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「Impressions/ A Tenor Supreme」における「繋ぎリフ」


  • 「繋ぎリフ」についてのメモで欠かせないとNelsonが思うのが、「A Tenor Supreme」と言うグループによる「Impressions」の演奏です。これは1997年の8月24日に旧東京ベイNKホール(日本火災海上〉で行われたジャズフェスに出演したMichael Brecker、Dave Liebman、George Garzone、Joshua Redmanという4人のテナー・サックス奏者に、その場限りのグループを作らせて名曲「Impressions」を演奏させた余興に近いギグであり、一応の名前を「A Tenor Supreme」(至高のテナー?)としてあります。リズムセクションは、Geoffrey Keezer(p)、Christian McBride(b)、そしてJack DeJohnette(d)だと思われます。後述するように中々の怪演ですから、先ずは概要をメモします。
    ジャズフェス時の放映動画のみが・・・
  • そのジャズフェス後すぐにTV放映があったので、Nelsonのように録画したジャズ・ファンが仲間内で聴いて楽しんだものでした。しかし結局CDやDVD化はなされていない筈で、リアルタイムで接した人以外には余り知られていない怪演です。と言うことで奇特な方が、Youtubeにアップしたものが、一般的に鑑賞できた唯一のヴァージョンです。ヨウツベでは有り勝ちなことですが、この動画も何度かリンク切れになったり、また復活したリを繰り返しており、現時点では、4分割したモノのの他に、26分余もある全体を一括してアップした動画が、ここにあります。しかし、ブラウザーによっては弾かれる事も多いそうなので、幸運にも掴まえる機会に恵まれたら、その場で「RealDownloader」等により保護して、いつでも個人的に楽しめるようになさるのが吉、と思われます。10年以上も前に、この演奏の音声を大みそかのご挨拶代わりに極く瞬間的にアップしたら、良かったよと言うメールを貰いました。ソロで朝日スーパー林道等を踏破している時に、こんなのを聴いていると実に良い気分になれるのです。
    豪華な面子
  • 上記テナーの面子は順不同であり、右掲した4人揃い踏みの画面での並び、及びアドリブの順に過ぎず、ジャズメンの優劣順ではありません。映像で見ると自明のように、全体のアレンジと指揮じみたことはDave Liebmanが行っています。曲のテーマの後半がかなりフェイクされたものとなっています。画面を見るとフロント全員が譜面を注視しながらの吹奏です。これだけのトップ・テナーが、揃いも揃って「Impressions」を暗譜で吹けないなんてことなどありえません。ということはこの後半部は、リーダー格のDave Liebman作か、あるいは手癖が似ているのでMichael Brecker作かと思われます。その一部がそのまま繋ぎリフになっていて、随所で使われています。ジャズフェスでの余興気味の演奏でのことなので、その場渡しの、初見譜面らしく、4人揃って譜面に目を凝らしながらの、分厚い「ソリ」と言うか、「合奏」を聴かせてくれます。4人でのソリで、しかもちょっとハモリも持ち込んだものなんで、音に厚みがコッテリとあるから、中々に聞かせますね。
    ヘッド・アレンジは・・・
  • ついでにヘッドアレンジの紹介を試みます。イントロのテーマ提示は「Impressions」そのものですが、ヤボなことを敢えて言えば、原曲である「So What」を早口で口ずさむと、一気に演奏のド真ん中に突っ込んで行けます。直ぐにアドリブ回しとなり、上掲順で実に素晴らしい4人のアドリブが展開されて行く間は、実に贅沢な時間に違いありません。聴かれる方によって好きな節回しが違うでしょうが、Nelsonはサブトーン入れまくりのマッチョな展開に脱帽のGeorge Garzoneのアドリブが、


    現時点では一番性に合います。
  • アドリブの引き渡しには、前テーマ後半部のフェイク旋律が繋ぎリフで使われています。でも、二人目と三人目の間には繋ぎリフがありません。画面を見ると判りますし、音圧グラフ(8:58)で見ると一層はっきりしますが、ここで無音時間が数分の一秒あります。多分「繋ぎリフの楽譜が汚くて読めなかった」とか言った、くだらんミスでもあったので、ハサミでチョンと切り貼りをしたのでしょう。アレンジ自体はやはり、4人を二人づつに割ってアドリブさせる振り付けだったらしく、ここはその切れ目です。ですからごく自然に、ピアノと、短いベースのアドリブが挟まります。そしてアドリブ回しの後半の二人、George GarzoneとJoshua Redmanの所では、またしっかりと繋ぎリフ使いが戻って来ています。ここでも特筆すべきは、George Garzoneによるアドリブの渡しです。バリバリ、ブハブハ・・・と吹き上げたその後に、「さぁ、渡すかんねぇ・・・」とばかりに、用意しておいたのかも知れませんが決めリフ気味に、


    キャッチィなフレーズを出して、見事繋ぎリフへと雪崩れ込んで行く・・・「役者やのぉ・・・」としか言いようがありません。
  • そしてテナー4人のアドリブが済むと、いくら未だ20世紀中だったと言っても、かなり珍しくなっていたバース・チェンジです。それがナント、4,5回もあって・・・まぁ大盛り上がりですね。そしてその後に、4人揃っての阿鼻叫喚、全員カデンツァとなるから、スゴイッとしか言いようがありません。いやぁ、これでもか、これでもか・・・と皆がヒッチャキでぐわんばって、やっとのことで大団円ですね・・・と思っていたら、ここで満を持していたJack DeJohnetteがフロント陣と同じくらいの尺を使っての、見事なアドリブを披露します・・・と合いなって、いつの間にか26分経ってたなぁ・・・言うのが全体の流れだと思いました。
    イントロは・・・
  • ・・・と書き始めましたが、書くべきことが一杯ありますし、書き疲れたのでこの先は次回回しです。

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