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「Autumn Leaves/ Keith Jarrett」と「 Nardis/ Bill Evans」::共通する妙味〈2〉


  • 「Autumn Leaves/ Keith Jarrett」「 Nardis/ Bill Evans」との、イントロでの「掴み」に共通するアプローチについて、前回(1)ここにメモしましたので、先ずはそっちをお読みください。
    「演奏本体の見事さ}
  • 事が「入りの妙味」だけであるのなら、それ程取り立てて特筆大書しなくても良いのでしょう。しかし、実はこの二つの演奏は、アドリブを中心とした「演奏本体のレベルの高さ」において群を抜いています。
  • ここでは、先ず「The Standard Trioの枯葉の、どこがそんなにスゴイのか」に触れてみます。例によって上記リンクで演奏を流しながらお読み頂くのが、吉です。
  • 先ずイントロで、Jarrettがピアノ・ソロで幻視して見せた「枯葉」という曲のイメージが3分過ぎまで来ると、段々とアッチェレランドしつつ、ソロにビート感が出てきます。そして4分過ぎに前テーマの提示になって、ベースとドラムスも参加したトリオの演奏になります。Jarrettがテーマを自在にフェイクするので、もうアドリブに移っている感じです。「Peacockのベースが何度か繰り返して「単音」ピチカートでサポートしているなぁ、、、」と気が付くと、


    直ぐにJarrettが「それ、貰いっ!」とばかりに呼応して、ピアノでも単音フレーズを多用してきます。この辺の「当意即妙感」がピアノ・トリオの醍醐味ですネ。3人共にタッチに熱が入って来て、もうペースが出来上がって来たようで、De Johnette独特の「唄うドラムス」が出まくりです。Jarrettならではの怒涛のような「神がかりアドリブ」の連発具合を列挙してみると・・・
    1. 先ず6分頃ですが、


      熱が入ってきたドラムスの連打に乗っかって、ベースも入った3人が文字通り三つ巴のアドリブを展開しています。
    2. 15分半ばからは、


      出ましたぁ、ピアノの神フレーズです。
    3. 16分半頃からも唸ってしまいます。


      Jarrettが完全に「ゾーン」に入った時のフレーズです。コレはアフリカン・アメリカンのブルースのノリではなく、白人ロックのノリですね。
    4. ドラムスがソロ中の22分頃には、


      ピアノが単音フレーズを被せて来ます。それが実に良くマッチした感があり、そのままピアノは最後までこの単音基調で突っ走ります。ピアノは決してサボっている訳ではなく、ドラムスの動きを聴きつつ、単音を選択しているのです。Jarretttが単音基調に移ったのを聴きながら、ドラムスも突っ込みを入れる感じ・・・ジャズを始めた頃のDe Johnetteはピアノを弾いていたんだ、ということがナルホドと納得できるドラムスです。
    5. その二人の絡みに、さらにベースも参加してきて、


      後テーマに繋がるように誘うフレーズを奏でる感じも良いですね。
    6. そして23半分頃から後テーマとなります。


      Jarrettがベースとドラムスにサポートされながら、ゆっくりとテーマを再提示していきます。でも気が付くと、左手の低めの音域で、やはり単音フレーズを欠かしません。全体としてのバランスが実に良く纏まった感じを維持しつつ、締めに向けてリタルダンドして行く感じも見事です。
  • ピアノ・トリオの数分の演奏で、上がりのアドリブなんかで、ピアニストが「決めリフ」を出すことがあります。誰かが「今の演奏さぁ・・・ホラッ、最後んとこで凄いフレーズが出たなぁ・・・」等と言い出して、「あの演奏が好きだ」と皆が意見一致に至るということが、ジャズ喫茶のカウンターでは良くあります。
  • しかし、Jarrettの「The Standard Trio」の、この「この枯葉」の場合は常軌を逸していて、Jarrettが、神がかりのように憑依したピアノを披露しました。決めリフは、一つあればそれだけでキマリになるのに・・・ここでは上記に限らない数か所で連発しています。よほど沈着冷静な方でも、この演奏をライブで聴かれたら、絶対に我を忘れて起立し、拳を振り上げてしまうに違いありません。
    も一つ気になることが・・・
  • あるんですが、それは次回回しです。

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