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「Bells/ Albert Ayler」と、インサイド・フォース・キャンセラーの謎 (その2)
  • それで片面盤の話が、唐突ながら、無音溝、インサイド・フォース・キャンセラーへと拡散します。
    何も録音されていない、とは
  • アナログで、「何も録音されていないトラック」とは、普通は無音を録音したトラックです。アナログ・システムを適正に維持するためのテスト・レコードには、「プォーーーン」なんて音の入ったトラックの他に、必ず「何も録音されていない」トラックも用意されていました。アナログでは、こういう何の音も入っていないトラックのことを「無音溝」といいます。そんな変なトラックでチェックできるのは、
    • 基準のノイズ・レベルや音色等
    • 左右のノイズの差異
    • スクラッチ・ノイズの音色
    などで、つまり音が入っていてはチェックしにくい項目のチェックができます。そして、またインサイド・フォースの確認にも使えました。
    CDの無音・有音
  • 初期のCDの裏側を見ると、録音のある部分と無い部分がハッキリと視認できたものです。アナログでは「一杯イッパイ」に近い40分ものの盤でも、CDでは、裏側を見ると半分くらいしかスペースを使っておらず、残りは鏡状態のままであることが、目で判りました。合冊CDなどでは、裏面全部が埋まるくらいの分量が録音されていましたから、「ナルホド、CDに全部録音するとこんなに入るんだ」というのが、裏面のチカチカ色の面積で、目でも体感できました。今は、無音と有音の境目は、目視では判りません。恐らく今は、工程の都合かなんかで、全面を録音状態にして置く方が良いのでしょう。演奏の無い部分は無音が録音されていることになり、上記のアナログで言う「何も録音されていない」トラックに該当します。
    インサイド・フォース
  • レコードの原盤は、音を刻み込むカッターが盤上空を、端から中心に向かって、あるピッチで直線移動しながら溝を掘って行って作成され、その間カッターの針は常時、溝に対して直角というか正接しています。しかし、アナログ再生器では、通常のアームは軸を中心に固定の半径で回転するので、針は弧を描きながら、盤の端から中心までをトレースします。このため、カートリッジはある一地点でのみ溝と直角になれますが、大半の時間は溝に対して斜めに接しており、微視的には針は左右で時刻の違う個所を再生しています。いわゆる「リニア・トラッキング方式」でない限り、アームの先を曲げる等の工夫をしても、ハッキリ言って無駄なことであり、直角に接していないための分力、つまり「インサイド・フォース」が殆ど常時、針先にかかっているのです。ステレオ再生では、溝の左右に均等に針が接触することにより、左右の再生バランスが取れます。したがって極端な左右の接触圧差は避けねばならず、この分力をあるメカニズムで打ち消そうというのが、インサイド・フォース・キャンセラーです。アームによってその工夫が色々で面白いんですが、その泥沼(^^;はここでは踏み込みません。
    有溝・無溝、有効・無効
  • そこで、「Bells」盤です。この盤の裏面は、何も刻んでいない平面です。テスト盤の有溝の無音溝ではなく、ノッペラボウの無溝です。ある時、こういうノッペラボウ盤を針でトレースさせると、内側にアームが滑るので、「ホラ、内向きの力がかかっているだろう。」という説明があり、さらに「ここでキャンセラーを効かすと、ホラ、止まったぁ。」と追い討ちがかかったんで、「エーーッ、そうなんだっけ」と何だか判ったような、判らないような気分になったことがあります。「レコードの演奏を適正にする調整なのに、ノッペラボウ盤で調整して良いのかなぁ。」 本来、「インサイド・フォース」は、溝にはまった針が溝壁を指定針圧で押し、その盤から受けた反作用の内向き分力の筈です。溝がソモソモ無いのならば、それは「インサイド・フォースのデモ」じゃぁなく、「ラテラル・バランス不良のデモ」じゃんか、という気がしたのを思い出します。
    「Bells」盤と、インサイド・フォース・キャンセラー
  • 、、、ということで、道中長かった(^^;んですが、やっと、「Bells」盤とインサイド・フォース・キャンセラーが繋がりました(繋がってない、繋がってない(^^;)。今考え直していますが、どうもまだ腑に落ちません。つまり、
    • 「ノッペラボウ盤で針が内側に流れるのは、インサイド・フォースなのか、ラテラル・バランス不良なのか」、更には
    • 「この流れをインサイド・フォース・キャンセラーで止めることができるのか、それともラテラル・バランス調整でしか止まらないものなのか」
    という素朴な疑問です。どなたか、その界隈に詳しい方居られませんでしょうか

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