRay Brownが、その強烈なビートを維持しつつ、実にグルーヴィーなテーマ・メロディを奏でます。ベースですから、フレーズはそれほど細かく、複雑ではありませんが、ゆったりとしている分、こっちの体は大きく揺れてしまいます。旋律楽器としてはベースの上を行くピアノはCedar Waltonですが、脇でじっくりと付けるだけです。そのまま、Ray Brownがテーマを最後まで弾き終ると、続いてCedar Waltonが素晴らしいアドリブを展開していきます、、、その間もひと時も休まずに、Ray Brownがテーマを特徴付けていた独特のビートを繰り出し続けます。サポートに回ったはずなのに、まだまだベースが演奏をリードし続けているかのようです。こういう演奏が、「Nelson好みの演奏」の典型です。結局、Ray Brownは7分強にも及ぶこの演奏の間中、このビートでバンドを引っ張り続けていくのです。
    「ピアノトリオは、ベースとドラムスで聴け」
  • これは、かの寺○さんの言です。ホントウは、寺さんだってピアノを主体に聴いているんです。しかし、ともすれば矮小化されすぎた存在である「ベースとドラムスを忘れちゃぁいけませんョ」ということを強調したいばっかりに、寺さんはこういうひねった話法を使う癖があります。さらには、楽器の音が好きな寺さんですから、「ベースとドラムスの音をしっかりと録音して置いてくれよ。こっちも、ベースとドラムスの美音を中心に、しっかり聴くからな。」という気持ちもおありなんでしょう。賛成です。まぁ、美音の方の話は余計だとしても、「ベースとドラムスが大事。」ということは、特にこの頃ヒシヒシと痛感しているからです。誇張して言えば、「ジャズの演奏は、ベースとドラムスで決まる。」ともいえるという気がしています。少なくとも、「ベースやドラムスは、何か適当な合いの手を入れるだけで、気楽で良いなぁ。」というのは、大きな間違いです。良い演奏を聴いたら、見かけが格好良いフロント楽器やピアノが頑張っているからではなく、「その脇のベースとドラムスが居てこそ、気楽に目立つフレーズを吹いていられるんだ。」という気になって、聴き直してみて下さい。「なぁるほど、こういうサポートがないと、あんなフレーズは出て来んワなぁ。」と気付かれる場合が、多いはずです。
    そして、、、
  • そういうベースとドラムスの大事さについて、Joe ChindamoがRay Brownに色々教えてもらったことを書いたメモを見つけましたので、それをこの続きに紹介します。

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