- (このメモの後半が、「The Way You Look tonight/ Sonny Rollins」のものと入れ子になっており、失礼しました。先日気が付いたので、修正してあります。)
- 「Stormy Weather、荒れ模様」はLena Horneの持ち唄である有名曲です。これのインストものは一杯ありますが、Nelsonが当初から刷り込まれたのは、このEric Dolphyの演奏です。ジャズの即興性、個性発揮の大事さをこの演奏ほど明確に意識させてくれた演奏は、他にありません。これは、右掲でお判りのようにCharles Mingus Workshopによる演奏ですが、その中から4人だけがこの演奏に参加しています。同じ日に、名盤「Mingus Presents Mingus」が録音されているようなので、平たく言うとこれは「残りテープ」ということになります。10分以上もの長めの演奏ですから、一寸した隙間位では入りません。でもこれだけ良い演奏なので、正に、「残り物に福あり」の好例です。
- この曲の冒頭で、御大Mingusが次のように前説をしています。(癇癖で有名な人らしい早口ですが、聞き取れる範囲で)「それでは、今夜のセカンド・セットの始めは、カリフォルニアから出てきたばかりのアルト奏者、Eric Dolphyをフィーチュアした曲です。タイトルは、、、 (And it's titled...)」と言ったまま、タイトルは言わずに(^^;)、直ぐにベースのピチカートで曲を弾き始めます。実は、これはライブ録音ではなくスタジオものなんですが、こういう演出をしてみたということらしいのです。
- この演奏は、13分あまりで、他の曲では編成も大きくて、ピアノなんかも入っていますが、これはピアノレスの演奏です。御大の前説の後、そのままベースによるテーマ提示がありますが、まったくのリズムなしです。さらにアルトが加わってテーマが敷衍されていきますが、テーマの最後で、いわゆる「Stormy Weather」という歌詞に相当する部分を数回繰り返すというアレンジにしています。
- そのまま、2分過ぎからアルトの素晴らしいアドリブです。それまで黙っていたドラムスが、少し控えめながら、合いの手を入れて行きます。まさに「魂の叫び」とでもいうかのような、哀愁あり、フルトーンでの絶叫あり、倍テンポの息せき切るようなフレーズあり、という絶品アドリブです。最初にこれを聴いた時には、「言葉じゃない、楽器のフレーズに、ここまでの訴求力を持たせることができるんだ。」と感嘆しました。何というスゴイ人なんでしょうか。
- さらに、7分過ぎからは、御大のベースによるアドリブです。今様のペケペケしたベースじゃない、モノホンのピチカートです。弦の震える音を通じて、Charles Mingusの意志の力がこっちに伝わってくるかのような力演です。確固とした意思の下に指が弦をしっかりと捉え、必要とするだけの力で弦をはじき、それがスタジオの床を持ち上げんばかりのリキを持っています。これは、大音量ということではなく、恐らくは「タメ」の問題だと思います。古くはJimmy Branton、同時代ではRay Brown等に見られる「本格派のベース」です。
- 10分過ぎからは、トランペットのアドリブで、この時代の、たとえばBooker Little等と通じる、「奇妙な味」が実にしっくりくる展開です。さらに、12分位からはアルトも戻ってきて、フロント2枚での吹き合いになり、演奏が最高潮に盛り上がります。その雰囲気のままに、最後のテーマはベース、アルト、ドラムス、トランペットの4人全員で演奏されます。アルトがリードし、トランペットがオブリガードというよりも、対位的な動きで付けて行きます。そして、最後は、アルトによる素晴らしいカデンツァです。
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