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For Once in My Life/ Tsuyoshi Yamamoto

  1. ジャズの演奏の中で別の曲を引用した例として今回採り上げるのは、山本剛トリオが1974年のクリスマスに六本木「ミスティー」でやったギグを、TBMレーベルが満を持してほぼ完全録音して、3枚の盤に分けて出したら、例の神成さんの凄い録音技術の甲斐もあってか、当時としてはバカ受けして「この頃良い盤を立て続けに出してるTBMってレーベル、知ってるかい。」と皆が囁き合ったものでした。
  2. 山本さんのトリオは、コンサート会場や当時流行っていた生録会で何度も聴きましたが、直ぐにごひいきのグループにして聴き漁ったものでした。今でも10数枚のCDを持っていて、以前ほどではないにしても結構楽しむ機会が多いのです。そのトリオのギグは、クリスマスなんで皆かなりアルコールを聞こし召しているのか、ヤンヤの拍手に奇声まで混じって聴こえてきます。その大量の生録音の中に1トラック、引用が上手く嵌まったのが印象に残る演奏がありました。それが小唄の「For Once in My Life」です。この演奏は、CDだと右掲の盤に収録されていますが、アナログ時代には「The In Crowd」盤に入っていたトラックです。この曲の動画にはあまり良いのがありませんが、ニコニコ・ビデオにTony BennettとStevie Wonderによる物凄いデュエットがあったので、ここでリンクをしておきます。コレを聴きながら先を読んでもらえたら吉です。
  3. この演奏での引用は、


    こなれたイントロに続くテーマ提示から、ピアノが先頭に立って演奏をとことんリードし続けていって、大いに盛り上がった末に、「さぁ、これから締めに入らんか」とするタイミングで・・・


    ピアノが(10秒目辺りから)少し手数を減らしながらデクレッシェンドして行って、クラブ内の聴衆に「何だ、何だ。何かやりそうだなぁ・・・」と耳を傾けさせたところで、ココで聴くように耳慣れたメロディを弾き始めます。・・・「うーん、コレ、何だったけ」と頭をひねって、直ぐに恐らくかなりの方が鼻歌で「Santa Claus Is Comin' to Town・・・」と口ずさんでみて、「そうかぁ、今日はクリスマスだもんなぁ・・・それをここで出すなんてニクイねぇ。」と唸ってしまいます。クラブ内のそういう感じが、拍手の数に反映しています。
  4. ・・・もう少し書いておきたいことが残っていますんで、それは次回回しとします。
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