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All American Rhythm Sectionと、The Red Garland Trio

  • All American Rhythm Sectionといえば、モダンジャズなんて影も形も無かった頃に、Count Basie、Walter Page、Freddie GreenそしてJo JonesというCount Basieバンドのリズムセクションに付けられた敬称です。この人たちの強烈にスィングし、しかも安定したサポートがこのバンドのエンジンになっていて、それ故に数多の名演が生まれた事を称えるものです。
  • Miles Davisが50年代後半に素晴らしいクインテットを組んで、全米を席巻したときに、フロントのMiles DavisとJohn Coltraneの斬新な演奏の素晴らしさに先ず目を奪われた後、人々はコレを支えるRhythm Sectionの上手さにも直ぐに気付きました。そして故事に倣って、Red Garland、Paul ChamebrsそしてPhilly Joe JonesからなるRhythm Sectionにも、同じ敬称を贈りました。このバンドには、Steamin' with the Miles Davis Quintet等の名盤が多く残っています。聴けば分かる通りに、人気随一のこのクインテットのエンジンとして、ホーンを盛り立て、鼓舞し、自らのアドリブにおいても卓越した技量の程を見せると言う、正にAll American Rhythm Sectionの名に恥じないグループです。このトリオは、ベィシーの時と違って、トリオ盤も多く出しており、まぁドラムスがArt Taylorになった盤が多いのは事実ですが、独立したグループとしての意義も十分にあります。そういう意味ではAll American Rhythm Sectionを超えた、All American Piano Trioです。例えば、名盤Milestonesにおいて、クインテット演奏に挟まれる形で録音されたBilly Boyのトリオ演奏は、この曲だけホーンが抜けているわけですが、決して聴き劣りしない好演奏です。
  • 更に時代が下がって、Wynton Kelly、Paul ChambersそしてJimmy Cobbの場合も同様に素晴らしいサポートを見せるのですが、この時期を、時にAll American Rhythm Sectionと呼ぶことはあったものの、やはり格が違うと言う事でしょうか、それ程は言われなかったように思います。このトリオでは、名盤Kelly Blueにおけるトリオ演奏が群を抜いて人気があります。
  • こうしてみるとやはりAll American Rhythm Sectionと言う言葉には重みがあり、やはりそれがサポートするバンドが一世を風靡するほどのビッグネームであることが必要なのでしょう。加えて言えば、元祖様のほうは名前どおりに、やはりバンドのエンジンと言う役割に徹しており、独立したユニットとしてトリオで演奏して、それを録音して残すと言う気は無かったようです。

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