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Nelsonの「なんちゃってネットワーク・ケース」(2)
  • 604-8HALTECの40センチ径2ウェイ同軸ユニット「604-8H」、のネットワークを自作して、「さて、箱はどうするか」という段になってイタズラする気になり、百均の電子レンジ用プラスティック・ケースでやってみた、、、という話の続きです。コレまでの経緯は、ここでどうぞ
    そもそも、ケースの要件とは
  • ネットワーク・ケースの要件として考えられることは、いくつか思いつきます。部品の固定に耐える剛性。外部からの音圧、振動、電磁気的な外乱の遮断。通電時の振動の抑制。発熱がある場合の除熱。初期動作の継続を保証し、ゴミ等も排除するある程度の密閉。まぁ、こんな所でしょうか。実は、大昔にJBLのLX10というネットワークを使っていましたが、「中は、どないなっとるんじゃい。」という好奇心に駆られて、壊したことがあります、、、というか、何とか中を見たいと色々やってみたんですが、「非破壊検査」(^^;は困難で、背板を缶切りでブチ開けたのです。まぁ、若気の至りです。中身は、電解コン、セメント抵抗、ヴォリューム、そして部品の相互干渉と振動防止のためと思われるスポンジだけでした。JBLの場合は、裏バッフルにパッキングを介してネジ止め固定するのが通例で、ケース自体がキャビネット内の音圧を受けるので、金属製の箱でなければなりませんし、またスポンジも必要なのでしょう。商品として、必ずしも丁寧でない輸送・運搬に耐え、メンテナンス・フリーで10年近くは使ってもらうためには、それくらいは必要でしょう。我が「なんちゃってケース」は、キャビネット外に置くので、その辺はネグリました。
    結構重い
  • 604-8H必要な部品を取り付けた状態での重量は、約1kgです。殆どがインダクターというか、空芯コイルの重さでしょうね。コレは、太くて、長さも数米あるエナメル線で、バカ重いのです。このコイルはケース側壁にネジ止めしてありますが、その重さがかかっている側壁には金属板ほどの剛性は無いものの、別にたわんでもおらず、まぁ、使用に耐えるといって良いでしょう。その他のコンデンサーや、端子盤は圧着、半田付け、ネジ止めだけで、ケース底部に文句無く固定されています。しかし、一般のネットワークのように、ケース全体の剛性がそれ程はないので、キャビネットに装着するのはマズイでしょう。平坦な所に置いておく必要がありそうです。
    入出力
  • 2ウエィですから、入力が2本、出力が4本であり、端子盤は6連のものを使っています。側壁間近に入出力用端子盤を配置し、底板にネジ止めします。端子盤近傍の側壁に、6個の穴を開けて入出力ケーブルをそこから端子盤に持ち込みます。出力は、スピコンにつないであります。パワー・アンプからの入力は、そこら辺にあった適当なケーブルです。出力は、ALTECで使われている中細の錫メッキ線で、手持ちの緑と青のソリッド、スパイラル模様のペア線を使ってみました。
    ネットワーク回路
  • 604-8H上図を見ればわかるとおりに、殆どのネットワーク部品は端子盤にネジ止めしています。それ程込み合っているわけでもないので、熱収縮チューブも使わなず、大らかな空中配線です。様子を見て、JBLのようにスポンジをクッションに入れるかもしれません。まぁ、売り物ならば、エポキシ充填で固結するとか、そこまでやらない場合でも、右図のようにデイップ掛けして固定するとかするんでしょうが、、、
  • 一部、部品の配置上の都合で、付加ケーブルを半田付けしてから、端子盤に持ち込んでいる箇所もあります。コイルは磁場の干渉を避けて直交させた配置にし、重量があるので、側壁にネジ止めしてあります。まぁ、素人がやる分には、この程度のものでしょう。
    フタ付き
  • まだ組んだばかりでいじるかも知れませんし、例の中音増減回路を付加することもありえますので、この段階で完全密封なんてする気がありませんが、元来が食品保存ケースなんで、結構密閉度は高そうです。フタはそんなにご大層なものじゃないので、着脱は簡単です。通電中に触ってみるとケースは唸ってはいません。コイルのネジ止め箇所付近の側壁は、かすかに微小振動を感じますが、数センチ離れたところではその感じはありません。ケース経由で他の素子に悪さをしているかどうか、まぁ、柔らかいケースだし、共振はしなさそうですから、気にするほどのことではないのでしょう。
    取り敢えず聴いてみると
  • 604-8Hフザケルのも度を越していると本人も認める百均ケースをキャビネット上に安置して、音を出している状態の写真です。百均ケースにそれなりの細工をして、実際に604-8Hを鳴らしてみると、「ナント言うことでしょう、実にもう素敵な音がしました。」、、、であればメデタシ、メデタシなんですが、そうはイカキンです。まだ組んだばかりだから、パーツもその気になって居ないんでしょうか、、、というか、まだリード線なんかがほぐれていないんでしょうか、真空管のシングル・アンプにつなぐと、音がモヤッて居るのかな、と思える瞬間があります。バラックのネットワークを使って、NECのA-10Xで以前に鳴らした音とは少し違います。「それって、A-10Xの音が昔っから硬いっていわれてることのマンマでしょうが、、、」という突っ込みはさて置いて、気を取り直してテクニクスのSEA 1000Mark IIにつないで、半日ほど鳴らしっ放しにしてみると、立派な音がし始めました。フ、フ、フ、、、締めこのウサギじゃァ。
  • 、、、ということで数日間様子を見ましたが、結構良い音がし続けており、百均「なんちゃってケース」に実装したからという難点は、どうも見当たりません。これは、「遊び」じゃぁなく、「本気」になっても良いのかなと思うのは、自作ゆえのひいき目のせいばかりとも言えません。うるさいことを言わなければ、「コレは、コレで良いじゃん。」という気がします。もう少しいじったらお遊びはそれ位にして、タカチか何かのケースに入れ直して、一件落着とします。まぁ、2007年の初笑いのネタとしては、結構笑えましたねぇ。
  • 何かと言うと、既に出来上がった、更にはオーディオ用とか称したメッチャ高価なものを買うという風潮に、蟷螂の斧かも知れないんですが、ちょっと逆らってみたい気持ち、判ってくれると嬉しいんですが、、、タコ壷の中で自分を過信し過ぎるのもマズイんでしょうが、「高い値で売ってるんだから、良い物の筈だ」なんて、実証を忘却して、自己主張のかけらもない「金満家のお買い物オーディオ」が大嫌いなNelsonなのでした。

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