周波数帯域
周波数帯域
- 要するに、「低い音、高い音はどの辺りまで出るか」です。ジャズでは、Bドラ、ベースそれにオルガン位が低い音ですし、打楽器などでは結構高い音が出ます。ジャズの基本がスィングであることを考えると、ベースとドラムスの動きと狙いがしっかり聴き取れるような再生帯域は、非常に大事です。
バランス
- これには、昔から「100万の法則」とか、「40万の法則」とかがあります。前者は「100Hzから10,000Hzまで」、つまり「100 x 10000 = 100万」、後者は「20Hzから20,000Hzまで」、つまり「20 x 20000 = 40万」ということです。前者の方が広く、後者の方が狭いようですが、どちらが良いと言うものでもありません。その基本は、「再生帯域は、広けりゃァ、広いほど良いんだ」というものでは無く、「上下のバランスが大事」という考え方です。ですから、下が20ヘルツまで出ていて上が一万ヘルツでは、低い方に偏りすぎですョ、ということになります。こういうことは、よく言われていることで、判ったつもりでは居るんですが、つい、スーパーツイターなんかをヒョイと追加してから、「なんかおかしいなぁ」と気付きます。上(下)だけを野放図に伸ばしても、聴いてみての満足はそれ程ありません。それが、バランスです。これは、経験しないと実感できません。
昔っから、、
- 機会があれば、古いウェスタン・エレクトリックのシステム等を、一度聴かれることをお勧めします。実にカッチリとした、良い音がしています。そうなんですが、よーく根掘り葉掘り聴いてみると、実は高いほうも低い方もあまり出ていないことが判ります。まぁ、ベースとシンバルが一番よく判ります。シンバルなら、何かジャーンと鳴っています。これが現在の普通のシステムだと、シンバルのジャーンの上、シュワーンくらいは聴けます。更にもっと上質なシステムだと、そのもっと上の、何とも言えない「かそけき雰囲気」などが聴けます。でも、ウェスタンではそれは無理です。それなのに、心地良い音なのです。特に、人の声などの中音が明瞭で、人によってはむしろキツイと感じる位です。こういう正しい佇(たたず)まいの音を聴くと、バランスの重要性が身に沁みます。
中音
- また、色んなシステムをお聴きになるにつれて、再生帯域がある程度必要ではあるにしても、あまり広すぎると、音楽の大黒柱である中音が薄くなるのも実感される筈です。Nelsonも「ナルホド」と得心したつもりでしたが、頭でそう考えていても、口でそう言っても、これは実感してみないと判り難いと思います。スーパー・ツイターか、サブ・ウーファーを加えて、シンシン、あるいはブーンと鳴って、当初、悦に入るのは良いんですが、ひと月くらいたつと、体の調子がおかしくなります(^^;)「ちょっち言い過ぎじゃない」とおっしゃるかも知れませんが、それで失敗した本人(^^;)が言ってるんですから、間違いありません。それは、中音がガツーンと来なくなったからもあります。よく判りませんが、人間の耳はメッチャ高い(低い)音が入ると、そっちに気を取られてしまうのか、肝心の中音の印象が薄くなるようです。これは、実はマズイことです。中音が薄くなると、テナーサックスの「ボベ、ボベ」がしっかりとは聞こえなくなり、ドンドン、シャリシャリだけが耳に付くようなのです。
カラオケは駄目
- 無論、「20Hzから20,000Hzまで」といっても、実は色々とあるのです。ホントウは、「しっかりした音が出た上で、このような帯域があれば良いな」ということです。卑近な例を、宴会のカラオケに取りましょう。ガナリ立てる歌がうまいかどうかは、とりあえず置いておいて(^^;)、伴奏の方です。お気付きでしょうが、カラオケでは、低音が「ボーン、ボーン」と鳴ります。あれは質の悪いバスレフの共鳴音です。アレを重低音と勘違いする人もいますが、あまり低くはなく、むしろ中音に近い100Hz近辺の音です。酒も入っていますから、調子に乗って伴奏音楽のヴォリュームを上げると、箱がブンブン言ってしまいます。量的には、大きな音がしているので、「低音がよく出ている」と見当ハズレのことを口走る人がいます。でも、あのスタイルでジャズが聴けるでしょうか。Nelsonは、絶対にイヤです。音量が充分にあっても、音質がアレでは絶対ダメです。質の良い音であった上での、周波数帯域なのです。
、、、ということで
- バランスが大事、中音が大事、音質も大事、ということを心得た上で、ほどほどの周波数帯域を確保しましょう。
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