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部屋の横使い(その2)
  • Nelsonは、これまでは、漠然とした考えで部屋を縦長に使ってきましたが、どうも部屋の横使いも良いらしいとの情報を得て、今般、それに挑戦した結果を、以下にメモしました。
    横使いにしてみて
  • 今回、石井式も参考にして、我が聴き部屋を横使いにしてみると、部屋の奥行きが減った代わりに、横幅が3.6米から4.8米に広がりました。左右対称に使うことが必ずしも良いわけではないようであり、室内の物の配置の関係もありで、ちょっと中心からずらした左右配置にしてみました。今までよりもスピーカー間隔が1米近く増して、ステージが広がります。大雑把な正三角形を作ると、一辺が3米強となりました。約11畳の部屋全部がオーディオ用に使えないのは当然で、他のものが混在するのは、どちら様とも恐らく同じ境遇にあります。色々と工夫の末に、「まぁ大体こんな所か。」という配置に落ち着きました
    音に圧迫感が無い
  • 横使いにして直ぐに判った大きな変化は、音が伸び伸びとして、圧迫感がなくなり、スンナリと音が出ている開放感があることです。これは想像しても無理な話で、経験して初めて身に沁みました。実際に横使いの配置で聴いてみて、明確に体感できました。他人様の部屋ではなく自分の部屋で、じっくりとジャズを聴きながら数日間体感すると、ますますこの配置が気に入ってしまいました。今の状況から省みると、少なくとも我が家の場合では、「やはり縦使いには、限界があったんだなぁ。」と納得できます。無論、他にメモしたように、スピーカーの置き台の補強とか、吸音パネルの配置とか、いくつかの変更を加えていますから、横使いだけの効果ではないんでしょうが、でも仕上がりはそうです。
    ステージが広い
  • 天井高が2米強くらいの普通のプレハブで、6畳より部屋が大きい場合、縦使いでは定在波が悪さをするようです。部屋の聴取側半分のどこであっても、定在波による大きな低音の谷から逃れられないというのが、石井式の結論の一つです。それを回避するために天井高を3米以上にできないのであれば、部屋の横使いが大きな選択肢です。これなら聴取場所に自由度があるそうですし、正三角形配置でのスピーカー間隔が広く取れます。実際にNelsonの部屋でそうしてみると、スピーカー・聴取場所間の直接距離にして、3米強の配置が可能になりました。この配置では、両スピーカーの真中に音像が浮かび上がり、実に快適です。最新の録音の盤などでは、素晴らしい音が楽しめます。最近の記事では、見渡し角度が100度なんて極端な配置でも、全くダメではないようです。
    こういうことなのかなぁ
  • どうも、これらを纏めて言うと、「こういうことなのかなぁ。」という気がします。部屋の縦使いでは、石井式のシミュレーションでも判るように、部屋の聴取側半分では、数十ヘルツから2百Hz位までの帯域のどこかで、対処不可能な大きな「低音の谷」ができてしまい、これが音楽全体にかなり悪影響を及ぼします。次に、部屋を横使いにした場合ですが、この場合でも、山・谷自体は残ります。しかし谷の深さがそれ程でなかったり、分散してくれますので、定在波の悪影響はグッと緩和されます。うまく場所を選ぶと、この辺の帯域が全体としては盛り上がった状態を作ることができます。どうやら、この帯域での大きな谷は、音楽全体を窮屈な感じにさせてしまうのです。「部屋の横使いで、山・谷が小さく、また細かくなると、音楽を聴いた時に開放感が出てくる。」という仕組みのようだ、と思います。
    ジャズ親父にとっては難点も
  • この横使い配置での再生は中々良いものですが、困る点が一つだけあります。すごく古い録音の盤は問題ありません。最新の録音も大丈夫です。しかし、50年代末のある時期に録音された、ステレオ初期のピンポン録音だけには参りました。この時期特有のステレオ・デモのような録音では、左チャンネルの音は左にしか入っていません。右チャンネルからは、左側の音はまったく聞こえないのです。今の録音では、7・3か、極端なものでも8・2位では、他チャンネルにも音が入っており、それが音場感の良さにも繋がっています。でも、このピンポン録音は実に果断に(^^;、他チャンネルを無視しています。ハイハットが右、Bドラが左なんてのが一番違和感があります。横使いでステージが大きくなると、ドラマーの手足が驚異的に長ーーい怪物タコのように、左右一杯に音を繰り出すことになります。以前からこれには気付いていましたが、ステージが広くなったので、それが際立つことになりました。この時期以外の録音なら問題はありませんし、モノラルはきれいに真中から聞こえるのです。しかし、ピンポンものはダメです。それ以外に、横使いで困る点はありません。音場と音像との関係は両立が難しいのか、心なしか音の濃密感が弱まった気がしますが、この判断にはもう少し時間が必要でしょう。
    「先達は、有らまほしきものかな」
  • まだ結論を出すのは早いのですが、現時点でも、横使いの良さを体感しつつあります。無論、横使いだけが石井式の主張ではありません。この方式本来の良さを出すには、理論どおりの部屋を新築することでしょうが、まぁ、部屋の横使い等でもその良さの片鱗を味わい始めた気がしております。これも石井伸一郎・HOTEI(こと松浦正和)両氏のオーディオへの情熱のお陰であり、お二方の努力に感謝したい気分です。実証に裏付けられているとは言え、従来の定説と違うことを言い出すのは、「なかなかに大変なことだったろうなぁ。」という気がします。こういう先達が居てこそ、Nelsonのような市井のジャズ親父が恩恵を享受できるのですから、有り難いことです。

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