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Una Mas/ Kenny Dorham:見事な締めの捌き


  • 「Una Mas」はKenny Dorhamのヒット曲です。Kenny Dorhamというと、ワン・ホーンの名盤「Quiet Kenny」からの連想で、静かな、はかなげな演奏スタイルと思われるかも知れませんが、実はハッピーものも結構あります。そして、その路線での大ヒットがこれです。往年のジャズ喫茶でこの盤がかかると、皆大はしゃぎで聴いたものでした。そして、それは、エンディングの仕掛けによる部分も、大いにあったのです。このメモは、この動画をお聴きになりながらお読みください。
    途中までは普通の展開なんですが・・・
  • この演奏は15分を超える長い演奏で、昔風の言い方では「A面全部」を占めています。Kenny DorhamとJoe Hendersonがフロントで、リズムセクションはHerbie Hancock、Butch WarrenそしてTony Williamsです。イントロは、


    快調なリズム・パターンのヴァンプ気味な、どこからでもテーマに入れる形にしてあります。カウベルをスティックで叩く音が良いアクセントになっています。フロントがアイ・コンタクトで、


    ノリの良い、簡単なリフを合奏します。するとリーダーから順に、


    キャッチーなアドリブになだれ込んで、タップリと10分もかけてソロが一巡します。
    そこで一捻りしてあって・・・
  • そして11分を過ぎると型どおりに後テーマの再演があり、シンバルがシャァアアーーーンと鳴らされて、諸々があって12分40秒辺になると「さしもの、このハッピーな演奏もお仕舞なのね。」、、、と思いきや


    そこからがモノホンの締めだと判って来ます。解決感が強い和音が出て来て演奏が終わる感じになって、Kenny Dorhamが「UNah--Mas!」と叫びます。「ナルホド、曲のタイトルを叫んで終わるのね。」と納得したと思ったら、ナント、テーマが又奏でられます。「えっ、まだこの先があるの?」 そう、先があるんですねぇ・・・しっかりと後テーマが繰り返されるではありませんか!
    「Una Mas」とは・・・
  • 実は「One More Time(さらにもう一度)」という意味のスペイン語で、つまりDorhamは曲のタイトルをガナッたのではなく、「も一回ね!」と手下に命じた訳です。ですからこのテーマ旋律は、ナントも御丁寧に3分近くにわたって、もう一しきり繰り返されます。
    ジャズ喫茶では飛び入りまであって・・・
  • 往年のジャズ喫茶では、常連は皆一度はこの曲は聴いています。だから、店内のそこここでKenny Dorhamの「UNah--Mas!」という合図に、お客さんが合唱で参加したものです。タイミングがキレイに揃うと、拍手などが起こったりもしました。今は昔の、ジャズ喫茶全盛時の一コマです・・・というわけで、着地がビシッと決まってスキっと胸がすく仕掛けが楽しめる演奏です。
  • リキが入って長くなり過ぎましたが、この先がまだあります・・(orz・

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