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Diane/ Miles Davis
  1. 「Diane」は、小品という感じの、大げさではないきれいな曲です。ここで採り上げるMiles Davisの演奏は素晴らしいものです。彼以外にも、Eddie Costaが「House of Blue Lights」で演奏していますし、Chet Bakerにはマンマの標題の盤があります。そういうなかで、Miles Davisのヴァージョンは、モダンジャズの基本的な演奏の代表格として、記憶に刻み込まれています。これは、こういう風にやるべき曲だ、ということです。
  2. 第一期黄金クインテットのマラソン・セッション、というか「-ingもの」として知られる演奏ですから、John Coltrane、Red Garland、Paul ChambersそしてPhilly Joe Jonesによる1956年の5月録音です。
  3. 演奏は、ピアノがテンポ・ルバートで始めて、そのまま行くのかなと思う間もなくオン・リズムに切り替えて、直ぐに御大がミュートでテーマを提示します。この人の場合、テーマのアレンジからして気品がありますから、聞きものです。そしてアドリブですが、もう何も言うことが無い「卵の殻の上を歩く男」の本領を発揮した、気持ちのこもった展開です。音数が多からず、少なからず、丁度ピッタリの湯加減です。リズム・セクションのサポートも絶妙で、ピアノの合いの手、ベースのウォーキング、シンバル・レガート、どれをとっても痒いところに手が届くサポート振りです。次が、テナーのJohn Coltraneによるアドリブですが、つまり、これは何というか、、、挟雑物というと怒られますが、まぁ、こういうもんでしょう(^^; 次が、珠をころがすピアノです。このベースのウォーキングにキレイに乗った波乗りの妙技は、この人ならではのお家芸です。暫くシングル・トーンでやって、「ちょっと軽すぎない ?」という気が起きはじめる頃には、流れるようにブロック・コードに切り替わっています。そして締めに近付いて、手渡しとはっきり判るフレーズに持って行って、御大の後テーマ提示です。エンディングもキレイなものです。
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