上をクリックしていれば、この盤のデータが右のフレームに出ています。ピアノトリオ盤としてはこれ以上望みようも無いような設定で、BassがPaul Chambers、そしてDrumsがPhilly Joe Jonesです。この組み合わせは、もう一つの同題名のタイム盤のGeorge DuvivierとMax Roachというメンバーよりも、もっと熱っぽく、しかもスィングする事が期待できます。Be-Bop
バップの雰囲気全開と言う感じの早めの演奏で、作曲がDizzy Gillespieと言うのもなるほどと納得の熱気が感じられる。この生き急ぐような切迫感がバップの最大の魅力だと改めて感じ入る次第。この盤の導入として打ってつけの選曲で、Sonny Clarkが「私めの出自を先ず明らかにしておきます。」と仁義を切った形か。I Didn't Know What Time It Was
今、何時だっけ、というこの曲にちょうど良いテンポで進むこの演奏は、少し粘り気味であって、Sonny Clarkの良さが巧く出るテンポなのではないかと思います。アドリブへの入りでグット耳をひきつけると、あとはそのまま快調に飛ばして行きます。Two Bass Hit
ちょうどいい速さで始まるこの曲は、絶妙のスィング感で3者が一体となった調和の妙が何とも素晴らしい演奏となっています。Tad Daemronらしい気高ささえ漂うメロディは何時聞いてもいい。このテンポでは、ベースも、ドラムスも、取って置きと言うか、得意のというか、「如何にも」らしいアドリブを披露して、聞く方も唸ってしまいます。エンディング近くのドラムスとの4 Verse Changeで、又もPhilly Joeの手癖が出て、ニンマリ。Softly as in a Morning Sunrise
これはこの盤でも最も人気の高いトラックで、Nelsonも最初に京都のジャズ喫茶で聞いたときに、その魅力に惹き込まれました。少しゆっくり目のテンポで始まり、そのテンポでかなり演奏が進んで熱気を帯びてくると、徐々に倍テンポのパッセージが混じり始め、遂に完全に倍テンポのアドリブに移ります。倍テンポが混じり始める頃から、ドラムスがもぞもぞし始め、ピアノの雰囲気を感じ取り始めると、ビートも倍になりかけ、遂に完全に倍テンポとなる訳です。この間、ピアノとドラムスが目配せをしたかどうかは分かりませんが、この互いの動きを見た「もぞもぞ」こそがジャズの真骨頂でしょう。そしてまた繰り出されるシングル・トーンの綺麗なこと。そして演奏は元のゆったりテンポに戻り、暫しの興奮をなだめるかのように落ち着かせて、この名演も終わりとなります。I'll Remember April