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「幻の名盤読本」旧版及び新版

  • おそらくこの世の中には、オレは「幻の名盤読本」が一冊あれば、他のジャズ本は要らないと仰る方が数多くいらっしゃる筈です。特に、今様のCDではなく、最初に発売された時の熱気が、というか香りすら残る感がある、アナログのオリジナル盤を蒐集しようと言う方には、この本は座右に必携すべき本であるに違いありません。コレを寝る時に枕頭に置き、何ページか繰ってみないと眠りに入れなかった方も多い筈です。気になった盤に印を付けておいて、週末には神保町の「トニー」、西新宿の「コレクターズ」、数寄屋橋の「ハンター」、都内各所の「ウニオン」と歩き回り、ピカ盤が○万円と値付けされているのを溜息混じりに眺めたこともある筈です。
    「Overseas/ Tommy Flanagan 」が、30万円弱
  • この時期前後の熱気を物語る一例としてよく挙げられるのが、名盤の誉れ高い「Overseas/ Tommy Flanagan 」(Metronome/ Sweden MEP 311-313)、EP3枚組です。この希少盤が店頭に出たらその日のうちに、付け値の30万円弱でスルッと売れたと言う話を聞いて、「こりゃ、とても適わない」と脱帽したのを思い出します。それ以来、オリジナル盤収集の道には縁無き衆生だと自己限定をして暮らしております。しかし、世の中にはNelsonのように入り口で諦める人ばかりが居るわけではなく、そういう希少盤の商売ベースの取引だと手に負えないと悟って、知る人ぞ知る会合に顔を出して、有無相通じる収集家との情報交換を通じて、格安で名盤を手にするというケモノ道通いをする方も、、、いや、いや、もうそういう方も少なくなった筈です
    児山編集長が仕掛け人か
  • 「幻の名盤読本」と言う命名は、どなたのアイデアによるのか知りませんが、74年当時のSwing Journal誌編集長は児山紀芳氏だった筈ですから、児山氏の関与が大きかったことでしょう。この別冊を出す狙いはずばり的中で、70年代後半のジャズ喫茶ではこの本に出ていた盤の話で持ち切りだった記憶があります。。今の古本価格で、数千円も出せば手に入る筈です。児山氏自身も相当なコレクターだったわけで、そういう人がとりまとめをした盤なのですから、その内容が持てはやされたのは当然かもしれません。ボックスマンの異名をとる児山氏は、後に日本フォノグラムの役員格で制作にも手を染められて、原テープ倉庫をひっくり返して、数々の埋もれた録音を世に出されるという功徳をされております。
    2番煎じは泣かず、飛ばず
  • 世の中の2番煎じは、大体が一番煎じを超えることがありませんが、この本の場合もその例に漏れず、20年後に出た第2版とも言うべき新版は、それほどジャズ界を騒がすことはできませんでした。でもまだこの時期には、旅行会社で米国の都市及び近郊の町を数箇所巡って、中古レコード屋を毎日漁り続けると言う猟盤ツアーの広告を良く見かけました。

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