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過渡(トランジェント)特性

    過渡(トランジェント)特性
  • 楽器の音は、実は意外に強烈なものです。楽器の生の音は、スパッと出ますし、また余韻を止めた音はスッパリと音が途切れます。これがそのとおりに再生できれば、「システムの過渡特性が良い」といいます。俗には、立ち上がり・立下りとも言います。元々が余韻を持った音の場合はそれで良いとして、ジャズメンがスパッと行きたいと思って、そういう音を出しているのに、システムが「いや、まぁ、ゆったりと行こうョ」と勝手にズルを決め込むのはいけません。
    ピアニストの「グワーンッ」
  • ピアニストは、ただ単に欲求不満だから「グワーンッ」とやる(^^;)のではありません。そうではなく、その演奏の展開上、そこにその音が必要であると思い、必要十分な腕力で打鍵しているのです。ですから、録音された「グワーンッ」は、そのとおりのタッチで「グワーンッ」と再生しないといけません。ヴォーカルにおける声もそうです。やたら「サ行」の音が目立つことがありますが、それは過渡特性不良です。また、トライアングルのような金属パーカッションが変な音で鳴るのも、同じです。
    「2トラ38の生ロク」
  • 再生音楽では、過渡特性が生よりも良くなることはありえません。録音、ミキシング、マスタリングと色んな工程が必要であり、その処理の間に音がドンドン鈍ります。言ってみれば、できる限り音が鈍らないように努力することで、技師は精一杯なんだと思います。昔、「2トラ38の生ロク」といって、ジャズのライブをテープに落とせる会がはやったことがあります。ライン・ミキサーから直に、テープ・デッキに音が入りますから、介在する機器は、最小限に止まっています。その時録った音の「なまなましさ」には、正に「のけぞる」思いがしました。シンバルの強打などは、思わず顔をよけてしまって苦笑する位のものでした。過渡特性は、結構大事です。

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