(
Home
-
Those Groovy Cats
-
田村翼
/
BACK
)
ピアノとしての特徴
「田村翼のジャズは、斬鉄剣である。」
「人とその周辺」で触れたように、田村翼はバップ系のピアニストです。
Hampton Hawes命
年譜によれば、最初に意識して気に入ったのはTommy Flanaganらしいが、彼が30年余のジャズ生活で良く口にしたのが、Hampton Hawes(ウマさん)への敬愛であり、彼からの影響である。当然、Bud Powellからの影響を読み取ることが出来るが、それを言えば誰だってそうなってしまう。といっても、ウマさんが駐留軍で滞日した時に、ということではどうもないらしく、記録されたメディアによる研究によるものであろうが、、、そのスィング感と、ブルース感覚は、正にウマさんから影響を受けて、それを田村なりのスタイルとして確立したものと思える。
「ボクは、スィング感とブルース・フィーリングを感じさせるものしかやらない。」
田村は、常々、このことを繰り返し言っていたようです。最初の上京後3年にして、再び大阪に戻ったのも、当時ジャズ界で猖獗を極め始めていた「新らしもの」に対する彼なりの反発である。イヤ、そんな堅いことを言わずに、といわれても、変に小器用に生きることが出来なかった田村の、逆に言えば「不器用さ」はそこまでさせるものであったらしい。
「歌うことが一番大事」
別稿でも触れましたが、バラード等をやる時に器楽演奏であっても歌詞を念頭に置きつつやることの大事さを、色んな人が指摘していますが、田村もその一人であり、どの曲をやる時も、口の中でその曲を歌っていたという。それが、数百曲のスタンダードをしっかり弾けること以上に、彼の魅力になっている。
素晴らしい切れ味
何といっても彼の一番の特徴は、粋な切れ味です。とにかく歌う、熱気がこもったバウンス感、豪快・流麗なフレージング、等々、田村翼のピアノに対する表現は色々あるけれど、皆が異口同音に言って同意するのが「その切れ味の良さ」であろう。冗談として聞いてもらえるならば、「田村翼のジャズは、斬鉄剣である。」 アニメの名作「ルパン3世」でも重要な面子である石川 五エ門の武器である「斬鉄剣」は、高層建築のビルをも何故か、真っ二つに一刀両断してしまう。その斬鉄剣に匹敵する、恐るべき切れ味の「爽快さ」が、田村翼のピアノにはある。その意味では、田村のスイング感は軽快なスィング感であり、重いスィング感ではなかろう。
常にクールに
田村は、何よりもプロであろうとした、ということも何時も感じさせられる特徴である。プロは、やるべきことをチャンとやり、そして必要以上には耽美的にはならない。いつも自分達が何を聞き手に聞かせようとしているか、ということに客観性を確保している。熱しはするが、常にクールさを失わないプロ精神も、彼の魅力である。
(
Home
-
Those Groovy Cats
-
田村翼
/
BACK
)