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Sweet Love of Mine/ Woody Shaw
  1. 「Sweet Love of Mine」は、Woody Shawのオリジナルで、テーマが実にキャッチィでノレるので、ジャズ喫茶などでかかったのを最初に聴かれた時に、きっとジャケットを見に行って曲名を確認された筈です。ここでは、ご本人が1982年2月にNew Yorkの「The Jazz Forum」でやったギグのライブ盤(右掲)のヴァージョンを採り上げます。その他にも幾つかのヴァージョンがあり、いずれもなかなか良い出来です。その中でも一番有名なのは、ご本人のWoody Shawも付き合っている「Demon's Dance/ Jackie McLean(Blue Note ST84345)」のヴァージョンで、ジャズ喫茶でかかるのは、大抵はコレでしょう。他の人ので言えば、John Hicksのラスト・アルバムで、この曲をまんま標題に頂いた盤 (High Note HCD7142)のヴァージョンも、素晴らしい出来です。
  2. (余談)我らがオマさんの名盤「Blue City」にも、ギター入りクインテットのヴァージョンがあります。ただし、曲名は「45 Street (at 8th Avenue)」で、鈴木さんのオリジナルと表記されています。どういう因縁話があってこうなっているのか、寡聞にして知りませんが、同一曲に間違いありません。曲名自体は、どうやらオマさんが身を寄せていたArt Blakeyのコンドの住所が、NYCの8番街45丁目だったということからして、これにちなんだものと思われます。オマさんは、この録音の直前の70年代に、Art Blakeyに惚れこまれてNYCに連行(^o^)されていました。かなり長期滞在していましたから、ヒョッとするとこの時期に、Woody Shawとも接点があったのかもしれません。オマさんが、その熱いプレイでハーレムのクラブなどで人気になり、多くのジャズメンと親交を持った時期でした。そしてご興味がある向きのために、各トラックの録音時期と順番を付記しておくと、レコードでの初演となった「Demon's Dance」が1967年末、「Blue City」が1974年初め、ご本人がリーダー作で入れた「Master of the Art」盤はもっと遅くて、1982年となっています。ついでながら、初リーダー作の「In the Beginnning」は、自主制作で1965年録音、1980年ごろ発売です。
  3. この演奏は10分近い演奏です。リーダーのトランペットとSteve Turreのトロンボーンがフロントで、それにBobby Hutchersonのヴァイブが加わり、さらにリズム・セクションがいるという、おそらく当時のレギュラー・セクステット編成によるライブです。先ず、良いテンポでトランペットがリードしながら、全員参加で前テーマを提示します。一度聴いたらすぐに覚えてしまう、キャッチィなAABAのテーマで、Aメロも、Bメロも、そろって親しみやすいのです。リズムが、ボサノヴァ気味ですね。直ぐに、トランペットがソロに入りますが、ライブで気合も入っていたんでしょうか、得意のハイ・ノートを交えて、実によく歌っています。ベースのうなりと、八面六臂のドラムスがアドリブを強力に支えています。これが3分過ぎまであって、次はヴァイブ、そしてその後がトロンボーンと、いずれもテーマの断片をうまく活かしながら、快調に飛ばして行きます。6分からは、Mulgrew Millerのピアノのアドリブです。皆さん、倍テンポで素晴らしいテクを披露しながらも、メカニカルにならずに曲想を敷衍して行きます。アドリブが一巡した7分40秒頃になって、トランペットが短いリフを付けると、ベースと、続いてドラムスがバースチェンジで応えるという仕掛けでひとしきり盛り上がって、8分半から後テーマになります。次第にリタルダンドしながら締めに入ると、大きな拍手がクラブ中から巻き起こります。ライブらしく、お客さんの声援に応えた山場ですネ。
  4. 、、ということで、聴かれればいつの間にか体が揺れて来てしまう、ジャズの楽しさが一杯な演奏です。無論、「Demon's Dance」や「Blue City」のヴァージョンも良い演奏ですから、そっちも聴いておかれると良いでしょう。ジャズならではの「オレなら、こうやるゼ」が楽しめます。
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