Jazz Glossaryでも書きましたが、ジャズではこういうフレーズと言うか、リフを、「バンプ(vamp〉」と呼びます。この演奏では、テーマはバンプなようです。しかもそれがマイナー調なんで、取りも直さずコレはマイナーなバンプということです・・・だからこの曲の標題は、マンマの「Minor Vamp」にしたんだ、と言われても納得であり、作曲者はBenny Golsonです。と言うことで、開始後一分も経たないうちに、テーマはド短かのバンプで、リズム・パターンも単純ですから、Golsonが標題を一般名詞でもある「マイナー・バンプ」と付けても不思議ではないんだ、と大方の事情がほぼ判ってきまです。
この「Minor Vamp」が聴ける盤と言えば、上掲の「Bluesette/ Curtis Fuller」の他にも「Brass Shout/ Art Farmer」とか、「Blue Soul/ Blue Mitchell」等がありますが、いずれもがハードバップご隆盛中の1959年の録音です。各盤では、「Arranged by Benny Golson」と特記されており、このコードだけ(orz)のテーマ旋律(つまりはバンプですが・・・)をベースにすること、イントロに使うベースは(多分)、指定の譜面によるピチカートをさせて雰囲気作りをさせること・・・という嵌め手気味なアレンジは、Brenny Golsonがやったと言うわけです。
各盤での演奏の詳細についてまで、このメモでは踏み込みませんが、それぞれ優れた演奏だから聴いてみて下さい。ここでは一例として、「Blue Soul/ Blue Mitchell」での演奏ぶりを紹介します。この盤はフロントがBlue Mitchell(tp)、Jimmy Heath(ts)、そしてCurtis Fuller(tb)の3管で、何とも贅沢なフロント陣です。結構メリハリをクッキリさせた演奏にしたかったようで、やはりGolson臭が芬々とする演奏です。特にイントロのピチカート中に、
Jazz Glossaryセクションのバンプの項でもメモしましたが、演奏の導入部とか、間奏部に出て来るコード及びリズム・パターンだけのフレーズやリフを「バンプ」と呼びます。Jazz Glossaryの項では、ヴォーカルでの例を挙げていますが、短いコードを繰り返す伴奏パターンで、ライブだとその場の雰囲気を見ながらの伸縮が可能です。こういう繰り返しパターンの手法は、ジャズに限ったものではなく、クラシックでも時に使われます。スカルラッティがソナタで使った通奏が斬新だと評判になったため、学者達がそれを「ヴァンプ(vamp)」と呼び始めたのを嚆矢とします。