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JBL L200 Studio Master (1)
  • JBLの「L200 Studio Master」は、1972年末から1975年頃まで発売されていた2ウェイの民生用、つまり家庭用のシステムです。プロ用のモニターである「4325 Studio Monitor」をそのまま民生用に衣替えしたものなので、「Studio Master」という呼称を付加したようです。プロ用モニターとと言えば昔はあがめ奉る向きがありましたが、もうそんなウブな方は居ないでしょう。今では、モニターが家庭でのオーディオに適しているかどうかは、そう簡単な問題ではなく、色々と議論があると見るのが大勢です。でも、同社の当時のカタログでは、「音楽の録音現場での厳しい要求に応えたプロ用モニターの音を、家庭に持ち込むことを可能にする」という謳い文句が誇らしげに踊っていたのです。
  • 下掲したカタログ写真で判るように、ハカマ付き、傾斜バッフル、ウォールナット仕上げという外観で、まぁ、リビング・ルームにも置ける落ち着いた意匠です。日本のレコード会社が一時期、モニター用に使っていたそうです。少し前にこれを手に入れており、結構良い音がするんで、しばらくは素のままで楽しみました。その後は、中身をAltecに入れ替えしたりして、まぁ、箱としてしか今は利用していませんが、興味深い製品であったことは確かです。発売期間が短期間だったせいもあるんでしょうか、この製品については、ネット上を含めて、あまり情報がありません。そういう辺鄙な製品ですから、いつものヘソ曲がり心がうずいて、その概要を思い出も辿りながら紹介してみます。
  • L200 Studio Masterこの製品は、フロア型のバスレフ式システムで、低域が38cm口径の「LE15B」ウーファー、高域が「LE85」ドライバーを「HL91」ホーン・レンズに取り付けています。クロスが1200ヘルツのネットワークは、「LX16」の型番が与えられていますが、聞いたことがない型番です。ひょっとしたら、「N1200」ネットワークをこの「L200」用に手直ししたものかも知れません。図体は、幅61、高さ83、奥行54センチで、重さが63キロという感じです。システムの顔に当たる正面のネットには、音の透過性が良いと称する海綿状の硬質フォームが使われていましたが、手元のものは発売後30年以上を経過して劣化したためでしょうか、通常のサランネットに交換してあります。
    音は
  • その音自体は「Olympus」の流れを汲んだもので、Nelsonのように今様ハイエンドに疑義を抱く者にとっては、なかなかに魅力的な音が聴けます。「L200」のウリというか、際立った特徴は、38cmウーファーを上記のように1200ヘルツまで使い、その分「LE85」の負担を軽くしていることでしょう。これには中音がしっかりするという利点がありますが、その裏返しとして、38cmウーファーから出す中音なので、音質は褒められたものではありません。また、クロスを高くしてやっているにもかかわらず、「LE85」ドライバーを「HL91」に取り付けた場合にありがちな「キャン付き」が時に聴こえるのは、生来の悪癖というところでしょうか。この、ジャズ喫茶で良く聴いたキャン付きは、無論、マズイことなんですが、その昔、上野池之端の「イトウ」さんで、紫煙の向こう、頭の上から聴こえてきたアノ音を思い起こさせるので、Nelsonはキライでもないのです。これのモニター版を日本ビクターが録音モニター用に採用したと、モノの本には書かれています。
    「重かったなぁ、、、」
  • 次に、「重かったなぁ」という話を少し。

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