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寺島靖国もの

  • 寺島靖国さんは、38年生まれで70年に地元吉祥寺でジャズ喫茶「メグ」を開店され、80年代頃から色々とものをお書きになるようになりました。下掲したのは比較的初期に書かれた「辛口ジャズノート」が文庫本になったものです(講談社から94年に刊行、854円)爾来、ジャズ喫茶がらみのことや、新しい輸入盤の試聴記等をドンドン書きまくっておられます。
    ジャズ喫茶のマスター
  • 寺島もの 恐らくは日本にだけしかないだろうと思われるジャズ喫茶は、普通の喫茶店よりは若干高めの値段でコーヒーを飲ませ、その間にそれなりの所蔵と聴く装置を踏まえたジャズのソフトを聴かせる特殊な場所でしょう。それ以前にも同様なスタイルで、クラシックを聞かせる「音楽喫茶」というものがありましたから、その変形かもしれません。60年代頃から結構目立ち始め、70年代頃にピークを迎え、今は今度は逆に余りはやらない場所となりつつあります。そこここで、「○○という有名なお店が閉まった」という噂が飛び交いました。マスターは、当然ジャズが好きで、旧譜は勿論のこと、新譜もせっせと買いこんで店のステータスを保とうとします。この頃は自薦で聞かせることも多いんですが、昔は殆どがリクェストを受けてその所蔵盤をかけており、レシートにリクェストのための半券が付いていました。所蔵盤は、自分で買ったとは言え、商売ものの仕入れですから万人向けであり、マスター個人としては気の進まないものも含まれて居ます。そういう風に他人のリクェストを、延々と一日中、365日掛け続ける仕事は傍目より大変です。「あの稼業は好きなジャズが聴けて極楽だろう」と思うような甘い人は少ないでしょうが、想像以上の苦行だろうと容易に推察できます。Nelsonも、短期間バイトをしましたが、ジャズが好きなればこそ、却って好きなものばかりは聴けないのが歯がゆく、「この仕事は結構大変だ」と実感しました。でもそういう生活を数十年続けるのですから、ジャズの大半の盤について精通してしまうことになり、更にはジャズについて一家言を有するようになられるのは、理の当然です。ある時期から、ジャズ喫茶の店主が皆さん、色々とお書きになる、その代表格が寺島さんだと思われます。
    毎日聞けばこその一家言
  • 兎に角ジャズ喫茶のマスターほど、長い時間ジャズを聞いている人はそれほどは居ません。メディアの評価は兎も角、実際に一般のジャズファンが聞きたいとリクェストする盤がどういう盤か、それを一番よく知っているのはこの方々でした。すなわち、メディアの嘘を見抜く立場に居たわけです。「アノ盤の、アノ曲で皆がジャケットを見に来る」という実感が即ち、ジャズファンの好みを一番正直に示しています。それをしっかり知っているんですから、言う事に根拠があり、(妙な)自信を持ったとしても当然のことです。そういう実感があるので、くちばしの黄色い評論家を玩ぶなどは、出入りの酒屋との交渉よりも簡単な、正に「赤子の手をひねる」程に簡単な事です。無論、ひねられちゃう評論家のほうがだらしないんですがねぇ、、、
    一寸ネット検索すると、、、
  • ネットで「寺島もの」を検索すると、サッと以下のような本が出てきます。
    • 辛口!JAZZノート
    • 痛快!JAZZある記
    • JAZZ晴れ、時々快晴。
    • 辛口!JAZZ名盤1001
    • JAZZの聴き方に法則はない
    • 愛と哀しみのジャズカタログ
    • JAZZ「最高の愉しみ方」
    • 新しいJAZZを聴け!
    • JAZZはこの一曲から聴け!
    • JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!
    • JAZZを聴く五感ときには第六感で!
    • 寺島流JAZZの聴き方
    • JAZZオーディオ「快楽地獄」ガイド
    • JAZZオーディオ悶絶桃源郷
    • サニーサイドジャズカフェが選ぶ超ビギナーのためのCDガイド
    ドンドンと新刊が出るということは、それ以前の本が、それなりに売れているに違いありません。それにしても、こうしてみると、「!」が相当にお好きのようですネ。
    ピカレスクを自認
  • 寺島さんは、「ジャズはテーマで聞け」「アドリブ無用論」「ジャケ買い」等々の迷言を数多くされていますが、恐らくは書き物を始めて暫く経った時点で、「俺は、ピカレスクで売り込むんだ」と決められたんではないか、と推察しています。こういう場合は、別項の平岡さんの空手と同様に、「人が言わない、一見常識はずれのことを言っておいて、反論する人を論理ではなく、回し蹴りでブチのめす」という風な技を必要とします。これまでの活動を見聞きする限り、成功しているようでもあり、ジャズ喫茶店主としての技が鈍っているような気もします。世評を聞いてみても、「筋が通っているから良い」というよりも「面白がりたがる人」が多いようです。「兎に角色んな盤を紹介して呉れるので、寺島さんの好みを心得た上で、取捨選択の役に立てている」という風に、皆さん、寺島盤の偏りの補正を、ウマク自分でなさっているようです。
    とは言え、、、
  • そういう一家言があったとしても、それを文章であらわすのはそれほど楽ではありません。会社の企画書とはまた違うノウハウがあるようです。そして、これだけ引きを切らずに新刊が出るのですから、寺島さんには相当のファンが付いている、と編集者が舌なめずりしているに違いありません。それとも、他の書き手がだらしが無さ過ぎるということかもしれません。その証拠に、「結構ここは草刈場みたいだ」と安○さん等が新規参入してるじゃァありませんか。
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