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JBL LE175DLH
  • JBLの「LE175DLH」は、初期JBLの名品で、20年程前に手に入れて、「D123」との2ウェイを数年楽しみました。その手持ちを分解しながら、特長をメモしてみました。
    先ずは、型番の由来
  • choiceLE175DLHは、中高音を守備範囲とするドライバーとホーンが一体となった型番です。ホーン・スピーカーは、音を発するドライバー部と、音を一定の指向性を持たせて拡散させるホーン部から構成されます。「LE175」が、ドライバーを示す型番です。「DLH」とは、Driver - Lenz - Horn (Assembly)の略号で、後半の「LH」、即ちレンズとホーンの独立した型番は、「HL87」となっています。しかし、一体として使う場合が多いので、「LE175」と「HL87」の組み合わせは、特に「LE175DLH」と呼ばれています。
    「LE175」
  • 「LE175」は、JBLのドライバーの中でも最も手軽に使えるものです。元来、JBLのドライバーは「75」という数字を使って示し、「075」、「175」、「275」、「375」と4つの製品がシリーズになっています。「075」はツイーターですからそのまま単体で使えます。「175」、「275」、「375」は全てホーンと組み合わせて使うドライバーです。最初期の「D130」や「130A」の時代が済んで、新時代に入った時に、JBLは「Linear Efficiency」というテーゼを打ち出し、名ウーファーである「LE15」や名器「LE-8T」を発売し、好評を博します。それ以降の「175」は「LE175」と呼ばれ、また「275」は「LE85」と呼ばれました。「LE175」は、ダイアフラム系が2インチ、スロート径が1インチのドライバーで、許容入力30W、音圧レベル110dB、磁束密度16,000ガウス、直径11.4センチ、奥行き9.8センチ、重さ3.7キロ、というのがカタログ値です。低い方は800ヘルツ以上で使うことが推奨されていますが、PA等の大入力ではない家庭用なら、500ヘルツ以上で使えます。アルミのダイアフラムで、大口径アルミリボン線エッジワイズ巻きヴォイスコイルが採用されています。後に登場する「プロ用」というデザインのものでは、「2410」という型番になっています。わざわざ「デザイン」と記述したのは、民生用とプロ用の違いは性能では無く、デザインだけだからです。
    「HL87」
  • 「HL87」は、面白いホーン・レンズ(HL)です。中央の切抜き丸穴が段々大きくなっているパンチング・メタル(穴明き金属)の円盤を数枚重ねて、円錐ホーンに組み込んだ物です。これについては、長くなりそうなので、別にメモしてあります。「HL87」の大型のものが、「375」と組み合わせる「HL88」です。「375」と「HL88」のセットは、中古で50万円程度ですから、今でも人気が高いのでしょう。「LE175DLH」は、ずっと小型ですから数万からあり、十万円はしません。ごく古いものや、プロ用ですと、バッフル板に固定するクランプが付いていますが、民生用はネジ止め式で、フロントから落とし込んで装着します。
    組み合わせ
  • 「LE175DLH」は、D130、D123、D131やLE14との組み合わせが推奨されており、多くは1,200ヘルツでクロスしています。これは、同じく1,200ヘルツでクロスさせるHL91とホーン長が同程度であること、800ヘルツのHL92よりはずっと短いことからも、納得できる話です。無論、これはネットワークを用いた精々12dB/Octの遮断特性での話で、24dB/Oct以上の急峻な遮断の場合は800あるいは無理して500ヘルツまで下げることは可能です。本来、再生下限はダイアフラムのストロークが機械的な限界であり、LE175の場合に「100ヘルツで1ワット入力でも大丈夫」という記述を見たことがあります。ホーンに1ワットというのは、実は大変な大入力で、家庭ではありえないほどの限界なのです。アキュフェーズの出原社長の研究でも、「よーく聴きながら限界を低くすべく挑戦するのが、ホーン党の真骨頂」とされています。
    音は柔らかいが、高音限界は低そう、、、
  • 、、、といったところで、大事なのは仕上がりの音です。やはりホーン特有抜けの良い中高音が楽しめますが、数千ヘルツ以上の味付けの高音は辛いようです。千ヘルツ以上の高音の骨格は大丈夫ですが、超高音特有のホワッとした雰囲気作りまでは無理です。そこが不満なら、LE85、あるいは現行の2426を使うことになります。しかし、H91の丸型開口のまま、あるいはレンズつきのHL91よりは、柔らかく聴きやすい中高音です。そういう限界を心得て、余り大層なことにせずにオーディオを楽しむ場合には、打ってつけです。

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