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森山組のJohn Coltrane追悼ライブ

    先ずは、ロケーション等
  • このライブは、2004年7月17日土曜日、水戸市泉町の「SPACE LAB BUBBLE」で、夜8時から10時半頃まで行われました。会場は立ち見まで詰め込めば100人は入りそうですが、当夜は満席程度で、数十人の入りだったのでしょう。出演は、リーダー名義の音川 英二(ts,ss)に、森山 威男(ds)、田中 信正(p)、高瀬 裕(b)という、ワン・ホーンのテナー・カルテットです。このグループは通常の森山組とはベースが違っているだけのようで、音川カルテットと銘打っています。そして、「Tribute John Coltrane」と題した催しの3回目ということで、更に音川が最近出した「存在」盤発売記念ライブでもあるようでした。第一部の「Tribute John Coltrane」では、「Impressions」と、「Love Supreme」とをやり、第2部では「New & Old Wonder Trilogy」と「日本海の朝焼け」という音川のオリジナルが演奏されました。お約束のアンコールは、「Giant Steps」と「I Want to Talk about You」です。2列目の真ん中近くに座っていましたが、失礼ながらPAが効き過ぎで、音的には少し不満でした。西荻窪のアケタをもっと居心地良くした仕上がり(失礼)で、ジャズのライブを聴くには格好の雰囲気でした。4階建てくらいのビルの地下で、遮音はバッチリと思えます。来場者のかなりの方が、Nelsonと同様に森山さん目当てであり、それはまぁ、このメンバーでは自然なことでしょう。
    当日は、、、
  • 色々と所用があり、夕方になって「こりゃぁ、行けないな」と諦めかけましたが、カミサンから「行ってらっしゃいョ」とありがたいお言葉があり、慌しく身拵えを済ませて車で出かけました。同じビルの1階にある駐車場に車を置いて、様子を見に行くと、かなり時間があるのに親衛隊(^^;さんが既に並んでいます。しかしまぁ、立錐の余地も無いという羽目にはならないようなんで、取敢えず腹ごしらえに行きました。この辺りですと、昔なら「千春」という安くて旨い中華屋さんがありましたが、今は無くなっているので、適当に済ませて戻ると、また2,3人列が長くなっていました。直前の方は勤め人さんで、「ライブは久しぶり」とか、「昔買っTBM盤なんか、よく聴いたけど、もう捨てちゃったなぁ」とか話されていました。後は、どうやら常連さんらしく、開場になると直ぐに前列全部を仲間で占められていました。そして少しづつ客席が埋まり始めて、開演時には、ほぼ満席近くになっていましたし、演奏も律儀に時間通りのスタートです。
    「Tribute John Coltrane」
  • 第一部の「Tribute John Coltrane」は、当然ながら幕開けは「Impressions」で、15分くらいだったでしょうか、実に「気分」な演奏で、早速会場は盛り上がっていました。サックスも、ピアノも若いだけに熱が入っていて、実に気持ち良く聴けました。森山さんが、「すこし痩せたかなぁ、大丈夫かなぁ。」という感じでしたが、なんの、なんの、相変わらず壮絶かつ切れの良いドラミングで、いつも通り何回かスティックも落としていました。結構間近かで見れたので、「スネァをブラッシュで押さえつけながらこするので、あのダンピングの良い音が出るんだ」とか、「足さばきが見えないけど、Bドラの高速連打はいつもながらアキレルほど凄いとか」、感心しました。次の「Love Supreme」は、最初ちょっと戸惑いました。というのも、こちとらはジャズ親爺ですから、あの曲をオリジナル以外で聴くなんて、考えられないことです。アンチーブだかの録音も持っていますが、この曲の演奏だけは真面目には聴かないように努めたくらい、この曲は別格の演奏です。しかし、まぁ、やるんだから、聴くしかありません。唯一の救いは、第3部迄で止めて、第4部をやらなかったことでしょうか。あの第4部は、Coltraneだからこそ心情の発露がありうるので、他の人がやるとウソになりますからネ。演奏は30分を超えていましたね。
    「存在」盤発売記念
  • この盤自体は、アコーディオン付きなんだそうですが、ここではカルテットでの演奏です。最初の「New & Old Wonder Trilogy」は3部構成の組曲で、組曲なんてぇのは余り得意じゃァありませんが、でも曲自体は良い曲ばかりでしたし、演奏も素晴らしかったです。そして、次の「日本海の朝焼け」は、音川の故郷、新潟の浜辺を歩いていた時の作曲だそうで、これも素晴らしい曲でした。
    アンコール
  • アンコールは、森山さんが「バラードをやろうョ」と音川に声をかけていましたが、それを無視して「Giant Steps」に突入し、コレも良い演奏でした。森山さんが、「そうかい、バラードはやらないのかい。Giant Stepsの気分なんだね。」と、「これでもか、、、」とばかりの強烈なドラムソロで、腹いせ(^^;をしていました。一旦引っ込んだものの拍手鳴り止まずで、次はまた名曲の「I Want to Talk about You」です。これはサックスとピアノの静かめのデュオで、きれいに会場を鎮めて、お開きです。
    素晴らしい日本人ジャズ
  • 現在のジャズでは、Coltraneイディオムの消化は当然のことです。このカルテットも、それを苦も無くこなす上に、自分なりの味付けをしていて、なかなかのレベルに達しています。森山さんも、相変わらずの熱演で、一時体調を崩されたり、可児市で営農に転じられたとかの噂があったりでしたが、「どっこい、元気だゼ」という感じです。音川 、田中両氏は、先が楽しみです。意識して冷静に、かつ辛口になれば、この両氏の「まだまだ、伸びる」という感じの上り坂に対して、森山さんは下り坂にはまだなっていないけど、「まだ、これから伸びる」という可能性の人ではないかも知れません。でも、この世には円熟ということがあります。Elvinも、Blakeyもその境地で、またファンを楽しませたんですから、いつまでも頑張って居て欲しいものです。

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